
子犬を家族に迎えたばかりのあなたは、きっと今、かわいい仕草にキュンキュンしたり、家族と新しい生活に向けたルールを決めたり、ワクワクしていることでしょう。
しかし、「いつから散歩に連れ出していいの?」「もう始めていいの?」と「散歩」について悩むことも多いはずです。
ワクチンの摂取が終わるまで外を歩くのは控えるよう獣医師から言われがちですが、実は、外を歩けない時期にもできる、大切な「社会化準備」があります。
この記事では、子犬の成長段階ごとにおすすめの「散歩デビュー」準備法と注意点をご紹介していきます。
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まだ歩けなくてもできること 子犬の社会化と「抱っこ散歩」のすすめ
家族に迎えたばかりの子犬を見て、「早く散歩したい!」と思う方も多いですよね。
ただし、ワクチンが終わるまでは、草むらやアスファルトを問わず、地面に下ろすのは避けましょう。
感染症リスクがあるため、他の犬の排せつ物や唾液などに触れる可能性のある場所はすべてNGです。
そんな時におすすめなのが「抱っこ散歩」。
子犬の生後2〜4ヶ月は「社会化期」と呼ばれ、人間でいえば心の土台を作る大切な時期。
この時期に外の刺激を穏やかに経験させることで、将来の性格や行動が大きく変わります。
子犬の社会化期に大切な行動/体験とポイント
| 行動・体験 | ポイント |
|---|---|
| 車の音を聞く | 無理に近づけず、抱っこのまま聞かせる |
| 人の声や犬の鳴き声に触れる | 距離を保ちつつ観察する |
| 風や日差し、外気を感じる | 天候の良い日を選ぶ |
| 他人や犬を観察する | 直接触れ合わず、遠くから見せる |
| 外の景色・匂いを楽しむ | 数分でも十分!新しい体験を大切に |
抱っこ散歩で注意したいこと
- 地面に下ろさない(感染症リスクを回避する)
- 他の犬と直接接触させない
- 不特定多数の人に触らせない(刺激が強すぎる場合も)
- 帰宅後は手洗い・足拭きなどのケアを忘れずに
- 「無理は禁物!」
最初は10分程度の短時間で十分です。
子犬の反応をよく観察し、怖がったり震えたりしたら、すぐに帰宅しましょう。
少しずつ慣れることで、外の世界は「怖くない」と学び、今後の散歩デビューがスムーズになります。

子犬の散歩はいつからできる?
子犬との「散歩デビュー」は飼い主にとっても特別な瞬間です。
ただし、ワクチン接種の前に散歩を始めてしまうと、命に関わる感染症にかかるリスクがあります。
代表的な感染症には、以下のようなものがあります:
- 犬パルボウイルス感染症:非常に感染力が強く、重度の下痢や嘔吐を引き起こし、命を落とすこともあります。
- 犬ジステンパーウイルス感染症:発熱、くしゃみ、神経症状などが出る怖い感染症。
- ケンネルコフ(犬伝染性気管支炎):咳が続き、悪化すると肺炎を起こすこともあります。
これらは適切なワクチン接種で予防可能ですが、ワクチンを打っただけではすぐに抗体ができるわけではありません。
こういった理由もあり、免疫がしっかり定着するまでの間は、地面に下ろさず、外の環境に慣らす「抱っこ散歩」が有効なのです。
子犬の散歩開始は「2回目または3回目の混合ワクチン接種から2週間後」が基本です。
(地域や体調によっては3回目終了を待つこともあります。)
| スケジュール | 接種時期の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 1回目混合ワクチン | 生後6〜8週 | 母犬からの移行抗体が徐々に減少し始める生後すぐは母犬由来の抗体(移行抗体)で守られるが、6~16週齢で消失 |
| 2回目混合ワクチン | 生後10〜12週 | 自身の免疫獲得へ |
| 3回目混合ワクチン | 生後14〜16週(必要時) | 地域や獣医の判断で接種 |
| 散歩の開始時期 | 2回目or3回目の2週間後 | 抗体が十分定着したとされるタイミング |
| 狂犬病ワクチン | 生後91日以降 | 法律で義務化されている。 混合ワクチンとの間に、1週間以上の間隔が必須 |

子犬の散歩デビュー前に準備すること
安心して散歩デビューを迎えるためには、子犬が外の環境や散歩用グッズに慣れる「準備期間」が重要です。
無理のない、楽しい散歩体験のためのポイントをまとめます。
初めての首輪・ハーネス・リードの慣らし方
- 首輪・ハーネスを見せて匂いを嗅がせる
- 数分間だけ装着→すぐ外す。徐々に時間を延ばす
- 室内でリードを付けて歩く練習
- おやつや声かけで“良い印象”を強化
嫌がる時は無理せず、前のステップに戻して繰り返し練習しましょう。
室内での歩行・コマンド練習
- リードをつけて家の中を一緒に歩く
- 名前を呼んでアイコンタクトを取る
- 「おいで」「待て」などの簡単なコマンド遊びをする
- 玄関の扉・インターホン音にも慣れさせる
遊びの延長で楽しく行うことで、子犬も自然と覚えやすくなります。

