
犬の皮膚病は種類が多く、現れる症状もさまざまです。
皮膚病はかゆみや赤み、フケなど小さな変化から始まります。
普段からよく皮膚の状態を観察してあげましょう。
愛犬の健康状態の大切な指標となりますよ。
この記事では、犬が皮膚病にかかってしまった時に見られるサインから代表的な皮膚病と原因、治療法や予防法までを解説しています。
日々のケアの中で愛犬の皮膚に少しでも「あれ?」と思う異変が見られたら、ぜひ参考にしてみてください。
この記事を書いた人
犬の皮膚病のサイン
症状が進むと重大な病気にもなりかねない犬の皮膚病。
そんな皮膚病も始めの頃の小さな異変に気付けていれば早い段階で防ぐことができるかもしれません。
ご家庭でもチェックできるポイントをご紹介します。
<皮膚病チェックポイント☑>
| 症状 | 注意するポイント |
|---|---|
| 赤み | 炎症やアレルギーの初期症状として、特に耳の内側や脇、内股、お腹などの毛の薄い皮膚の部分に赤みが出ることがあります。 赤みのあるところが熱を持っている、舐めている、触られるのを嫌がるなどの異変がないかにも注意しましょう。 |
| かゆみ | 犬がしきりに体を掻いたり、噛んだり、舐めたりしているのも皮膚病のサインかもしれません。 特に耳や足先、お腹など特定の部位を頻繁に掻いていることがあります。 |
| 脱毛や掻き壊し | 局所的に脱毛していたり、出血したりしている時は、皮膚病によるかゆみから掻き壊してしまっていることが考えられます。 放っておくと掻き壊しによる二次的な皮膚病が起こります。 |
| 発疹やかさぶた | 皮膚病により小さなブツブツとした発疹や膿のあるニキビのようなものができることがあり、発疹が破れるとかさぶたができます。 |
| フケ | 白い粉のようなフケや黒いフケが見られるようになったら、皮膚のバリア機能が低下して細菌や真菌が増えやすい「皮膚病予備軍」の状態かもしれません。 少しでも不安があれば獣医師に相談するようにしましょう。 |
| 色素沈着 | 皮膚の部分的または全体的な黒ずみは、皮膚の長期的な炎症によりメラニンが沈着していることが原因である可能性があります。 |
代表的な犬の皮膚病と原因
では、犬の皮膚病には具体的にどんな種類があるのでしょうか?
皮膚病といっても、その原因はさまざまです。
原因によって見られる症状も異なるため、普段のスキンシップやホームケアの中で皮膚に異変がないか、よく見てあげることが大切です。
細菌や真菌が原因の皮膚病
| 病名 | 詳細 |
|---|---|
| 膿皮症(のうひしょう) | 細菌や真菌などが原因となる感染症で、ブドウ球菌が原因であることが最も多いです。 かゆみ、発疹、炎症、湿疹などが見られます。 免疫機能が低下したり、皮膚のバリア機能が損傷したりしていると皮膚に細菌が侵入しやすくなり、発症しやすくなります。 |
| 皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう) | 糸状菌に感染することにより発症します。 かゆみや発赤、脱毛、ニキビなどが見られます。 糸状菌は犬の皮脂分泌腺に存在する細菌です。 犬の免疫力が弱っていたり、皮脂分泌過剰、湿疹、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患があったりする場合に糸状菌が増殖し、発症します。 |
| マラセチア皮膚炎 | 犬の皮膚や耳などに常在しているマラセチアという酵母様真菌(カビ)が過剰に増殖することによって引き起こされます。 皮膚の赤みやかゆみ、硬化、脱毛、異臭などの症状が現れます。 皮膚表面の皮脂を栄養源として増殖するため、皮膚にべたつきのある犬は特に注意が必要です。 |
寄生虫が原因の皮膚病
| 病名 | 詳細 |
|---|---|
| ニキビダニ症 | ニキビダニは毛包虫(もうほうちゅう)とも呼ばれ、健康な犬の皮膚にも生息する寄生虫です。 通常ニキビダニによる健康的な被害はありませんが、免疫力が低下していたり、栄養状態が整っていなかったりすると過剰に増殖し、発症してしまうことがあります。 小さな赤い丘疹(きゅうしん)、かゆみ、発赤(はっせき)、炎症などが見られます。 |
