

ぼ、ぼぼ、僕の記事っす~!!
ふわふわの豊かな白い毛と、たれ目で優し気な表情。可愛らしい顔からは想像がつかないほど、大きく迫力のある体は白熊のよう。
グレート・ピレニーズは、一言では語り切れない、いろいろな魅力をもったワンちゃんです。
大きい!ということはなんとなく知っていても、実際にどのくらいのサイズなのか知っていますか?
この記事では、体高や体重などの基本情報から他の大きな犬種との比較、飼う時のポイントを紹介していきます。
[1]一般社団法人 ジャパンケネルクラブ 「犬種別犬籍登録頭数」
この記事を書いた人
グレート・ピレニーズの基本情報
原産国や歴史
グレート・ピレニーズの原産国はフランスで、超大型犬とされる犬種です。
もともと牧羊犬としても活躍していたグレート・ピレニーズは、訓練をされ人のために働く「使役犬」に分類されます。
グレート・ピレニーズは、紀元前6世紀ごろに中央アジアやシベリアから入ってきた遊牧民とともにヨーロッパへ渡ってきた、チベタン・マスティフ系の大型犬が祖先であるといわれています。
長い間、フランスとスペインにまたがるピレネー山脈で牧羊犬や番犬の役割を担っており、「グレート・ピレニーズ」という名前もピレネー山脈が由来とされています。
こんなふわふわで優しそうな見た目なのに、もともとは狼や熊から家畜の群れを守る役目を担っていたんですね。
そのたくましさや勇敢さ、加えて優雅な風貌が評価され、中世ヨーロッパでは城の番犬としても活躍していました。
フランスのルイ14世や、マリー・アントワネットの護衛犬として寵愛を受けていたともいわれています。

僕は、パンもお菓子も食べるっす~!!
毛色や特徴など
毛色は基本的に白です。グレーや、淡いイエローやオレンジの模様が見られる場合もあります。
厳しい寒さから身を守るため、毛は長く厚いダブルコートです。
内側のアンダーコートと、外側のオーバーコートの2層構造の被毛をダブルコートと呼びます。
アンダーコートは保温力・防水性が高く、柔らかい毛が密に生えています。
オーバーコートは直毛や巻き毛など、犬種ごとに個性があります。
ダブルコートに対して、オーバーコートのみの被毛はシングルコートと呼びます。
性格
性格は穏やかで優しく、忍耐強さを持っています。
一方で番犬として活躍した歴史があったように警戒心が強い一面もあり、初めての人や動物に対して攻撃的になる場合もあります。
賢く、自分で判断する独立心も持ち合わせているため、一緒に暮らすためにはしっかりとしたしつけが必要です。
グレート・ピレニーズの大きさ
超大型犬とされるグレート・ピレニーズですが、実際にどのくらいの大きさなのでしょう。
子犬・成犬のサイズをそれぞれ紹介します。
子犬~成犬
超大型犬であるグレート・ピレニーズは、生後3か月ですでにおよそ10kg前後になり、2~3歳ころまで成長が続きます。
成犬の大きさはオス・メスでそれぞれ以下の通りです。
体高※ | 平均体重 |
---|---|
オス:70~82cm メス:65~77cm | 50~60kg |
※体高は地面から首と背中の境目付近までの高さを指し、人間の身長に相当するものです。
一緒に暮らすとこんな大きさ
体高や平均体重を見るだけでも、どうやらずいぶん大きそう……というのはわかりますが、なかなか実際の大きさをイメージするのは難しいですよね。
ここからは一緒に暮らしているグレート・ピレニーズの写真をいくつか紹介します。
「想像以上に大きい!」と驚かれるのではないでしょうか。

2か月頃のグレート・ピレニーズ。まだまだ子犬らしく小さくて可愛らしいですよね。

生まれたての頃の僕っす~!!

すっかり成犬になったグレート・ピレニーズ。

185㎝の男性と並んでも、立ち上がるとこの大きさ!

車と比べてもこのサイズ!かなりの大きさだとわかりますよね。
いかがですか?想像以上に大きい!と思われた方が多いのではないでしょうか。
体が大きい分、力が強く、運動量もたっぷり。
もちろんご飯もたくさん食べるため、お世話はなかなか大変です。
でも、「そんな大変さも含めて楽しい!」と思える方には、まさにぴったりのパートナーといえるでしょう。
他犬種との大きさの比較
犬の大きさには明確な定義があるわけではありませんが、一般的に大型犬に分類されるのは体重が20~40kgのワンちゃんです。
40kg以上は超大型犬といわれ、グレート・ピレニーズもここに該当します。
他の超大型犬と比べ、グレート・ピレニーズはどのくらいの大きさなのでしょう。
代表的な超大型犬をいくつかご紹介します。
犬種 | 体高※ | 平均体重 |
---|---|---|
セント・バーナード | オス:70~90cm メス:65~80cm | 64~120kg |
グレート・デーン | オス:80~90cm メス:72~84cm | 45~90kg |
アイリッシュ・ウルフハウンド | オス:79~86cm メス:71cm以上 | 40.5~54.5kg |
ドーベルマン | オス:68~72cm メス:63~68cm | 32~45kg |
秋田犬 | オス:64~70cm メス:58~64cm | 38~45kg |
グレート・ピレニーズ | オス:70~80cm メス:65~75cm | 50~60kg |
※体高は地面から首と背中の境目付近までの高さを指し、人間の身長に相当するものです。
一般社団法人ジャパンケネルクラブより筆者作成
他の超大型犬と比べてもグレート・ピレニーズは劣らず大きいということがわかりますよね。
グレート・ピレニーズを飼う時のポイント
大きくて可愛くて、つい飼いたい!となってしまいそうなグレート・ピレニーズですが、あまり軽い気持ちでお迎えするのはおすすめできません。
超大型犬には大きいからこその難しい点もあります。
家族の一員として迎える場合は、しっかりと注意点を理解し、環境を整えてからお迎えするようにしましょう。
しつけ
グレート・ピレニーズの性格は温厚で忍耐強く、いざという時には飼い主や家族を守るために行動する勇敢さも持ち合わせています。
しかし、その性格故に、時として家族以外の人や動物に対して攻撃的になってしまうこともあるため、飼い主が十分にコントロールできるようにしておく必要があります。
子犬の時期からトイレトレーニングや甘噛みのしつけに加え、基本的な服従訓練を繰り返し行いましょう。
特に、「待て」の命令をきちんとしておけるようにすることが大切です。

