
愛犬の毛に白いカサカサとしたものを見かけたことはありませんか?
犬も人間と同じようにフケが出るもの。
フケが出ること自体は自然な現象ですが、その理由はさまざまあり病気が隠れていることも。
この記事では犬のフケが出る仕組みから原因、予防と対策までを紹介しています。
愛犬の健やかな毎日のため、フケにお悩みの際はぜひ参考にしてみてくださいね。
この記事を書いた人
犬のフケが出る仕組み
そもそもフケとは、新陳代謝が適切に行われていることで発生するものであり、フケが出ること自体は自然なことです。
皮膚の一番外側にあたる「表皮」は4つの層から成っています。
最も下の層である基底細胞層で表皮の細胞が作られると、分裂をしながら徐々に上の層へと押し上げられます。
そして最も上の層である角質細胞層に到達すると、やがてフケとなって剥がれ落ちていきます。
皮膚はこのようにして細胞が入れ替わっていきますが、この一連の流れを皮膚の「ターンオーバー」と呼びます。

このターンオーバーは人間の身体でも絶えず行われていることです。
人間のターンオーバーが約28日といわれているのに対し、犬は約20日と短めの周期とされています。
犬のフケの原因
フケの量が多い場合は、皮膚に何かしらのトラブルを抱えている可能性があります。
生活環境の改善や適切なケアが必要な場合や、実は病気が原因なんてことも。
なかなか減らないフケに悩まされている時は、以下のような要因が考えられるかもしれません。
フケが出る原因とは?
犬のフケが出る原因はさまざまです。
ここでは主に、シャンプーや生活環境、食事などが要因でフケが増えてしまう事例を紹介しています。
肌に合っていないシャンプー
人によって髪質や肌に合うシャンプーが異なるように、犬によって適しているシャンプーも違います。
脂性肌の犬に乾燥肌用のシャンプーを使っても脂っぽさは改善できません。
脱脂力の強いシャンプーを使い続けるのにも注意が必要です。
適度な皮脂は皮膚のバリアの役割を果たしており、必要以上に皮脂が失われてしまうとバリア機能が低下してフケの原因になることがあります。
愛犬の皮膚の特徴や状態に合わせて、適切なシャンプーを選んであげることが大切です。
乾燥
空気が乾燥する季節にパラパラとしたフケが出ている時は、乾燥肌がフケの原因になっているかもしれません。
犬の皮膚は人間の約1/3ほどしかなく、デリケートで乾燥しやすいのです。
特に、フレンチ・ブルドッグやミニチュア・ピンシャーなどの短毛種には乾燥肌が多いといわれています。
乾燥肌の場合には過度なシャンプーを控えたり皮脂を取りすぎないように保湿剤によるケアをしてあげたりするのが良いでしょう。
ストレス
ストレスによる皮膚トラブルがフケの原因となる可能性もあります。
新陳代謝によりフケが発生することは1章でお伝えした通りですが、ストレスがかかると血管が収縮するために新陳代謝が乱れます。
これにより正しい皮膚の再生にも異常をきたし、フケが多く出てしまうのです。
栄養の偏り
脂肪分の不足や過剰な塩分、刺激物の摂取などの栄養の偏りもフケの要因となる場合があります。
塩分の強い食べ物や、ビタミン・ミネラルの不足には気をつけてあげましょう。
バランスのとれた食事は皮膚の健康につながります。
フケが出たときに考えられる病気
フケの原因が病気にあることもあります。
あまり長くフケが続く場合や大量のフケが出る場合には、動物病院にかかることも検討しましょう。
感染性皮膚炎
| 病名 | 病気の症状 |
|---|---|
| 外部寄生虫 | (1)皮膚疥癬症(ひふかいせんしょう) ヒゼンダニというダニによって起こる皮膚病で、顔や耳、足に皮膚炎を生じたり脱毛が見られたりします。 症状が進行していくとフケやかさぶたが大量に出ます。 (2)毛包虫症(もうほうちゅうしょう) 毛穴に寄生するニキビダニはほとんどの哺乳類の皮膚に常在していますが、免疫の低下によってこれが過剰に増殖したときにフケや脱毛などの症状が見られます。 (3)ツメダニ症 ツメダニというダニの寄生によって起こる皮膚病で、背中を中心に大量のフケが見られます。成虫の大きさは0.4〜0.5㎜と比較的大きく、犬の身体を白いツメダニが徘徊している様子を肉眼で確認できることから、『歩くフケ』とも呼ばれています。 |