| 疥癬(かいせん) | 疥癬虫(かいせんちゅう)は犬の皮膚に生息する寄生虫で、疥虫に刺されると発症します。 かゆみ、発赤、脱毛、ニキビなどの症状が見られます。 特に耳、首、背中、脚に現れやすいです。 |
生活環境や体質などが原因の皮膚病
| 病名 | 詳細 |
|---|---|
| 甲状腺機能低下症 | 犬は甲状腺から甲状腺ホルモンを分泌することで代謝のコントロールを行っています。 この甲状腺の機能が低下することにより無気力や低体温、筋力の低下、顔面神経麻痺、肥満などの症状が見られますが、皮膚の異常もその一つです。 色素沈着や角化亢進(かくかこうしん)※、脱毛などが見られます。 |
| アレルギー性皮膚炎 | ハウスダストや花粉、カビ、アレルゲンとなる食物、ノミに噛まれた際のノミの唾液など、様々なアレルゲンが原因になります。 耳や脇、股、足先、口や目の周りなどにかゆみが出ることが主な症状です。 症状が進行すると皮膚の赤みや脱毛、発疹などが見られることもあります。 |
| アトピー性皮膚炎 | 発症には遺伝的な体質や原因となるアレルゲン、生活環境などが関係するため、それぞれに合わせた治療が必要になります。 かゆみや脱毛、色素沈着などが見られ、特に顔周りや脇、手足の先、内股などに炎症や皮膚の硬化が見られることもあります。 |
皮膚が分厚く硬くなるトラブルのことです。
乾燥してガサガサしたり、フケが出るなどの状態が見られます。
皮膚病にかかってしまった時の治療法
2章でご紹介したように、犬の皮膚病には様々な原因があります。
そのため、症状や個体に合わせた治療が必要になります。
獣医師とよく相談のうえ対処してあげるようにしましょう。
動物病院を受診する

愛犬の皮膚に異常が見られたら、まずは動物病院を受診しましょう。
適切な治療のためには、細菌であるのか、寄生虫なのか、またはその他の原因があるのか検査することが大切です。
病院を受診する際には以下のことを伝えましょう。
- 症状はいつ頃から見られたか
- 症状の出始めから今までの経緯(だんだん悪化している、ずっと同じような状態である、など)
- どんな時に症状が出るか
- 症状が出やすい時期や季節はあるか
- 親や兄弟に同じような症状が見られるか
- 一緒に暮らしている犬や猫、飼い主に同じような症状が見られるか
- 飼育環境について
皮膚病の診断には飼い主からの情報が大きなヒントになるため、愛犬の皮膚に異常が現れたら普段以上に様子をよく観察してあげるようにしてください。
皮膚病の治療法

原因が分かったら、それに合わせた治療法をとります。
ここではそれぞれの治療法を紹介します。
内服薬
特に皮膚の奥まで症状が進んでいる場合には外用薬による効果は期待できないため、内服薬を使用することが多いです。
また、皮膚病変が全身に及んでいる場合も内服薬を用いることが多いです。
内服薬には以下のような種類があり、症状によって一つ、もしくは複数の薬を組み合わせて使用します。
| 薬 | 効果 |
|---|---|
| 抗生物質 | 殺菌し、細菌が増殖するのを防ぐ |
| 抗真菌薬 | カビの増殖を防ぐ |
| 駆虫剤 | ノミ、ダニを駆除する |
| 抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬 | かゆみ、赤みなどのアレルギー症状を抑える |
外用薬
内服薬と同じように抗生物質や抗真菌薬、駆虫薬、アレルギー薬などがありますが、外用薬にはさらに患部に塗布するタイプのものと、滴下するタイプのものがあります。
犬が舐めとってしまわないようにスプレータイプや速乾性のものもあり、副作用も少ないです。
皮膚に合わない薬は症状を悪化させる危険性もあるため、獣医師の指示のもとで適切な薬を使用してあげるようにしましょう。
人間用の薬は使用できないことがあります。
必ず獣医師に処方された薬を使用するようにしましょう。
注射
かゆみ止めやステロイド剤があり、炎症が強い時に使用します。
