
「グレートピレニーズ」と聞いて、どんな犬を思い浮かべますか?
「白くて大きな犬」?
「モフモフでぬいぐるみみたい」?
「大きくて飼うのが大変そう」?
「優しくて穏やかそう」?
「あの有名アニメのキャラクター」?
実は、これ、全部正解なんです。
でももちろん、これだけではありません。
実際の暮らしや性格って、なかなか知ることができないですよね。
この記事では、そんなグレートピレニーズの歴史や特徴、性格を飼い主さんインタビューも交えてご紹介します。
さらに、グレートピレニーズがモデルだとされているキャラクターもご紹介。
「こんなパートナーと暮らせたら…」
と想像せずにはいられない、魅力たっぷりの内容になっていますよ!
グレートピレニーズってどんな犬?
まずはグレートピレニーズがどんな犬なのかご紹介します。
歴史や見た目の特徴、性格をまとめていますのでチェックしてみてくださいね。
歴史

超大型犬に分類されるグレートピレニーズ。
家畜の群れをオオカミなどの襲撃から守る役目を担っていた「使役犬」です。
★超大型犬についてはこちらもチェック▶︎
原産国はフランス。
遥か昔からピレネー山脈に生息し、中世には城の番犬になっていたといわれています。
17世紀にはルイ14世に飼育され、1635年には「フランス王室犬」に定められたという史実も。
ヨーロッパ各国では「ピレニアン・マウンテン・ドッグ」と呼ばれていますが、アメリカ国内では「グレートピレニーズ」の名前で通っています。
見た目の特徴
毛色は白。
グレーや薄いイエロー、オレンジ色のまだら模様が頭や耳、尻尾の付け根に見られることもあります。

こちらのグレートピレニーズには、右耳にコーヒーをこぼしたような茶色い模様が。
これぼくっす~!はずかしぃぃ~!
そして、最大の特徴ともいえる、大きな体を包み込むふわふわの被毛!
極寒の山岳地帯にいた犬種のため、寒さに耐えられるようにこのふわふわな被毛が体を守っていました。
密集したアンダーコートと長い剛毛のオーバーコートからなるダブルコートで、体の熱が外に逃げない構造になっています。
この二重構造の被毛は、季節の変わり目などに毛がごっそり抜ける特徴があります。
さらに気になるのは、大きさではないでしょうか?
超大型犬に分類されるグレートピレニーズ。
その大きさは以下の通りです。
【標準体高と体重】
| 体高(地面から背中までの高さ) | 体重 | |
|---|---|---|
| 雄 | 70~80cm | 50~54 kg |
| 雌 | 65~75cm | 36~41kg |
大人の女性、1人分ぐらいの体重があるんですね…。
★グレートピレニーズの詳しい大きさについてはこちらもチェック▶︎
また、グレートピレニーズは血統的にオオカミに近い犬種とされています。
その名残が後ろ足に…。

これは「狼爪(ろうそう)」と呼ばれる爪。

これもぼくっすね~!爪まで見せちゃうっすよ~!
家庭で飼育するにあたって切り落とすことも多いのですが、犬種の証として残しておく場合もあります。
性格

けんかを好まず、基本的には穏やかな性格です。
信頼している飼い主さんには甘えん坊な一面もあります。
一方で、番犬としての役割を担っていたという背景から、警戒心の強さが現れる場面も。
特に初めての人や動物に対しては攻撃的になる場合があります。
賢く、独立心が強い傾向があり、飼い主さんよりも先に自己判断をしてしまう判断力も身につけています。
家族として共に過ごすためにはしっかりとしたしつけを行うように注意しましょう。
★グレートピレニーズの詳しい性格についてはこちらもチェック▶︎D0090「グレートピレニーズ 性格」のリンク
意外と多い?グレートピレニーズがモデルのキャラクター

