ベージュの可愛い犬が少し寂しそうに床に顎を付けてじっとしている

通勤通学の満員電車や仕事の忙しさ、苦手な家事など日常的にストレスを感じることってたくさんありますよね。

田代夏海

「毎日お家でのんびりしている犬はいいな〜」「私と代わってよ〜」なんて思ってしまうこともありますが、もちろん犬だってストレスを感じることはあるんです

人間にとっては何でもないことでも、思わぬことが犬のストレスの原因になることも

この記事では犬がストレスを感じることや、ストレスを感じた時に現れるサイン、対策を紹介しています

大切な家族である愛犬が日々健やかに過ごせるよう、ぜひ参考にしてみてください。

この記事を書いた人

犬もストレスを感じる!良くない影響とは?

犬のストレスが溜まると現れる症状

牙をむいて大きく口を開けて威嚇をしている白と黒の大きな犬

人間がストレスにより様々な問題や不調を生じてしまうように、犬もストレスが溜まると健康に悪影響を及ぼしたり問題行動の原因になったりします

ストレスが溜まることにより以下のような問題行動が見られることがあります[1]

  • 攻撃的になる(うなる、吠える、噛みつく、突進するなど)
  • 無気力、無表情
  • 逃げる、隠れる
  • 激しい呼吸をする

さらに重度のストレスを感じたり溜め続けたりすると体調不良や病気になる可能性もあります

  • 食欲不振
  • 下痢や嘔吐(胃潰瘍を起こして吐血をする恐れもあります)
  • 肥満(ストレスにより運動不足や過食を生じる)
  • 脱毛
  • 発作
  • 心臓病(慢性的なストレスが心拍数や血圧を上昇させる)
  • 皮膚疾患(アレルギーや皮膚炎の悪化)

不安や抑うつの症状が表れ、メンタルヘルスにまで影響を及ぼすことも

犬が健康に過ごせるよう、ストレスを軽減する環境を整えることが大切です。

[1]日本インストラクター技術協会「犬のストレスサインの原因と対策!

犬がストレスを感じる10のこと

では犬がストレスを感じてしまうのはどんな時なのでしょう?

ここからは、犬がストレスを感じる10個の原因を、「生理的要因」「心理的要因」「物理的要因」の3つに分類して紹介します。

<生理的要因>

家の中は犬にとって最も快適で安心できる場所であることが大切です。

食事やトイレ、睡眠環境など毎日の生活で生理的欲求がうまく満たされていないと、犬はストレスを抱えてしまいます

以下のような状況になっていないか、日頃から気を付けてあげましょう。

要因内容

①空腹や
バランスの悪い食事     
犬の年齢や体型、サイズに合わせた適切な内容の食事を提供してあげないと、ストレスの蓄積だけでなく、栄養不足による健康問題を引き起こす可能性もあります。
犬にとって食事は大きな楽しみの1つです。バランスのとれた食事を心がけてあげましょう

➁喉の渇き
喉が乾いていることや、新鮮な水が飲めないこともストレスの原因となります。
特に、暑い時や室内では脱水症状を起こすケースもあるので注意してあげてください。



③睡眠不足
人間にとっての睡眠と同じように、犬にとっての睡眠も日中の活動で使ったエネルギーの回復、脳のメンテナンス、免疫力のアップなど重要な役割があります。
睡眠不足になるとストレスがたまり、食欲不振など健康問題を引き起こすおそれもあります。
犬は1回の睡眠時間が浅く短いため、質の高い睡眠をとらせてあげることが大切です。
夜は電気を消し、ぐっすりと眠れるようにしてあげましょう。

④運動不足
運動は筋肉の維持など健康な体作りに必要なのはもちろん、ストレス発散の役割もあります。
外に出ることで様々な刺激を与えることにもなり、老化の防止につながるともいわれています。
反対に過剰な運動もまたストレスの原因となりますので、愛犬の様子を良く見ながら調整してください。

<心理的要因>

日常が「変化」することがストレスになる場合もあります。

引っ越しや家族構成が変わるなどの環境の変化はもちろん、イライラしていたり急に構ってもらえなくなったりと、家族の接し方が変わることで犬はストレスを感じることがあります。

要因内容


⑤引っ越しや旅行など    
環境の変化
新しい環境や知らない環境に対する不安や緊張は犬のストレスになることがあります。
部屋の模様替えをしただけでストレスを感じる…なんて繊細なワンちゃんも。
犬のお気に入りのものをそばに置いてあげたり、段階的に環境を変えていったりなどの工夫が必要です。
新しくペットを迎える、赤ちゃんが生まれるなど、家族構成の変化もストレスの原因となります。