疥癬症の治療では薬剤を注射によって投与することがあります。
また、アトピー性皮膚炎の治療としてアレルゲンを少量ずつ皮下注射する方法もあります。
ただし、副作用が見られたり、費用が高額であったり、治療が長期に及ぶことがあったりとデメリットも多い治療法です。
シャンプー
膿皮症やノミの治療に用いられることが多く、即効性が高い特徴があります。
皮膚に増殖した細菌や真菌を洗い流し、炎症部位を清潔にします。
皮膚糸状菌症やマラセチア皮膚炎には、シャンプー剤と内服薬を併用して使用される場合もあります。
犬の皮膚病の予防法
皮膚病を予防するためには、自宅での日常的なケアが重要です。
愛犬の皮膚を健康に保つためにできるホームケアをご紹介します。
ノミ・ダニ予防をする
ノミやダニなどの外部寄生虫は、かゆみを生じさせるだけでなく、噛んだ際に皮膚に入った唾液からアレルギー性皮膚炎を発症させる可能性もあります。
ノミやダニは暖かい季節に限らず冬でも生存・繁殖するため、一年を通して予防する必要があります。
動物病院で予防薬を処方してもらい、定期的に投与してあげましょう。
ブラッシングやシャンプーで毛と皮膚を清潔に保つ
ブラッシングは抜け毛やフケ、汚れを取り除き、適度なマッサージ効果で血行を促進します。
毛玉を防ぐことは皮膚の通気性を良くし、蒸れから発症する皮膚炎の予防にもなります。
シャンプーは月に1~2回を目安に行ってあげましょう。
犬の皮膚は人の皮膚より薄くデリケートなため、必ず低刺激性の犬用シャンプーを使用してあげます。
シャンプー後はタオルで優しく水分を取った後、ドライヤーで根元からしっかりと乾かします。
生乾きは細菌やカビが増殖する原因になります。
シニア犬など、体力的にシャンプーが負担になってしまう子もいます。
その場合は無理にシャンプーをせず、ドライシャンプーや温めたタオルで体を拭いてあげるだけでも違いますよ。
シャンプーが苦手で嫌がってしまう時は、動物病院やドッグサロンでシャンプーしてもらうのもおすすめです。
食物アレルギーに気を付けた食事にする
肉や大豆、小麦などアレルギーの原因となる食物は犬によってさまざまです。
特定の食物に対して過剰な免疫反応が起きることでかゆみ、赤みなどの皮膚症状だけでなく嘔吐や下痢などの消化器症状が出ます。
自己判断せず、食物アレルギーが疑われる時には動物病院を受診し、治療や食事の内容について指示をもらうようにしてください。
住環境を整える
ハウスダストや花粉、カビなどもアレルギーによる皮膚病を生じさせる原因となります。
愛犬のベッドや毛布、おもちゃなどは定期的に洗濯し、常に清潔な状態を保つようにしましょう。
皮膚のバリア機能を正常に保つためには、室温と湿度の管理も重要です。
室温は22~25度程度、湿度は50~60%程度に保ち、過剰な皮脂の分泌や乾燥を防ぎましょう。
まとめ
犬の皮膚病のサインから代表的な皮膚病、治療法や予防法までをご紹介しました。
愛犬に以下のような異変が見られたら、皮膚病にかかってしまっているかもしれません。
- 赤み
- かゆみ
- 脱毛や搔き壊し
- 発疹やかさぶた
- フケ
- 色素沈着
このようなサインが見られる時は放置せず、動物病院を受診するようにしましょう。
症状や原因に合わせた適切な治療が、少しでも早い回復につながり重症化を防ぎます。
また、普段からのノミ・ダニ予防やブラッシング、食事管理、清潔で適切な住環境を整えるなど、愛犬の健康を守ることを心がけてあげてくださいね。

この記事の監修者

鮎川 多絵 (愛玩動物飼養管理士2級・ライター)
東京都出身。1986年10月生まれ。趣味は映画鑑賞・1人旅・散歩・動物スケッチ。
家族は保護犬1匹保護猫2匹(+空から見守る黒うさぎのピンキー)。
犬と私
子供の時からイヌ科動物が大好きでした。戸川幸夫氏の「牙王」で狼犬に憧れ、シートン動物記で「オオカミ王ロボ」に胸を打たれました。特に大きな犬のゆったりとした雄姿には目を奪われます。保護犬と保護猫の飼育経験から、動物関連の社会問題、災害時のペット同伴避難について意識を向けています。