「グレートピレニーズ」と聞いて、
「ああ!あの犬ね!」
とすぐに思い浮かべられる方はもしかしたらあまり多くはないかもしれません。
有名なキャラクターのモデルになっている犬種であれば、どんな犬か思い浮かべやすいですよね。
例えば、『名犬ラッシー』なら「ラフ・コリー」。
『101匹わんちゃん』なら「ダルメシアン」。
『動物のお医者さん』なら「シベリアン・ハスキー」。
ここでは、グレートピレニーズがモデルとなっているキャラクターをご紹介します。
実は意外と多いんです!
あなたが読んだことのある作品もあるかもしれませんよ。
ボンド・フォージャー(『SPY×FAMILY』)
まずは人気漫画『SPY×FAMILY』から、主人公一家に飼われることとなった「ボンド・フォージャー」。
予知能力を身に付けた大型犬として描かれています。
このキャラクターについて、作者は犬種を決めていないそうですが、コミックス4巻のカバー裏では、「グレートピレニーズという犬を見ながら描いてる」と言及されています。
ジョリィ(『名犬ジョリィ』)
1981年から1982年にNHK総合テレビで放送されていたアニメ、『名犬ジョリィ』。
人から人へと高い値段で売られ、人間に対する信頼と愛情を失ってしまったピレネー犬の「ジョリィ」と共に、孤児であるセバスチャンが母を探す冒険物語です。
アニメ化にあたり、制作スタッフは舞台となるピレネー地方を取材。
ピレネー犬の動きや表情を正確に描写したそうです。

3章でお話をさせてもらった飼い主さんも、「キャラクターとしてグレートピレニーズの再現度が圧倒的に高いのはジョリィ!」と言っていました。
マリリン(『動物のおしゃべり』)
『動物のおしゃべり』は、動物と話せる5歳の女の子ミカちゃんと動物たちの日常を描いた4コマ漫画です。
ミカちゃんが飼っている秋田犬の「タロー」のことが大好きなメスのグレートピレニーズとして登場するのが「マリリン」。
この漫画では、動物たちが擬人化されているのですが…
マリリンも体格の良い女の子として描かれていて、いつも勢い余ってタローを押しつぶしてしまうマリリンがとってもかわいいんです!
忠吉さん(『あずまんが大王』)
ある高校を舞台に、個性的な女子高生たちの毎日がゆるくシュールに描かれている『あずまんが大王』。
登場人物の1人が飼っている犬の「忠吉さん」が、グレートピレニーズをモデルにしているといわれています。
作中でも「“人間ができている“おとなしい犬」と紹介されたり、10歳の女の子を背中に乗せて歩いたり、グレートピレニーズらしさ全開のキャラクターですよ。
たもつ(『自転車屋さんの高橋くん』)
最後は、人付き合いが下手なOLと、自転車屋さんの年下イケメンヤンキーの恋愛を描いた『自転車屋さんの高橋くん』という作品。
ヒロインの実家で飼われていた犬が「たもつ」で、ヒロインがとてもかわいがっている15歳のグレートピレニーズです。
漫画の2巻では、涙なくして読むことはできない、たもつの話が描かれていますよ。

2022年には実写ドラマ化もされた人気漫画。
実写版でたもつを演じたグレートピレニーズは、BIG DOG LUCK看板犬「ぼんじょび」の叔父さんにあたる子が演じていたそうですよ!
飼い主さんインタビュー!グレートピレニーズのいる生活
「グレートピレニーズを飼ってみたい!」
「でも、実際にグレートピレニーズを飼っている人に会ったことないな…」
「正直なところ、グレートピレニーズとの生活ってどんな感じなんだろう?」
そんな声にお答えすべく、BIG DOG LUCKの運営会社「株式会社どえらザウルス」代表でもあり、グレートピレニーズの飼い主さんでもあるどえら井和寿さん(仮名)に直接お話を伺いました。

どえら井さん家のぼんじょびくん
——飼っているグレートピレニーズについて教えてください。
3歳の男の子で、名前は「ぼんじょび」です。
体高は90cmありますが、体重は約40kg。
雄のグレートピレニーズにしては体重が軽めな方ですね。