⑥飼い主のイライラや
家庭内のケンカ
飼い主の機嫌が悪い時や、家族同士がケンカしている時など、言葉はわからなくても犬は飼い主の感情に敏感です
いつでも穏やかでいることは難しいかもしれませんが、イライラして犬に八つ当たりをしたり、あまり犬に構ってあげなかったりと、一貫性のない態度は犬にとってストレスになります。



⑦長時間の留守番や
コミュニケーション不足       
長時間の留守番や飼い主とのコミュニケーション不足による孤独感は、犬にとって多大なストレスになることがあります
不安から無駄吠えやいたずら、自傷行為、攻撃的な行動など問題行動へ発展してしまう可能性があります。
お留守番をなくすことは無理でも、一緒に過ごす時間を延ばしてあげられないか、愛情を持って接してあげられているかなど、改善できるところがないか見直してみましょう。

<物理的要因>

犬が快適に感じる気温や湿度は人間と違うことがあります。

また聴覚や嗅覚などが優れている犬にとって、人間には気にならないようなことでも思わぬストレスの原因になることがあります。

要因内容

⑧不適切な
生活環境 
暑すぎたり寒すぎたりする、食事場・水飲み場やベッド、トイレシーツが汚れている、フローリングで滑りやすいなど、小さなことでも毎日の生活の中で犬のストレスは蓄積されていきます。
エアコンで室温や湿度を調整する犬の過ごす場所を清潔に保つ滑りにくいようマットを敷くなど工夫をしてあげてください。


⑨苦手な音や
大きな音     
ドライヤーや掃除機、雷や花火などの大きな音に不安や恐怖を感じ、その緊張状態が犬のストレスになることがあります。
すぐに克服するのは難しいかもしれませんが、飼い主がそばで声かけをしてあげるなど、悪い状況ではないということを覚えさせ、徐々に慣れていけるようにしましょう。

⑩ドッグウェア
ドッグウェアはおしゃれ目的だけでなく体温調節の補助や皮膚の保護、雨天時の汚れ防止など有効な点もありますが、長時間の着用は犬にストレスを与えることがあります
着用は必要なタイミングだけにとどめ、嫌がる場合は無理に着せるのはやめましょう。

愛犬のストレスチェック!犬のストレスサイン

パグが布を頭からかぶり、顔だけ出してじっとしている

大切な愛犬のストレスにすぐ気づいて対処してあげたい。

飼い主なら誰でもそう思いますよね。

ただ人間のように言葉で伝えてくれることができない分、「どうやって気づいてあげたらいいの…?」と思ってしまうかもしれません。

犬のストレスのサインは普段の行動の中に隠れているかも。

愛犬の様子がいつもと違うと感じた時は、以下で紹介する犬のストレスサインを思い出してみてくださいね。

度合いごとに解説しています。

【ストレス度:低 カーミングシグナル】

カーミングシグナルとは、不安や葛藤、緊張などのマイナスな感情を相手に伝えることにより、相手と自分を落ち着かせるための行動のことです。

トラブルを避けたいストレスを軽減したいという気持ちが表れています。

・あくびをする
・目をそらす、まばたきをする
・相手から顔や体をそむける
・体をブルブルと振る
・舌をペロリと出す
・体をかく
・伏せる(相手に低い姿勢をとる)
・地面のにおいをかぐ・軽度の食欲不振など

【ストレス度:中 攻撃や威嚇などの問題行動】

上記で挙げたカーミングシグナルは相手に不快な状況であることを伝えるものです。

飼い主に上手く伝わらない場合、攻撃的な問題行動をとる場合があります。

ストレスの原因を遠ざけようとしているのです。

・うなる、吠える
・歯を見せる
・突進する
・鼻にしわを寄せる
・かみつく、かみつくふりをする
・パニックになり逃げる、腰が引ける
・口を開けハアハアと激しい呼吸をする
・不適切な排泄(構ってほしい気持ちからわざと失敗する)
・しきりと手足を舐めるなど

【ストレス度:高 体調不良や病気の症状が出る】

慢性的にストレスを抱えコントロールしきれなくなると、体調不良になったり病気の症状が出たりすることがあります。

また、無気力やうつのような状態になってしまうこともあります。

犬の様子に異変が表れたら、速やかに病院に連れて行ってあげましょう。

・食欲がない
・下痢や嘔吐などの消化管トラブル
・寝ている時間が長すぎる、活動しない
・落ち着かずウロウロとして休まない
・自分の尻尾を血が出るほどかむ
・手足を必要に舐め、脱毛や皮膚炎を起こす
・脱毛
・下痢や嘔吐
・異物を食べる、旋回し続けるなどの異常行動
・震えが止まらないなど

犬のストレスを解消する方法

ここまで、ストレスにより犬に表れる症状や原因、ストレスサインを紹介してきました。

では、犬が溜めてしまったストレスはどうやって解消してあげたら良いのでしょうか?