| 膿皮症 | 皮膚に常在している「黄色ブドウ球菌」が異常に増殖することで皮膚に赤いポツポツとした発疹や黄色っぽいかさぶたができます。かゆみや脱毛の症状とともにフケが見られます。免疫力の低下やアレルギーなどあらゆる原因が考えられます。 |
| 皮膚糸状菌症 | 糸状菌という皮膚に常在している真菌(カビの一種)が過剰に増殖することによって発症します。フケや円形脱毛が見られます。抵抗力の低い子犬や老犬、免疫不全などの犬は注意が必要です。 |
| マラセチア皮膚炎 | 犬の皮膚や外耳道などに常在しているマラセチアという酵母様真菌(カビの一種)が過剰に増殖することによって起こる皮膚病で、脂っぽい環境を好む性質があります。体質的に皮脂の分泌が多い犬や、アレルギーやターンオーバー異常など皮膚のバリア機能が低下していると発症しやすいです。フケの他、赤くなる、激しいかゆみ、脱毛などが見られます。 |
アレルギー性皮膚炎
| 病名 | 症状 |
|---|---|
| アレルギー性皮膚炎 | 体を守る免疫が特定の物質に過剰に反応している状態がアレルギーであり、これにより皮膚に炎症やかゆみが生じている状態がアレルギー性皮膚炎です。 皮膚のかゆみや赤みが主な症状ですが、フケが出ることもあります。 食べ物や花粉、ハウスダスト、カビなどが原因となります。 |
| アトピー性皮膚炎 | アレルギー性皮膚炎の一種で、花粉やハウスダスト、カビなどの環境中に存在するアレルゲンと接触することで、体内の免疫機構が過剰に反応し生じる皮膚炎です。遺伝的な要因が大きいといわれています。 |
脂漏症(しろうしょう)
皮膚のターンオーバーが異常に速くなるために起こる症状です。
乾性脂漏と湿性脂漏に分けられ、大量のカサカサとしたフケは皮膚が乾燥する乾性脂漏でよく見られる症状です。
湿性脂漏では反対に皮脂分泌が異常に増えることで、皮膚のべたつきや脂っぽいフケが出たり、臭いがきつくなったりします。
遺伝性によるものと、感染やアレルギー、栄養の偏りなどから発生するものがあります。
甲状腺機能低下症
甲状腺とは喉にある器官のことで、その機能が何らかの原因で低下してしまうのが甲状腺機能低下症です。乾燥やフケが見られる他、元気がなくなる、脱毛、色素沈着、食欲の低下などさまざまな症状が見られます。
元気がなかったり、毛づやが悪く皮膚がカサカサしてフケっぽかったりする場合には甲状腺機能低下症が疑われます。
予防と対策
フケを予防したり改善したりするために、普段から気を付けられることもあります。
愛犬にフケが見られる時には、以下の予防と対策を参考にしてみてください。
改善しない場合には動物病院に連れて行き、適切な治療を受けさせてあげましょう。
シャンプー
フケの原因となる皮膚病予防のためには、皮膚を清潔に保ってあげることが大切です。
皮膚はターンオーバーにより古い皮膚細胞が剥がれ落ちてフケになりますが、この古い皮膚細胞や皮脂が混ざり合い皮膚の汚れとなります。
定期的なシャンプーで汚れを取り除いてあげるようにしましょう。
過度なシャンプーや間違った方法で行ってしまうと、愛犬の健康を考えているつもりが逆効果…なんてことも。
以下で適切なシャンプーの方法を紹介しています。
シャンプー前準備:ブラッシング

シャンプー前のブラッシングである程度の汚れや抜け毛を取り除くことは、シャンプーを皮膚に届きやすくするだけでなく、乾かす時間を短縮して皮膚の乾燥も防ぎます。
この時皮膚の状態をよく観察し、ノミやダニがいないかもチェックしてあげましょう。
ぬるま湯か冷水で前洗いする
35度くらいのぬるま湯か冷水で前洗いをしましょう。
お湯の温度が高すぎると皮脂を余計に取り除いてしまい、皮膚の乾燥の原因となります。
シャンプーを泡立て、優しく洗う

