
「うちの子にはペット保険、本当に必要かな?」そうお悩みの方へ。
近年、ペット保険のCMを目にする機会も増え、加入を検討する飼い主さんが増えています。
しかし、「いらない」という声も耳にするのではないでしょうか。
この記事では、「ペット保険は本当に必要なのか?」という疑問に対し、中立的な立場で徹底解説します。
この記事を読むことで、ご自身の状況に合わせてペット保険の必要性を冷静に判断できるようになるでしょう。
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ペット保険とは?
ペット保険とは、人間でいう医療保険と同じように、ペットが病気やケガで動物病院を受診した際の医療費を補償する保険です。
保険会社やプランによって補償内容や保険料は異なりますが、一般的には通院費用、入院費用、手術費用などが対象となります。
近年、ペットの治療方法は多様化しており、人間の医療と同様に高額な医療費がかかるケースも少なくありません。
ペット保険に加入することで、こうした経済的な負担を軽減し、安心してペットに必要な治療を受けさせることができます。
ペット保険が「いらない」と言われる理由とは?
「ペット保険なんていらないよ」という声は、インターネットの知恵袋やSNSの口コミなどで見受けられます。
これらの「否定派」の主張には、一体どのようなものがあるのでしょうか。
多く聞かれるのは、「結局保険を使わなかった」「保険料を払い続けるのがもったいない」といった声です。
これらの声は、健康なペットを飼い続けている飼い主さんや、軽微な治療で済むケースが多かった飼い主さんから多く聞かれます。
ペット保険がいらないと思われる7つのパターン
では、具体的にどのようなケースで「ペット保険はいらない」と判断されることが多いのでしょうか。以下の7つのパターンに当てはまる場合は、ペット保険の加入を再検討してみる価値があるかもしれません。
若くて健康なうちは不要
子犬や子猫の頃は、病気やケガのリスクが比較的低い傾向にあります。
ワクチン接種や健康診断を除けば、動物病院にかかる頻度は少ないかもしれません。
この時期に高額な保険料を支払い続けることに疑問を感じる方もいます。
通院頻度が少ない犬猫の場合
年に一度の健康診断以外はほとんど動物病院に行かない、というケースも少なくありません。
特に室内飼いの猫などは、外出による感染症や事故のリスクが低く、通院頻度が少ない傾向にあります。
高額な治療を望まない飼い主
「もし高額な治療が必要になったとしても、そこまで費用をかけるつもりはない」と考える飼い主さんもいます。
これは、ペットの年齢や自身の経済状況、治療方針に対する考え方によって異なります。
保険料よりも貯金で備える派
毎月支払う保険料を貯蓄に回し、もしもの時に備えるという選択肢もあります。
保険料を積み立てることで、必要な時に必要なだけ費用を捻出できるため、保険の縛りなく自由に医療費を使えるというメリットがあります。
この場合、計画的な貯蓄が非常に重要になります。
加入条件・年齢制限が厳しい
ペット保険には、加入できる年齢に上限があったり、既往症があると加入できなかったりする場合があります。
特に高齢のペットや持病のあるペットの場合、希望する保険に加入できないことがあります。
補償されない項目が多すぎる
「ペット保険に入ったのに、いざという時に補償されなかった」というケースも少なくありません。
健康診断やワクチン接種、不妊手術など、多くの保険で補償対象外となる項目があります。
また、先天性疾患や特定の病気は補償対象外となるプランもあります。
加入を検討する際は、補償内容を詳細に確認することが不可欠です。
補償の対象になるもの、対象とならないもの一例[1]
| 補償の対象になるもの | 補償の対象にならないもの |
|---|---|
| 〇 入院※1 〇 通院※1 〇 手術※1 〇 薬代(治療目的のもの)※2 〇 他人のものを破損・ケガをさせた場合の損害賠償(賠償責任特約を付帯の場合) | × ワクチン接種費用 × 健康診断費用 × 去勢手術・避妊手術費用 × 妊娠・出産にかかる費用 × 歯石取りの費用 × 爪切りや耳掃除の費用 × 保険契約前の病気やケガの医療費用 × 遺伝性疾患の医療費用 × ワクチンなどで予防できる病気の医療費用 × 自然災害によるケガなどの医療費用 など |
※2保険会社によっては、治療目的の薬であっても対象にならないケースもあります。
なお、ケースによりますが、ペット保険に入っていない場合、手術費用は小型・中型犬は20万円前後、大型犬は30万円近く。
犬の大きさにかかわらず、入院費はおおむね10万円前後、通院費用は1万円以上が平均。
一般的に体のサイズが大きくなるほど、費用は高額になりやすい傾向があります。
[1]楽天保険の総合窓口「ペット保険の補償内容」