庭でくつろぐぼんじょび。
——「ぼんじょび」って、あのロックバンドの…?
はい。
「一番面白い犬の名前を考えよう!」と犬の名前を考えている時に、妻が提案してくれました(笑)。
思い出にはいつも大型犬がいた
——どえら井さんと大型犬の最初の出会いはいつ頃ですか。
私は神戸出身なのですが、5歳の時に阪神・淡路大震災に被災して。
実家が半壊認定されたので、いとこが住んでいた三重県に疎開していた時期があったんです。
その時に住んでいた家の向かいに、セント・バーナードを飼っている家とボルゾイを飼っている家がありました。
幼い頃の記憶なので断片的なのですが、その大型犬たちがいて「うれしかった」という感情はすごく覚えています。
——犬を飼った経験は?
その後、兵庫県に戻りマンションに住んだので犬を飼った経験はありません。
でも、そのマンションは中型犬までは飼育OKだったんです。
そこで、ゴールデン・レトリーバーの子犬を3匹飼っている人がいて。
——ゴールデン・レトリーバーって大型犬ですよね。
そうなんです(笑)。
でも、子犬だから、「まあ見ようによっては小型犬でしょう」みたいなグレーな感じで飼っていたんだと思うんですけど。
そのうちの1匹に、伏せとお手をしまくる「モモちゃん」っていう子がいたのですが、僕はそのモモちゃんのことが大好きだったんです。
散歩帰りのモモちゃんと飼い主さんに、「おうちの中でもう少しかわいがってもいいですか?」って聞いていました。
——幼少期の大型犬との思い出が強く印象に残っているんですね。
もちろん小型犬も中型犬も大好きなのですが、小型犬や中型犬だと「物足りなさ」を感じる、というのが正直なところです。
——「物足りなさ」とは?
抱きしめ感、とでも言うのでしょうか。
大型犬をギュッとハグした時の包まれている感じや、腕の中に収まらない感じが、小型犬や中型犬にはない魅力だと思います。

あぐらをかいている人の上に乗ってくる習性があるそう。
グレートピレニーズとの運命の出会い
——そこからグレートピレニーズを飼うまでの経緯を教えてください。
結婚して、「大型犬を飼いたいね」と妻とよく話していました。
私も大型犬との思い出が多かったですし、妻も柴犬を飼っていた経験があったので、自然な流れで「飼うなら大型犬」となっていましたね。
ある日、妻がグレートピレニーズの赤ちゃんが生まれたらしいという情報を見つけてきたんです。
しかも、うちからそう遠くない場所で。
せっかくなら会いに行ってみようとご連絡して会わせていただき、運命の出会いをしてお迎えするに至りました。

どえら井さんの家族になったばかりの頃。
——最初からグレートピレニーズを飼いたかったわけではない?
どちらかというと、私はニューファンドランドのような黒い犬がいいなと思っていました。
黒いと汚れが目立ちにくいですから(笑)。
賢くってちょっと頑固で手もかかるけど、優しい
——実際にグレートピレニーズを飼ってみて分かった「グレートピレニーズの良いところ」を教えてください。
まず大前提、超大型犬なのでとてもエネルギッシュです。
走っている時の躍動感や、抱きついてきた時のパワーは毎回感動します。
グレートピレニーズに限定した良さだと、周りの方から声をかけられる機会がとても多いです。

お友達と遊んでいる一枚。
——グレートピレニーズだから、ですか。
もしこれが、黒い大型犬だったとしたらそこまで話しかけられないんじゃないかな。
やっぱり大きさが大きさなので、全身真っ黒だと獣感というか、ちょっとした怖さが少なからず出てしまうと思います。
グレートピレニーズは白くてモフモフしているので、視覚的・感覚的な“軽さ”があるんでしょうね。
優しい感じとか、雪っぽさとか、ぬいぐるみ感とか。
——なるほど。確かに、白くてふわふわって「かわいい」を具現化したものかもしれません。
他に良いところを挙げるとすると…
とても難しいですね。
家族として愛してしまっているので、公平な目線で見られないところはありますが…(笑)。
でも、とても賢いと思います。
我が家は音声アシスタントのアレクサを導入しているのですが、例えば私がアレクサに「電気消して」と話しかけると、ぼんじょびも自分の寝床に行くんです。
——寝る時間だって分かるのですね。
その一方、頑固な一面があるのもグレートピレニーズの特徴ですね。
散歩中、行きたい方向に連れて行ってもらえない時はその場に座り込んで動かなくなったり。
帰りたくない時は「まだ帰らない〜!」と道に寝転がって反抗したり。
その犬っぽさというか、意地っ張りなところもグレートピレニーズのかわいいところかもしれません。

イヤイヤモードに入ってしまったぼんじょび①。

イヤイヤモードに入ってしまったぼんじょび②。
——逆に、グレートピレニーズを飼うにあたって大変なことは?
抜け毛が非常に多い犬種なので、お手入れが大変です。
シャンプー前のブラッシングでは、ポメラニアン1匹ぐらいの毛の量が抜けます。
よだれの量も多いです。
体温調節などの関係で大量のよだれが出るので、よだれ掛けは必須。
室内に垂れていたよだれで滑って転んだ経験は一度や二度ではありません。
あとは、白いのでやはり汚れが目立ちます。