あらかじめシャンプーを泡立てることで皮膚との摩擦を減らします。
泡を皮膚の表面にまんべんなく広げ、指でマッサージするように優しく洗います。
よくすすぎ、タオルで優しく水気を拭きとる

皮膚トラブルの原因ともなるため、シャンプーは十分にすすぎましょう。
顔から頭、首、背中、足と高い位置から順番にすすぐと洗いやすいです。
十分に洗い流した後は皮膚にタオルを押し付けるようにして優しく水分を拭き取ります。
ゴシゴシと皮膚を強くこすらないように気をつけましょう。
ドライヤーで乾かす

タオルドライのみだと指の間や脇の下、内股などの乾きづらい場所が長時間生乾きの状態となり、皮膚炎の原因になります。
しっかりとドライヤーで乾かしてあげることが大切です。
ただし、皮膚に特に異常がなく健康な場合でも低温で、皮膚に何かしらの異常がある場合には冷風で乾かしてあげましょう。
シャンプー後の皮膚の状態を観察する
シャンプー前の状態から変化がないか観察してあげます。
この時の状態や肌質に合わせて適切なシャンプーを選んであげましょう。
皮膚に異常が見られる場合には主治医の指示に従って適切なシャンプーを使用してあげてください。
保湿
特にシャンプー後は皮膚が乾燥しやすくなります。
シャンプーだけで皮膚の乾燥やフケが改善しない場合は、併せて保湿剤を使用するのも良いでしょう。
スプレータイプやローションタイプなど種類もさまざまなものがあります。
成分や効果によって適切なものを選んであげてください。
ブラッシング
定期的なブラッシングは、毛のもつれや抜け毛、ほこりやフケなどの汚れを取り除き、皮膚を清潔に保って皮膚トラブルを防ぎます。
ブラッシングをする際に地肌や毛の状態をよく観察することができ、皮膚の異常やノミ・ダニなどの外部寄生虫の発見にも繋がります。
犬の皮膚は薄くデリケートなため、力加減は注意して行うようにしましょう。
ブラシにはさまざまな種類があり犬種や被毛の特徴などによって適切なものを選んであげることが大切です。
トリミングサロンや動物病院に相談するのも良いですね。
部屋の湿度を適切に保つ
エアコンや暖房を使用する季節には特に乾燥に気を付けるようにしてください。
犬にとって最適な湿度は40〜60%といわれています。
加湿器などを使用して部屋の湿度を調整してあげましょう。
栄養バランスに気をつける
栄養バランスのとれた食事は適切な新陳代謝を促し、免疫力を向上させます。
被毛や皮膚を作るタンパク質や皮膚を守る必須脂肪酸、新陳代謝を促すビタミンやミネラルなど必要な栄養をバランスよく摂取できるよう、食事を見直してあげるのも良いかもしれません。
まとめ
フケは新陳代謝により自然と発生するもので、必ずしも何か問題が隠れているとは限りません。
しかし、大量のフケが出るときには以下のような理由が考えられます。
- シャンプーが肌に合っていない
- 乾燥
- ストレス
- 栄養の偏り
また、以下のような病気が原因でフケが出ていることもあります。
- 感染性皮膚炎(外部寄生虫、膿皮症、皮膚糸状菌症、マラセチア皮膚炎)
- アレルギー性皮膚炎(アトピー性皮膚炎)
- 脂漏症
- 甲状腺機能低下症
フケに悩みを抱えている場合には、シャンプーや保湿、ブラッシングや、部屋の湿度や栄養バランスを改善してあげることで予防になることもあります。
ただし、病気が隠れていることもありますので、あまり改善しない時には動物病院に連れて行ってあげましょう。
大切な愛犬が清潔で快適に過ごせるよう、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
この記事の監修者

鮎川 多絵 (愛玩動物飼養管理士2級・ライター)
東京都出身。1986年10月生まれ。趣味は映画鑑賞・1人旅・散歩・動物スケッチ。
家族は保護犬1匹保護猫2匹(+空から見守る黒うさぎのピンキー)。
犬と私
子供の時からイヌ科動物が大好きでした。戸川幸夫氏の「牙王」で狼犬に憧れ、シートン動物記で「オオカミ王ロボ」に胸を打たれました。特に大きな犬のゆったりとした雄姿には目を奪われます。保護犬と保護猫の飼育経験から、動物関連の社会問題、災害時のペット同伴避難について意識を向けています。