解約のタイミングに困る
一度加入すると、更新のたびに保険料が上がることが多いため、解約のタイミングに悩む飼い主さんもいます。
解約してしまうと、それまでの保険料が無駄になってしまうと感じるため、ずるずると継続してしまうケースもあります。
ペット保険 vs 自己資金(貯金)
ペットの医療費に備える方法として、ペット保険に加入する以外に「自己資金(貯金)」で備えるという選択肢があります。
ここでは、両者を比較し、どちらがあなたにとって得策なのかを考えてみましょう。
年間支払額のシミュレーション
例えば、大型犬を飼っていて月々5,000円のペット保険に加入した場合[2]、年間で60,000円の保険料を支払うことになります。
これが10年間続けば60万円です。
もしこの間に一度も高額な治療がなければ、この金額は掛け捨てとなります。
一方、毎月5,000円をペットのために貯金した場合、10年後には60万円が貯蓄されます。
この貯蓄は、必要な時に必要なだけ医療費に充てることができます。
「掛け捨て型」保険は、契約期間中に定められた保険料を支払い、契約期間内に支払い条件を満たす偶発事象が生じた場合に限り、保険金が支払われる保険です。
したがって、契約期間内に事象が発生せずに保険金を受け取ることがなければ、支払った保険料は掛け捨てとなり戻ってはきません。
[2]アイペット損保「ペット保険の見積もり」
[3]三菱UFJ銀行「生命保険には「掛け捨て型」と「貯蓄型」がある」
実際の医療費データと比較
一般的に、犬の年間にかかる医療費は7万円程度[4]と言われています。
もちろん、これはあくまで平均であり、個体差が非常に大きいです。
一度の大きな病気や手術で数十万円の費用がかかることもあれば、生涯を通してほとんど医療費がかからないケースもあります。
[4]アニコム損保「年間診療費の年間推移」
結局どっちが得なのか

「結局どっちが得なのか?」という問いに対する明確な答えはありません。
なぜなら、それはあなたのペットの健康状態、ライフスタイル、そしてあなたの経済状況やリスクに対する考え方によって大きく異なるからです。
貯金で備えるのが有利なケース
- 若くて健康なペットで、高額な医療費がかかる可能性が低い場合
- 計画的に貯蓄ができる自信があり、急な出費にも対応できる十分な貯蓄がある場合
- 高額な治療を望まない、あるいは延命治療をあまり積極的に考えない場合
- 保険の補償内容の制限を避けたい場合
ペット保険が有利なケース
- もしもの高額医療費に不安を感じる、精神的な安心感を重視したい場合
- 病気リスクの高い犬種・猫種を飼っている場合
- 突発的な高額医療費を自己資金でまかなうのが難しい場合
- 貯蓄が苦手で、強制的に医療費に備えたい場合
ペット保険が「いる」と考える人の理由
ここまでペット保険の「いらない」という側面を見てきましたが、もちろん「いる」と考える人も多くいます。
彼らがペット保険に加入する理由は何でしょうか。
万が一の高額医療に備えたい
最も大きな理由の一つは、高額な医療費への備えです。
癌治療や骨折手術など、一度の治療で数十万円を超える費用がかかることもあり、経済的な理由で十分な治療を受けさせられない状況を避けたいと考える飼い主さんは少なくありません。
高齢になったときの不安
ペットも人間と同じように、高齢になると様々な病気のリスクが高まります。
慢性疾患の治療や定期的な検査など、医療費がかさむことが予想されます。
若いうちから保険に加入しておくことで、高齢になった時の医療費の負担を軽減したいと考える方もいます。
精神的な安心感を重視する人
経済的なメリット・デメリットだけでなく、精神的な安心感を重視して保険に加入する人もいます。
「保険に入っているから大丈夫」という気持ちが、日々の生活における心のゆとりに繋がる、と考える飼い主さんです。
愛するペットに何かあった時に、費用の心配なく最善の治療を受けさせてあげられるという安心感は、何物にも代えがたいものです。
まとめ
ペット保険は、「万が一」の事態に備えるためのものですが、その「万が一」がどの程度の頻度で起こるか、そしてその際にどこまで費用をかけるか、という考え方は飼い主さんによって様々です。
今回の記事で述べたように、ペット保険を「いらない」と考える背景には、様々な理由や考え方があります。
あなたの愛するペットの年齢、健康状態、犬種・猫種、そして何よりもあなたの経済状況やリスクに対する考え方を整理することで、ペット保険が本当に必要かどうか、そしてどのような形で備えるのが最適なのかが見えてくるはずです。
無理に保険に加入する必要はありません。
計画的な貯蓄で備えることも立派な選択肢です。
大切なのは、ペットへの愛情と、もしもの時に後悔しないための備えを、あなた自身の納得できる形で持つことです。