よだれ掛けは必須アイテム。
★ぼんじょびのシャンプーの様子はこちら▶︎
——性格的にはどうでしょうか。
穏やかですし、基本的にはおとなしいです。
自分が大きいことも理解しているのか、特に小さな子どもがいる場所などでは静かにしていますよ。
でも、「相手が大人だから大丈夫だろう」と犬側が判断してしまうと注意が必要です。
ちょっとテンションが上がってハイタッチしようとしてきた時や突然抱きつこうとした時は、パワーも重量も想像以上なのでヒヤッとした経験もあります。
——どえら井さんにはお子さんもいらっしゃいます。
1歳1カ月の息子にもとても優しいです。
息子が遊んでいるベビーサークルのすぐ近くまで行ったと思ったら、サークルの隙間から手を伸ばせば届く距離に座って、尻尾で遊んでくれていたり。

愛に溢れているまなざし。
大変さを超える幸せ
——「グレートピレニーズあるある」、もしあれば教えてください。
あります、あります!
まずは「犬種をよく間違えられる」。
大体、“めちゃくちゃ大きく育った”スピッツか、サモエドに間違えられますね。
見分け方で一番分かりやすいのは立ち耳か垂れ耳かで、垂れ耳なのがグレートピレニーズです。

意外と似ている犬がたくさん。
——スピッツにしては大きすぎますしね…。
あるあるのもう一つは、「フランス原産の犬種っていうと相手のテンションがちょっと下がる」です(笑)。
フランスってちょっと上品で近寄りがたい感じがあるんでしょうかね?
「実はフランス原産で〜…」と言うと、結構な確率で「あ…、へぇ〜…」みたいな反応をされるので、最近は「ピレネー山脈が由来で〜」と国名に触れずに話すようにしています。
——最後に「グレートピレニーズに興味を持ってくれた人」に向けてメッセージをお願いします。
グレートピレニーズの性格は穏やかですし、見た目もかわいい。
一方で、超大型犬の大変さにプラスして、今お話したようなグレートピレニーズ特有の大変さや配慮が必要な場面は正直多いです。
決して「飼うのが楽な犬種」ではありません。
それでも「その大変さを超える幸せがある」と私は確信しています。
少し厳しい表現かもしれませんが、「グレートピレニーズの欠点やデメリット」を受け入れる覚悟ができている人に限り、その幸せを手にする資格があるとも思います。

視界一面に広がる幸せ。
「飼い犬は飼い主に似てくる」
とよくいわれますが、ぼんじょびとどえら井さんも似ているところが多いようで…。
・ご飯を食べたらソファに寝転がる
・水を飲むスピードが速い
・お調子乗り
などなど。
ぼんじょびの様子をうれしそうに話すどえら井さんの姿がとても印象的でした。
グレートピレニーズについてのまとめ
穏やかで賢い性格のグレートピレニーズ。
一方で、超大型犬ならではの苦労に加え、抜け毛やよだれの量など、日常で気を付ける点も多くあります。
グレートピレニーズという犬種への理解と準備、そして「この犬と最後まで向き合う」という覚悟を持った人にとっては、かけがえのないパートナーとなってくれるでしょう。
グレートピレニーズと暮らす毎日には、見た目通りの「白くてモフモフな安心感」と、見た目以上に「大きな」幸せが、あなたを待っているかもしれませんよ!
この記事の監修者

鮎川 多絵 (愛玩動物飼養管理士2級・ライター)
東京都出身。1986年10月生まれ。趣味は映画鑑賞・1人旅・散歩・動物スケッチ。
家族は保護犬1匹保護猫2匹(+空から見守る黒うさぎのピンキー)。
犬と私
子供の時からイヌ科動物が大好きでした。戸川幸夫氏の「牙王」で狼犬に憧れ、シートン動物記で「オオカミ王ロボ」に胸を打たれました。特に大きな犬のゆったりとした雄姿には目を奪われます。保護犬と保護猫の飼育経験から、動物関連の社会問題、災害時のペット同伴避難について意識を向けています。