待て、頑張るっす……
飼い主のコマンド(命令)に対して犬が理解し、それに従順に反応するようトレーニングし、覚えていく訓練のことを指します。
主に「おすわり」「まて」「ハウス」「放せ」「来い」「つけ」「ふせ」などがあります。
根気は必要ですが、飼い主と犬との上下関係の維持や、散歩中や家庭内での思わぬトラブルを予防するために重要です。
グレート・ピレニーズのしつけはやや難しいため、トレーナーや専門家の指示を受けながらしつけをしていくのが良いでしょう。
運動
運動量が多く活動的ではありますが、激しい運動よりもゆったりと過ごすことを好みます。
運動不足やストレスが溜まることを防ぐため、1日2回(朝夕)、1回あたり30分~1時間の散歩を行うようにしましょう。
「胃捻転(いねんてん)」の原因となりますので、食事の直後の散歩は避けます(4-5で詳しく解説しています)。
運動時間をしっかり確保できる必要があることに加え、力も強いため、大型犬をしっかり制御できる体力がある方に向いているワンちゃんといえます。
食事と健康管理
フードと水のみで栄養のバランスがとれる、総合栄養食を主食としましょう。
成長や年齢ごとに必要な各栄養素の量は異なるため、「子犬用」「成犬用」「シニア犬用」「体重管理用」など、年齢や目的に応じたフードを与えます。
手作りのフードを与える場合は栄養バランスを保つのが難しいため、サプリメント等で補いながら与えるのがおすすめです。
グレート・ピレニーズは大型犬によく見られる「股関節形成不全」(4-5で詳しく解説しています)を発症しやすいため、肥満にならないよう普段の食生活から気を付けてあげることが大切です。
またグレート・ピレニーズは雪山で暮らしていた犬種のため、夏の暑さにはとても弱いです。
室温は15~21度くらいに設定してあげるとよいでしょう。
特に、夏場はワンちゃんがハアハアと息をして暑そうにしていないか、よく注意して温度管理をしてあげてください。
お手入れ
分厚く密に生えたアンダーコートと、長く剛毛のオーバーコートからなるダブルコートは、夏場は体温の放熱を妨げることにもなります。
余計な被毛を除去するためブラッシングを行います。
基本的にトリミングは必要ありませんが、特に春から夏にかけては「換毛期(かんもうき)」となるので、入念なブラッシングやシャンプーをして丁寧なケアをしてあげましょう。
なりやすい病気
グレート・ピレニーズには、いくつかかかりやすい病気があります。
体が大きいからこそなりやすい病気もあるため、その特徴をしっかりと把握し、普段から気にかけてあげる必要があります。
股関節がうまく発育せず、関節に異常を起こす病気です。
- 大型犬に多く見られる。
- 遺伝や急激な成長が主な原因とされ、症状が悪化すると手術になる場合も。
- 発症や悪化を防ぐため、肥満にならないよう普段から食事や運動量に気を付けてあげることが大切。
足を引きずる、腰を左右に振って歩く、つまづく、運動を嫌がるなどの症状が見られたら速やかに獣医師に相談しましょう。
一度に大量の食べ物を食べたり、その後に動き回ったりすることで胃がねじれてしまい、腹痛や嘔吐、腹部の腫れなどの症状が起こることを胃捻転といいます。
- 大型犬に多く見られる。
- 大量の食事やその後の運動が主な原因
- ご飯の与えすぎに注意し、1日分の食事を2回に分けて与える。
- 水のがぶ飲みも原因となるので注意する。
胃捻転は命を落とすことにも繋がる病気なので、日頃から予防に気を付けてあげることが大切です。
- ダブルコートで被毛が多いため、毛のもつれや毛玉ができることで皮膚が蒸れ、皮膚病になることがある。
- ブラッシングやシャンプーなどのお手入れを怠らず、その際には脱毛や出血がないかにも注意して見てあげる。
ただし、過度なシャンプーは必要な皮脂まで取り除いてしまうため要注意です。
- 加齢に伴って目の水晶体が濁り、視力が落ちる病気。
- 目が白くなったり、壁や物にぶつかったりする。
上記の症状が見られる場合は、獣医師への相談を検討してあげましょう。
骨にできる悪性腫瘍で、いわゆるがんのことです。
- 大型犬に多く見られる。
- 中~老犬の発症が多く、転移が早く死因にも繋がりやすい。
完治や予防が難しいため、足を引きずっていたり痛がったりしている様子が見られたら、早期に獣医師へ相談してください。
まとめ
体高や体重などの基本情報から他の大きな犬種との比較、飼う時のポイントなどを紹介しました。
体が大きい分、簡単にお迎えできるワンちゃんではないかもしれません。
力の強さや体力、モリモリご飯を食べるところなど、超大型犬ならではの大変さもたくさんありますが、
しっかりと責任を持って楽しんでお世話できる飼い主さんにとっては、きっと最高の相棒になってくれることでしょう。

最高の、相棒っす~!!
