
神社を訪れた時、参道で私たちを迎えてくれる狛犬。
その堂々とした体格や凛々しい表情は、まるで大型犬のような威厳がありませんか?
「あれ、うちの子に似てるかも?」
「なぜあそこに座っているんだろう?」
「シーサーとは何が違うの?」
そんな疑問を抱いたこともあるかと思いますが、実は狛犬には、神社において重要な役割があるのです。
この記事では、狛犬の役割や歴史、シーサーとの違いまで詳しく解説します。
狛犬は神社にあるのが一般的とされていますが、まれに、寺院に置かれていることもあります。
この記事を書いた人
狛犬とは?基本的な知識
狛犬[1]とは、神社の境内で見かける左右一対の像のことです。
狛犬をよく見ると、たてがみのようなものが顔の周りにあり、「ライオン…?」なんて思ってしまいますよね。
ここでは、狛犬の特徴や表情の違い、歴史について見ていきましょう。
[1]神社本庁「狛犬について」
狛犬の特徴
まず最大の特徴ともいえるのが、左右一対で設置されているということ。
つまり、左右に1体ずつ、合わせて2体で1つになっています。
石で造られているものが一般的ですが、木製や金属製の狛犬もいます[2]。
奈良県にある東大寺南大門の狛犬が、日本最古の石で造られた狛犬だといわれています。
[2]京都国立博物館「狛犬」
阿吽(あうん)[3]の表情

さて、狛犬がどんな表情をしていたか思い出せるでしょうか。
実は、左右で異なる表情をしているんですよ!
拝殿に向かって、右側の狛犬は口を開けている「阿形(あぎょう)」。
拝殿に向かって、左側の狛犬は口を閉じている「吽形(うんぎょう)」。

仏教用語の多くは、「サンスクリット語」と呼ばれる古代インドで使われていた言語が元になっています。
サンスクリット語で最初の言葉が「ア」と口を開いて出す音、最後の言葉が「フーン」と口を閉じて出す音なのですが、それぞれを訳したものが「阿」と「吽」なのです。
そこから、「阿」は物事の始まり、「吽」は物事の終わりを表しているとされ、ひいては「宇宙の最初と最後」を表現しているといわれています。
つまり、この表情は仏教の教えに由来しているのです。
日本の五十音は、サンスクリット語の配列を参考に整理されたものといわれています。
そのため、サンスクリット語と同じく「あ」で 始まり「ん」で終わっているんですね。
[3]浄土真宗本願寺派「阿吽」
役割
狛犬には、悪い気などから拝殿を守る魔除けの役割があります。
邪気をはらって、神前を守護する存在なのですね。
力強い表情と威厳ある姿で、悪いものが入り込むのを防ぐ姿はまさに番犬のよう!

歴史

狛犬の起源は古代オリエントまで遡るといわれています。
守護獣として国王の椅子などに描かれていた「ライオン」が始まりとの説も。
そこからシルクロードを通って中国に広まり、朝鮮半島を経て日本に伝わったようです。
“仏像の前に置かれた2頭の獅子”として日本に入ってきた際に、「高麗犬(こまいぬ)」と呼ばれるようになったそう。
ということは、やはり狛犬は「犬」ではなく「獅子(ライオン)」なのでしょうか。
その答えは…「△」!
狛犬は左右に1体ずつ、合わせて2体でセットと解説しましたが、実は、それぞれ違う生き物なのです!
向かって右側の口を開けている「阿形(あぎょう)」が「獅子」。
向かって左側の口を閉じている「吽形(うんぎょう)」が「狛犬」。
私たちはこの、獅子と狛犬の組み合わせをまとめて「狛犬」と呼んでいるんですね。
なぜそうなったのか、狛犬の歴史は明らかになっていない部分が多いようですが、異国から伝わった文化を日本人が日本に馴染むような形で変化させていったのだと考えられますね。
もちろん、獅子だけの狛犬や、ウサギやキツネなど他の生き物が狛犬の役目を果たしている神社もあります。

シーサーとの違い
狛犬と似ているものとして、沖縄の「シーサー」がいますよね。
筆者も子供の頃は、狛犬をシーサーだと思ったり、シーサーを狛犬だと思ったりしていました。