(1)散歩やスキンシップの時間を増やす

舗装された道を飼い主と歩く、ゴールデンレトリバー

犬にとって、大好きな飼い主との散歩やスキンシップは何よりの楽しみ。

もちろんストレス解消につながります。

毎日の散歩の時間や回数に注意することは、犬のストレス解消に効果的です。

ワン!ポイント

必要な運動量は犬種や個体により異なりますが、1日のだいたいの目安は以下の通りです。

・小型犬:1回30分程度の散歩を1~2回

・中型犬:1日30~45分程度の散歩を1~2回

・大型犬:1時間程度の散歩を2回

また、マッサージをしたり、優しく話しかけたり、愛犬とゆっくり向き合うスキンシップの時間を作ってあげるのも良いでしょう。

(2)犬用のガムやおもちゃを与える

赤いおもちゃや、他のこまごまとしたオモチャと一緒にどれで遊ぼうか決めかねている黒い犬

犬はかむことでストレスを解消します。

とはいえ、家具などをかんでしまう癖がつくと困ってしまいますよね。

犬用のガムやかんで遊べるおもちゃがあれば、犬、飼い主の双方にとってストレスのない生活を送ることができるでしょう。

ただし、体質に合っているかどうか、かむのに硬すぎないかには注意してあげてください

また、おもちゃは雨で散歩が難しいような場合にも、散歩の代わりとしてストレス解消に有効な方法です。

(3)のんびりとお昼寝させてあげる

目をつぶって床にひれ伏す大きな茶色い犬

お昼寝も犬のストレス解消となります。

愛犬がのんびりとお昼寝をしている時は、なるべく静かに眠れる環境を保ってあげましょう。

近くで大きな物音がしたり、飼い主が忙しなく動き回っていたりすると気になって眠れず、余計にストレスが溜まってしまうかもしれません。

(4)生活環境を整える

かわいい茶色い子犬が、フローリングのお部屋で、ブルーグレイのソファーに座って嬉しそうにしている

過ごしやすい生活環境は、犬のストレス予防になります

当たり前に思われるかもしれませんが、改めて以下の点を見直してみてください。

ワン!ポイント

生活環境を整えるには以下の項目がポイントです。

  • ハウスは常に清潔に保つ
  • 犬にとって快適な室温にしておく
  • お気に入りのおもちゃなどを置いておく
  • 大きな音を出さない
  • 匂いの強いもの(香水やルームフレグランスなど)は避ける  など

まとめ

犬がストレスを感じることや、ストレスを感じた時に現れるサインとその対策などを紹介しました。

犬のストレスになる原因は、生理的要因、心理的要因、物理的要因に分類できます




生理的要因
①空腹やバランスの悪い食事
➁喉の渇き
③睡眠不足
④運動不足


心理的要因
⑤引っ越しや旅行など環境の変化
⑥飼い主のイライラや家庭内のケンカ
⑦長時間の留守番やコミュニケーション不足

物理的要因
⑧不適切な生活環境
⑨苦手な音や大きな音
⑩ドッグウェア

100%ストレスフリーな生活をさせてあげることは難しいかもしれませんが、ストレスを溜めてしまう前に予防をしたり、ストレスを抱えているサインを見つけたら解消してあげる工夫をしたりと、犬の様子を普段から良く見ていてあげることが大切です。

大切な家族である愛犬が健康で幸せに暮らせるよう、参考になれば嬉しいです。

赤いバンダナを巻いた白と黒の可愛い犬がこちらを見上げて微笑んでいる

 この記事の監修者

鮎川 多絵 (愛玩動物飼養管理士2級・ライター)

東京都出身。1986年10月生まれ。趣味は映画鑑賞・1人旅・散歩・動物スケッチ。
家族は保護犬1匹保護猫2匹(+空から見守る黒うさぎのピンキー)。

犬と私
子供の時からイヌ科動物が大好きでした。戸川幸夫氏の「牙王」で狼犬に憧れ、シートン動物記で「オオカミ王ロボ」に胸を打たれました。特に大きな犬のゆったりとした雄姿には目を奪われます。保護犬と保護猫の飼育経験から、動物関連の社会問題、災害時のペット同伴避難について意識を向けています。

HP/SNS
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資格
愛玩動物飼養管理士2級 防災コーディネーター 学芸員 登録日本語教員

この記事を書いた人

田代夏海

神奈川県生まれ。趣味は読書、音楽、旅、映画、美術館、動物園、植物、
散歩、写真など。好きなことをしているときの自分と時間が好き。
第49期 宣伝会議 編集・ライター講座修了。
一番好きな犬種はミニチュアシュナウザー。犬と名前の付く生き物は何でも好き。5歳から一緒に育った愛犬の、肉球から香るボーロのような匂いを今でもときどき思い出します。

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