ベッドに寝そべりながらヘッドフォンで音楽を聴く犬。

突然ですが、あなたの好きな音や曲はどんなものですか。
個人によって好みはあれど、人間は自然の音(例:川のせせらぎ音、焚火の音)やモーツァルトの曲を聴くと落ち着くという研究結果があります[1]
では、あなたの愛犬はどうでしょうか。普段何気なくかけている音楽や発している音にどのように反応していますか。
嗅覚は言うまでもなく、聴力も優れている犬はどんな音が好きなのか、徹底的に調査しました!

[1]パナソニック株式会社「休養学の専門家が選ぶ!最もリラックスできる音楽3選」

生活音で犬が好きな音

緑の芝生に顔をつけながら寝ている茶色の犬。

犬が生活音の中で好むのは「ホワイトノイズ」です[2]。いわゆる、テレビの砂嵐のような音や、雨の音、川のせせらぎなどのこと。テレビの砂嵐はともかく、自然音が好きなことは人間と同じですね
愛犬とともに自然の中へ散歩に行ったり、家でリラックスタイム中に自然音を流したりするとお互いにとって良いですね。
逆に、苦手な音ももちろんあります。人間よりも高周波(超音波領域:20〜60kHz)を認識可能な犬は、音の発生源も明確にわかります。よく首をかしげている犬の姿を見かけますが、音の発生源を確認しているともいわれています。

次のような音を愛犬の近くでたてるのは、できるだけ避けましょう
  • 掃除機
  • ドライヤー
  • 花火
  • 金属音
  • チャイム・アラーム
  • 工事音

[2]Bowman et al「The effect of different genres of music on the stress levels of kennelled dogs」(Physiol Behav, 2017年)

犬が好きな音楽ジャンルとは

眼鏡をかけ、首にカラフルなバンダナを巻いている茶色の犬の横姿。

犬が好む音楽ジャンルという研究は特に進められ、スコットランドのグラスゴー大学とスコットランドSPCA(王立動物虐待防止協会)が共同で行った研究では次のような結果が出ています。

  1. レゲエ(Reggae)
  1. ソフトロック(Soft Rock)

これらのリズムは犬の心拍リズムや生理学的安定に近い可能性があるといわれています。
筆者はどちらの音楽ジャンルにも明るくないのですが、この結果を見て音楽にのるワンちゃんはかわいいなとさらに愛着が湧きました!
愛犬の好みに合わせて聴いていた楽曲が好きになって、愛犬とともに楽しめるというケースもあるようですよ。
一方で、犬が好むと有名な音楽ジャンルのクラシック音楽には、ストレスを軽減するのに限界があることも見出されています。コロラド州立大学の発表では、クラシック音楽を犬が好む傾向にあると示唆する一方で、クラシック音楽への慣れが早く、慣れてしまうと以前よりストレス軽減効果は薄くなるとのことです[3]
また、犬が苦手な音楽ジャンルとしてはヘビーメタルが同大学の研究で挙げられています。
飼い主としての音楽の好みと犬が好きな音楽がマッチするとお互い暮らしやすく、良好な関係が築けそうですね。

[3]Kogan et al「Behavioral effects of auditory stimulation on kenneled dogs」(Veterinary Behav, 2012年)

3.犬が好む音には規則性がある?

後ろに本やギターがある部屋の中で、青い椅子の上に座っている犬。

そもそもなぜ、犬は先述した音楽ジャンルを好むのでしょうか。
そこには、「予測可能性」「一貫性」の2つが関係していることが明らかになっています。
犬は環境の変化に敏感な動物のため、複雑すぎる音や不規則な音を「脅威」や「混乱」と感じることがあるのです。
レゲエやソフトロックは犬の安静時の心拍数にBPMが近いことが犬が好む要因の1つと言われています。
また、「予測しやすい旋律」や「調和のとれた旋律」は犬の脳にとって安全な信号として処理されるようです。
特にレゲエの裏打ちリズムは単調すぎず、一定のパターンがあるため犬が「飽きにくい」というメリットもあります。
また、人間にとっても犬にとっても、音楽が脳の報酬系を刺激しリラックスに関する物質を分泌させているという視点もあるようです。
犬においても、適切な音楽刺激は、エンドルフィン、ドーパミン、エンドカンナビノイドなどの放出に関連し、自律神経系の機能を良好に保つことが示唆されています[4]
これにより、痛みへの感受性が下がったり、ストレス反応(コルチゾールの分泌)が抑制されたりする「お薬に頼らないリラックス方法」として注目されています。

[4]Georgiou, S. G., & Galatos, A. D. 「Proposed Physiological and Neurobiological Mechanisms of Music’s Effect, with a Focus on the Perioperative Period: Literature Evidence from Human, Canine and Feline Medicine.」(Veterinary Sci, 2025年)

4.犬と人間の快適な暮らしのために

水玉模様の赤い首輪をつけた犬が人間の手に口をつけている様子。

今までの調査では、好きな音との使い分けが犬のストレス管理に重要だということが分かりました。
また、楽曲だけでなく犬が好きな音もあります。

  • 散歩のリードの音
  • おやつの袋の音
  • 飼い主の穏やかな声、笑い声
  • 自分の名前を呼ぶ声 など

できるだけ自分の愛犬には快適に暮らしてほしいですよね。
その一方で起床時のアラーム音は人間にとって必要不可欠。しかし、スマートフォンや目覚まし時計が発するけたたましいアラーム音は、先述した通り犬が苦手な音です。
これを電子音から強弱のあるクラシック音楽にするだけで、愛犬も人間も快適に過ごすことができます
室内で快適に過ごすために音楽を流すのも有効ですが、犬が好きな自然音が聞こえる外での散歩はかかせません。人間にはあまり気にならない虫の声なども犬が好きな音の1つ。
運動のためだけでなく、快適な愛犬の生活のために、落ち着いた自然の中を散歩してみてはいかがでしょうか。

 この記事の監修者

鮎川 多絵 (愛玩動物飼養管理士2級・ライター)

東京都出身。1986年10月生まれ。趣味は映画鑑賞・1人旅・散歩・動物スケッチ。
家族は保護犬1匹保護猫2匹(+空から見守る黒うさぎのピンキー)。

犬と私
子供の時からイヌ科動物が大好きでした。戸川幸夫氏の「牙王」で狼犬に憧れ、シートン動物記で「オオカミ王ロボ」に胸を打たれました。特に大きな犬のゆったりとした雄姿には目を奪われます。保護犬と保護猫の飼育経験から、動物関連の社会問題、災害時のペット同伴避難について意識を向けています。

HP/SNS
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資格
愛玩動物飼養管理士2級 防災コーディネーター 学芸員 登録日本語教員

この記事を書いた人

椎名なおこ

埼玉育ちの北海道民。教員経験をもとに共感の輪を拡げるライターとして活動中( https://note.com/real_moraea7393 )。
SEO、取材、エッセイが好きなライター。
幼少期に中型犬(雑種)を毎日もふもふしていた。動物と人が大好き。現在の相棒は夫と亀。
いつかは大型犬を飼いたいという夢がある。お気に入りはゴールデンレトリバー!幼少期にゴールデンレトリバーを飼っていた友人の家に自分の家の犬とともに入り浸り、一緒に散歩していた。今になってみると朝と夜のいい運動だったなぁ。

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