
自分の大切なペットのためにおいしいと思ってもらえるご飯をあげたいけど、犬の味覚ってどうなっているのか、人間と同じなのか疑問を感じる方は多いと思います。
医者には人間と同じものをあげるのは控えるように言われたけど、ペット用のケーキはどうなのか?など、大切な家族である犬のご飯にはかなり慎重になりますよね。
そこで今回は「犬の味覚」がどうなっているのか、また犬が好む味覚・好まない味覚は何なのか解説します。
ぜひこちらの記事を参考にして、大切なペットのご飯を選んでみてください。
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犬の味覚とは?基本構造を解説
犬は人間と同じく味を認識することができます。
人間は舌には「味蕾細胞(みらいさいぼう)」と呼ばれる味を感じる細胞があり、そこで味覚を感じます。犬も同じように舌に味蕾細胞があるため、味覚を感じられます。
人間は味蕾細胞が舌全体に9千~1万個あると言われており、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「旨味」の5種類の味覚を感じることができます。
一方で、犬の舌の味蕾細胞の数は2000個程度と人間の数の1/5であるため、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」の4種類しか感じることができないと言われています[1]。
味蕾細胞の数 | 味覚の種類 | |
---|---|---|
人間 | 9千~1万個 | 「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「旨味」 |
犬 | 2000個程度 | 「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」 |

[1]ALL動物病院「犬と猫は人と同じように味を感じるの?」
犬の味覚が感じる4種類の味覚について
犬の味覚は、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」の4種類と言われています。
そこで4つの味覚はどういった味覚なのか?またどういった食べ物が当たるのかを紹介します。
甘味
甘味は炭水化物の一種である糖類(ショ糖、ブドウ糖、果糖など)を中心にもたらす味覚です。
砂糖や蜜のような甘い味のことを指し、動物のエネルギー源としてとても大切な役割を果たします。
例)果物、芋類、かぼちゃ、サトウキビなど
塩味
食塩そのものや食塩を用いた調味料等によってつけられた味を指し、食塩の主成分でもある塩化ナトリウムが塩味をもたらします。
塩味は、体の調子を整えるために必要なミネラルを示す味として本能的に好まれます。
例)食塩、醤油、ソース類など
酸味
酢やレモン、梅干などの「すっぱい」と言い表される味のことを指し、有機酸である酢に含まれる酢酸やレモンや梅干しに含まれるクエン酸が代表的な酸味成分として挙げられます。
食欲増進やエネルギー代謝に関わる有機酸を示す味として好まれます。
有機酸:酸性を示す有機化合物の総称
例)酢、レモン、梅干しなど
苦味
コーヒーやビール、ゴーヤなど舌を刺激するような苦い味のことを指し、コーヒーなどのカフェイン、ビールのイソフムロン、ゴーヤのククルビタシンなど、植物由来のものが代表的な苦味成分として挙げられます。
本来苦味は毒のあるものを示す味として認識されるようになっているため、甘味や塩味と比べて感じやすくなっています。
例)コーヒー、ビール、ゴーヤなど
犬が好む味覚と食べ物

甘味、塩味、酸味、苦味の4種の味覚を感じる犬ですが、好む味覚は「甘味」だと言われています。
犬は特に甘味を強く感じやすく、多くの犬が甘いものを好む傾向にあります。
但し、砂糖や人工甘味料で味付けされた食事は犬には刺激が強いため、食事として与えるのは控えましょう。
果物や野菜に含まれる糖質や肉や魚に含まれるアミノ酸は犬が甘味として感じることができるため、もし犬に甘味を感じる食事を食べさせてあげたい場合は果物や野菜、肉、魚を与えるようにしましょう。
犬が好きな甘みのある食べ物の例をいくつかご紹介します。
肉類 | ・ささみ・鹿肉・牛肉 など |
野菜 | ・キャベツ・カボチャ・ブロッコリー・さつまいも など |
果物 | ・りんご・バナナ・いちご など |
犬が好まない味覚と食べ物
犬が好まない味覚ですが、「酸味」と「苦味」だと言われています。
酸味は犬にとって刺激が強いため好まない犬が多く、苦味は体に害があると認識するため犬は苦味を避けます。
犬が苦手な食べ物の一例は下記になります。
酸味のある食べ物 | ・梅干し・酢・オレンジ・キウイ など |
苦味のある食べ物 | ・ゴーヤ・紫キャベツ・コーヒー など |
犬がご飯を食べない時は”甘味”で解決

いつも通りドッグフードをあげているけどなかなか食べてくれない……
でも体調不良ではなさそう……
そんな時は犬が好む味覚であるトッピングをいつもの食事に加えてみると良いでしょう。
但し、毎日甘味の強い食事をたくさんあげているとその味覚に慣れてしまうため、まずはいつものご飯に少し混ぜてあげるのが良いでしょう。
また犬は味覚よりも匂いの方が食事の好みに影響すると言われているため、匂いをアレンジしてあげるのもおすすめ。
いつものドッグフードを温めて香りを強くしたり、犬が好む香りの食べ物を入れてあげたりして、犬が食べやすいように工夫してみると良いでしょう。
まとめ
今回の記事では、犬の味覚と犬が好む味覚・食べ物、好まない味覚・食べ物について解説しました。
犬に食べたいと思ってもらえる食事を与えられるように、犬の味覚の仕組みについてしっかり理解しておくことはとても大事です。
味覚を上手く調整しながら、大切なペットの食事を素敵な時間にできると良いですね。
この記事の監修者

吉田萌 (NPO法人ドッグトレーナー2級)
国際動物専門学校 しつけ・トレーニング学科卒。
噛み・吠え癖の酷い元保護犬のビーグルを里親に迎えた事をきっかけに『褒めてしつける』を念頭に活動。 自身の経験を活かし、しつけイベントにて飼い主に寄り添ったトレーニング方法を指導。 ナチュラルペットフード・栄養学の知識にも精通。保有資格はNPO法人ドッグトレーナー2級の他に、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級など。
資格
NPO法人ドッグトレーナー2級、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級