
犬にとってレーズンは非常に危険な食べ物であり、絶対に与えてはいけません。
もしもこの記事を読んでいる方の中で「飼っている犬がレーズンを食べてしまって不安・・・」という方がいたら、すぐに動物病院へ連絡してください。
犬がレーズンを摂取すると、深刻な急性腎不全を引き起こす可能性があります。
「食べさせてはいけない」ことで有名な生のぶどうよりも水分が少なく成分が凝縮されているので、危険度が高いと考えられています。
わずか少量でも重篤な中毒症状につながることが報告されているため、
・飼い主さんがこの危険性を正しく理解すること
・万が一食べてしまった際はすぐに対策を取ること
・日頃から愛犬が誤って口にしないよう予防策を講じること
が重要なのです。
本記事では、犬がレーズンを食べると現れる中毒症状や万が一食べてしまった際の対処法、そして注意すべきレーズン入りの食品などについて詳しく解説します。
この記事を書いた人
犬がレーズンを食べるとどうなる?

犬がぶどうやレーズンを摂取した場合の初期症状として、5〜6時間で嘔吐が始まることが多いとされています。
ただし、症状が現れるまでの時間は個体差があります。
数時間後に現れることもあれば、数日後の場合もあるようです。
ここでは、犬がレーズンを食べた際の症状の例を紹介します。
初期症状
- 嘔吐
- 下痢
- 食欲不振
- 急激な元気の消失
- 脱水症状
重症化すると、24〜72時間以内に急性腎不全を引き起こす可能性があります。
急性腎不全が進行することで、以下のような症状が見られます。
重症化した場合の症状(急性腎不全)
- 水の多飲
- 尿量の減少や排尿の停止
- アンモニア臭に似た口臭
- 意識がレベルの低下
- けいれん
症状が出ていなくても、レーズンを誤食した恐れがある場合は病院で診てもらうのが重要です。
急性腎不全とは、何らかの理由から腎臓の機能が低下してしまう状態のことをいいます。
原因としては
- 細菌などの感染や腎毒性のある食べ物や薬剤の誤食
- 外傷や手術などによる出血、脱水、麻酔、心疾患
- 腫瘍や尿石
などが考えられます。
なぜレーズンは犬にとって危険なのか?

犬がレーズンを食べると中毒を引き起こすという事実は、2001年頃からアメリカの研究者によって注目されはじめます。
2005年には43頭の犬による発症例をまとめた報告がなされたことで、世界的に認識されるようになりました。
しかし、レーズンに含まれているどの物質が犬に害を及ぼすのかについては、長い間不明とされており、その原因として、ぶどうに含まれるタンニンやカビ毒(オクラトキシンなど)、殺虫剤農薬、あるいはぶどうの未知の成分などが疑われていました。
近年では、ぶどうの果肉に含まれる「酒石酸(しゅせきさん)」という有機酸が原因物質であるという説が有力視されています。
犬は酒石酸を体外へ排泄する能力が低く、酒石酸が腎臓の細胞に多く取り込まれることで細胞が壊れ、腎臓にダメージを与えるとされています。
一方、人間は同じ酒石酸を摂取しても、細胞への取り込みが少ないため、毒性が出にくいと考えられています。
また、無農薬のぶどうや調理済みのぶどうでも中毒が発生しているため、農薬やカビだけが原因ではないことが分かっています。
【緊急】犬がレーズンを食べてしまった場合の対処法

急性腎不全は、わずか1日ほどで急速に腎機能が低下する、命に関わる危険な病気です。
早期に発見・治療すれば治癒する可能性がありますが、治療開始が遅れれば命を落とすことになりかねません。
すぐに動物病院へ連絡する
万が一、愛犬がレーズンを食べてしまったことに気付いたら、症状が出ていなくてもすぐに動物病院へ連絡し、指示を仰ぎましょう。
夜間や休日であっても、様子を見ずに救急対応している病院を受診してください。
連絡する際には、以下の情報を獣医師に伝えられるように準備しておくとスムーズです。
- 犬がレーズンを食べた時間
- 食べたレーズンの種類や具体的な量(例:レーズンパンのかけら、〇粒など)
- 現在見られる中毒症状の有無と詳細(例:嘔吐を〇回している、下痢をしている、元気がないなど)
- もし吐しゃ物や便が出ている場合は、それらをペットシーツなどに包んで持参すると診断に役立つことがあります。(持参可能かどうかは、病院への連絡時に確認するとよいでしょう)
絶対に、自己判断で犬に吐かせようとしない
レーズンやぶどうを食べてしまった際に、病院に連れていくこと以外に飼い主さんができることはありません。
「病院には連絡したけど、その前に家で吐かせた方がいいのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし自己判断で吐かせようとする行為は、胃や食道を傷つけるなどの危険があるため、絶対にやめましょう。
無理に吐かせることで、かえって犬の症状を悪化させてしまうことがあります。
動物病院での治療内容
動物病院では、犬の状況や摂取からの時間に応じて、以下のような処置を行います。
- 催吐処置(薬を使った嘔吐誘発):摂取後間もない場合(2時間~24時間以内)に、注射などによって嘔吐を誘発します。
- 活性炭の投与:毒素の吸収を抑えるために、活性炭を経口投与することがあります。
- 輸液療法(点滴):脱水症状の改善と腎臓の負担の軽減のために静脈内輸液を行います。通常48〜72時間の輸液を行います。
- 腎機能のモニタリング:腎臓の状態を評価し、急性腎不全の兆候が出ていないか確認します。通常72時間以上の確認が行われます。
- 専門的な治療:点滴治療を行っても尿が出ない乏尿や無尿の場合は、利尿剤の使用や、血液透析や腹膜透析といった専門的な治療を行うことがあります。
中毒症状への治療は高額になる場合があります。
例えば、催吐処置で1万円ほど、胃洗浄(全身麻酔が必要)で2万5千円ほどかかることがあります。
入院治療となると、血液検査や尿検査などの様々な検査を含め、退院後の通院費も含めて10万円前後かかる場合もあります。
「少量だから大丈夫」「舐めただけ」は間違い。個体差による危険性