外の刺激への慣らし(五感トレーニング)
音の慣らし方(例)
| 音の種類 | 慣らし方例 |
|---|---|
| 車・バイク | 音源動画を静かに流し、おやつでリラックス |
| 工事音・雷など | 無理なく少しずつ音量アップ |
| 人の声・子どもの声 | TVやYouTube等で徐々に慣れさせる |
■視覚・環境刺激の与え方
・窓から外の様子を観察させる(人・犬・車など)
・他の犬の動画や画像を一緒に見る
・抱っこして玄関の外に出る
こうした経験を積み重ねることで、子犬にとって「外=怖くない場所」だと覚えてもらえます。
どのステップでも焦りは禁物。
無理に進まず、子犬のペースを尊重します。
リード・ハーネスへの良い印象づけには、ご褒美や優しい声かけをセットにしましょう。
子犬の散歩 デビュー時の注意点
初めての散歩は、子犬にとって刺激だらけの冒険です。
大切なのは、最初から無理をさせず、リラックスして「外の世界」を体験させること。
良い第一印象が、今後の散歩好きにつながります。
さあ、今日が散歩デビュー!
散歩デビュー初日の目安
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 時間 | 5~10分 |
| 距離 | 100~200メートル |
| 場所 | 静かで人通り・車通りの少ない安全な場所 |
最初から長距離・長時間歩かせる必要はありません。
刺激が強すぎる場所は避けて、子犬が落ち着けるコースを選びましょう。
散歩時間のステップアップ目安
| 月齢 | 散歩時間の目安 |
|---|---|
| 2〜3ヶ月 | 5〜10分 |
| 4ヶ月 | 15〜20分 |
| 6ヶ月 | 30分程度 |
子犬の体力・性格に合わせて無理のないペースを意識します。
子犬が怖がったときは…
- 引っ張ったり無理に歩かせたりしない
- 立ち止まって様子を観察
- 優しく声をかける
- 少し歩けたらおやつや褒め言葉でしっかり肯定する
- 無理せず短時間で切り上げる勇気も大切
安心感を優先し、「今日はここまで」としたら、抱っこで帰宅OK。
楽しい記憶を積み重ねていきましょう。

外でのトイレトレーニングについて
基本は室内でのトイレ習慣の定着が先です。
散歩中に排せつできるようにする場合は、以下のポイントを参考にしましょう。
外トイレ練習のポイント
- 室内トイレが安定してからチャレンジ
- 散歩前に排せつを済ませずに出発
- 外で排せつできたらすぐに褒めてあげる
- 処理用の袋やスプレーを必ず持参
- 排せつ物の片付けでマナーも習慣化する
- 短時間・短距離から慎重に。
- 晴れて過ごしやすい日を選びましょう。
- 安全で静かな場所で、子犬の様子に寄り添いながら進めることが大事です。
子犬の心身に無理がないようなペースを守り、楽しい「初めて」を心がけましょう。
子犬の散歩デビューでよくあるQ&A
Q1:雨の日は散歩を休んでもいいの?
A:はい、休んでも大丈夫です。
子犬は体温調節がまだ十分ではないため、濡れることでストレスや体調不良のリスクもあります。
このような日は室内でおもちゃ遊びや軽い運動を工夫してあげましょう。
もしレインコートの着用に慣れさせたい場合は、まず家の中で短時間試してみるのが安心です。
Q2:散歩中に他の犬と出会ったらどうすればいい?
A:最初は距離をとって様子を見るのが基本です。
相手の犬や飼い主さんの反応を見ながら、無理をせず子犬が落ち着ける距離を保つことが大切です。
子犬自身が好奇心を示しても、慣れないうちは急に近づけるのは避けます。
もし挨拶させたい場合は、必ず相手の飼い主さんの了承を得たうえで行うよう心がけてください。
Q3:拾い食いをしそうになったときは?
A:「だめ」や「NO」といったコマンドで静かに制止しましょう。
万が一口に入れてしまった場合は、無理に取り上げようとせず、おやつなどと交換する方法が安全です。
普段から「出して」や「ちょうだい」といったコマンドをしっかり練習しておくと、いざというときにも安心です。
Q4:散歩から帰ったら何をすればいい?
A:まず足を拭いて汚れや花粉を落としましょう。
加えてブラッシングや水分補給も忘れずに行うことで、衛生面のケアだけでなく、子犬との信頼関係の構築やスキンシップにもなります。
こうしたお手入れのルーティンを散歩後の習慣にしておくと、心身ともに健康を保ちやすくなります。

まとめ
子犬の散歩デビューは、社会化や成長のための大切なスタート。
ワクチンが完了するまでは地面を歩かせず、抱っこ散歩などで外の世界やさまざまな刺激に少しずつ慣らしていきましょう。
散歩デビュー前には、首輪やハーネスに慣らしたり、音や景色に順応させたり、基本的なコマンドの練習をしておくと安心です。
また、不安なことや判断に迷う場合は、獣医師からアドバイスを受けるのも良いかもしれません。
少しずつ距離や新しい刺激を増やしていけば、子犬も徐々に自信を持てるようになっていきます。
この先、あなたと過ごす日々は、子犬が知っていく世界とともにどんどん広がっていくことでしょう。
そんな毎日を、どうぞ楽しんでください!

この記事の監修者

鮎川 多絵 (愛玩動物飼養管理士2級・ライター)
東京都出身。1986年10月生まれ。趣味は映画鑑賞・1人旅・散歩・動物スケッチ。
家族は保護犬1匹保護猫2匹(+空から見守る黒うさぎのピンキー)。
犬と私
子供の時からイヌ科動物が大好きでした。戸川幸夫氏の「牙王」で狼犬に憧れ、シートン動物記で「オオカミ王ロボ」に胸を打たれました。特に大きな犬のゆったりとした雄姿には目を奪われます。保護犬と保護猫の飼育経験から、動物関連の社会問題、災害時のペット同伴避難について意識を向けています。