こちらは筆者祖母宅にいるシーサー。
狛犬だとずっと思っていたのですが、シーサーだったことが今年判明!
一体、狛犬とシーサーは何が違うのでしょうか?
比較して見ていきましょう。
狛犬とシーサーの違い
| 狛犬 | シーサー | |
|---|---|---|
| イメージ | ![]() | ![]() |
| 設置場所 | 神社や寺院の参道や拝殿の前 | 民家や公共施設の入口や屋根の上 |
| 役割 | 邪気をはらい、神前を守る | 災難や悪霊を防ぐ 幸運を招き、福を連れてくる |
| 材質 | 石造りが一般的 | 赤土と黒土を配合して造られるものが一般的 |
| 伝来方法 | 中国から朝鮮半島を経て日本へ伝来 | 中国から沖縄へ伝来 |
| 設置数 | 左右一対 | 1体でも2体でも可 |
| その他 | 神様の使いとして、神社によってさまざまな生き物が採用されている | 土産品としてカラフルなものやユニークな表情をしているものもある |
狛犬とシーサーの共通点
・口を開けている「阿形(あぎょう)」と口を閉じている「吽形(うんぎょう)」がいる
・獅子が原型(「シーサー」は沖縄の方言で「獅子」のこと)
愛犬と一緒に狛犬を見に行こう!
狛犬について詳しく知ったら、今度は愛犬と一緒に神社を訪れてみませんか?
愛犬と神社を訪れると、一人で参拝する時にはできない素敵な体験があるかも…!
狛犬と愛犬を並べてみて、サイズ感や表情の違いを楽しんだり、愛犬の健康長寿を祈願したりするのも良いかもしれません。
ただし、神前を守るという神聖な役割のある狛犬ですので、もちろん敬意を払う必要があります。
狛犬に触れることで「ご利益がある」としている神社を除き、触ったり撫でたりするのは避けましょう。
★犬連れ参拝のマナーや、犬連れOKの神社はこちらをチェック
▶︎神社って犬連れで行っても大丈夫? 愛犬と一緒に参拝したいおすすめの神社もご紹介!
狛犬についてのまとめ
狛犬は単なる石像ではなく、参道や拝殿前で邪気をはらって、神前を守る重要な役割を担っています。
左右一対で置かれる阿形と吽形の口の形には、それぞれ物事の始まりと終わりを象徴する意味があり、古代オリエントから現代の日本に至るまで、長い歴史の中で神社と参拝者を見守ってきました。
よく混同される沖縄のシーサーにも魔除けの役割があります。
しかし、シーサーが家庭の魔除けや幸福を招く役割を担う一方で、狛犬は神域守護に特化した存在として独自の発展を遂げているといえるでしょう。
今度神社を訪れる際は、ぜひ狛犬の表情をじっくり観察してみてください。
阿吽の口の違いや、威厳ある佇まいに、きっと新たな発見があるはずです。
愛犬と一緒に犬連れOKの神社に参拝するのもおすすめですよ!
神聖な場所でしっかりとマナーを守りながら、大切な愛犬と一緒に狛犬の魅力を再発見してみませんか?

この記事の監修者

鮎川 多絵 (愛玩動物飼養管理士2級・ライター)
東京都出身。1986年10月生まれ。趣味は映画鑑賞・1人旅・散歩・動物スケッチ。
家族は保護犬1匹保護猫2匹(+空から見守る黒うさぎのピンキー)。
犬と私
子供の時からイヌ科動物が大好きでした。戸川幸夫氏の「牙王」で狼犬に憧れ、シートン動物記で「オオカミ王ロボ」に胸を打たれました。特に大きな犬のゆったりとした雄姿には目を奪われます。保護犬と保護猫の飼育経験から、動物関連の社会問題、災害時のペット同伴避難について意識を向けています。
この記事の監修者

吉田萌 (NPO法人ドッグトレーナー2級)
国際動物専門学校 しつけ・トレーニング学科卒。
噛み・吠え癖の酷い元保護犬のビーグルを里親に迎えた事をきっかけに『褒めてしつける』を念頭に活動。 自身の経験を活かし、しつけイベントにて飼い主に寄り添ったトレーニング方法を指導。 ナチュラルペットフード・栄養学の知識にも精通。保有資格はNPO法人ドッグトレーナー2級の他に、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級など。
資格
NPO法人ドッグトレーナー2級、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級