「うちの犬は以前レーズンを少し食べたけど、何も症状が出なかったから大丈夫」
そう思われている飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、レーズン中毒の発症は摂取量だけでなく、犬の個体差に大きく左右されることが分かっています。
体重1kgにつきレーズン1gという少量でも中毒症状を起こす可能性が報告されている一方で、レーズンを1kg食べても症状が出なかったという報告もあります。
このように中毒症状が現れるか現れないかは、ぶどうの種類や犬自身の感受性(体質の違い)に依存すると考えられているため、どんなに少量であっても油断してはいけません。
「うちの犬は食べても大丈夫だった」という事例は確かに存在するかもしれませんが、それはその犬の感受性が低かっただけであり、別の犬には致命的な影響を与えることがあります。
決して、他の犬と同じように自分の犬も大丈夫だ、とは考えないでください。
愛犬をレーズン中毒から守るために

犬の誤食は、多くが飼い主さんが意図せず、犬が盗み食いしてしまうことによって発生します。
愛犬をレーズン中毒から守るために最も大切なのは、飼い主さんが日頃から徹底した予防策を講じることです。ここでは、レーズンの誤食を防ぐために重要なポイントを紹介します。
あらゆる形態のレーズン・ぶどうに注意する
レーズンやぶどうに注意するのはもちろんですが、これらの食材が含まれている食品や加工品などにも常に気を配る必要があります。
- 加工食品:レーズンパンやぶどうジュース、ジャム、ワインなど
- ぶどうの皮:皮だけでも中毒を引き起こす可能性があります。
- マスカット:ぶどうの一品種であるため、マスカットも与えてはいけません。
以上の食品なども決して食べさせることのないように、注意しましょう。
厳重な保管と環境整備
- 手の届かない場所に保管する:レーズンやそれらを含む食品は、犬の手の届かない場所に保管しましょう。
- 床に放置しない:床に落としたレーズンは放置せず、すぐに回収しましょう。
- 捨て方の工夫:もしレーズンを捨てる際は、犬が漁って食べられないよう工夫して廃棄しましょう。
情報の周知・食べ物の確認
- 家族に共有する:「犬にぶどうやレーズンを与えてはいけない」という情報を家族全員、特にお子さんがいるご家庭ではお子さんにも、しっかりと伝えることが重要です。
- おやつをもらう際のチェック:散歩中に他の人からおやつをもらう際など、レーズンやぶどうが含まれていないか確認しましょう。
しつけとストレス管理
- 拾い食いの防止:拾い食いをしないようにしつけることで、飼い主さんの意図しない誤食のリスクを減らせます。
- 人の食べ物を与えない:人が食べているものを欲しがらないよう、人の食べ物を与えることはやめましょう。
- ストレス管理:犬がストレスを抱えると物を破壊する行動につながり、誤食のリスクが高まることがあります。適切な運動や遊び、休息を与え、ストレスのない環境を整えましょう。
屋外での注意
- ぶどう畑への立ち入り禁止:散歩コースにぶどう畑がある場合や自宅の庭で栽培している場合は、犬をそれらの場所に入れないように注意が必要です。
まとめ

改めてになりますが、犬は絶対絶対にレーズンを食べてはいけません。
レーズンやぶどうは、ごく少量でも急性腎不全という命に関わる重篤な中毒を引き起こす危険な食べ物です。
「少量食べてしまったが、大丈夫だった」といった事例もあるかもしれません。
しかし、レーズン中毒の発症は摂取量だけでなく、犬の個体差に大きく左右されるため自己判断は大変危険です。
万が一愛犬がレーズンを誤食してしまった場合は、症状が出ていなくてもすぐに動物病院へ連絡し、専門的な治療を受けることが重要です。早期の処置が命を救う鍵となります。
愛犬を中毒の危険から守るためには、飼い主さんによる予防策を徹底することが重要です。
危険性を正しく認識し、レーズンやそれを含む食品を犬の手の届かない場所に保管するなど、日頃の対応が何よりも効果的です。
愛犬との幸せな生活のために、この記事が皆様のお役に立つことを願っています。
BIGDOGLUCKではほかにも、犬が食べてはいけない食べ物についての記事を掲載しておりますので、そちらもぜひ確認ください!

