
グレートデンをご存知でしょうか?
筋肉で引き締まった大きな体、つややかな短毛がかっこいいグレートデンは「世界一大きな犬」としてギネス世界記録に登録されています。
その威厳のあるたたずまいとは裏腹に、じつは「優しい巨人」と呼ばれるほど穏やかな性格のグレートデン。
本記事ではグレートデンの性格や大きさ、飼育ポイントについて解説します。
この記事を書いた人
かわにしあみ
北海道出身、岐阜県在住。美術館に勤めたのち、現在はオンライン書店の開業をめざしている。ごはんと旅行とライブが大好き。
長らく猫派だったのが、夫の実家にいたラブラドールレトリバーにメロメロになり、大型犬好きに。アウトレットモールや広い公園で犬を眺めるのが大好きです。
グレートデンの基本情報
グレートデンの歴史、外見と性格の特徴を紹介します。
歴史
ドイツが原産国であるグレートデンは、ドイツの国犬(国を代表する犬種)にも指定されています。
犬種名である「グレートデン(Grate Dane)」は「大きなデンマークの犬」という意味ですが、デンマークとの関連は認められていません。
今から400年以上前、ドイツの貴族に飼われていたグレートデンは、番犬として領地を守っていたほか、猟犬としても活躍していました。イノシシ猟に同行していた当時は「ボア・ハウンド」という名で呼ばれており、単独でイノシシを倒すほど勇敢で力強い犬でした。
祖先はマスティフ系の犬であると考えられています。超大型犬の代表ともいえるマスティフは、その筋肉質でがっしりした体格を活かし、護衛犬や番犬として親しまれてきました。イノシシ猟を行っていた時期に、アイリッシュ・ウルフハウンドとグレーハウンドをかけ合わせ、狩猟性とスピードを高めたといわれています。
狩猟が行われなくなると、温和で従順な性格に改良されていったグレートデン。家庭犬や番犬として、特にアメリカで迎えられるようになりました。
1880年、ベルリンのショーで犬種のスタンダードが確立されました。グレートデンが正式な犬種としてAKC(アメリカンケネルクラブ)に登録されたのは1887年のことです。
AKC(アメリカンケネルクラブ)は1884年に設立されたアメリカの愛犬団体で、純血種の犬を登録し、犬種標準を確立する役割を担っています。
外見

筋肉質で引き締まった大きな体と、つややかな短毛のグレートデン。
堂々とした高貴な風貌から、神話に登場する太陽神アポロンになぞらえて「犬の中のアポロン神」と呼ばれることもあります。
毛色はフォーン(金色がかったベージュのような色)、ブリンドル(フォーンの地にブラックの縞模様)、ハールクイン(ホワイトの地にブラックの斑)、マール(グレーにブラックの斑)、ブラック、ブルーの6種類があります。
| 体高 | オス:80~90cm メス:72~84cm |
| 体重 | オス:54kg以上 メス:45kg以上 |
| 毛色 | フォーン、ブリンドル、ハールクイン、マール、ブラック、ブルー |
| 被毛 | 柔らかく光沢のある短毛 |
性格
グレートデンの魅力は、なんといってもその穏やかさ。
大きな体と温厚さをあわせ持つグレートデンは「優しい巨人(Gentle Giant)」とも呼ばれます。
愛情深く友好的な性格で、飼い主に献身的なグレートデン。忠誠心が強く、しつけトレーニングもしやすいとされています。
グレートデンはどのくらいデカい?
「大型犬」よりさらに大きな「超大型犬」の存在を知っていますか?
世界一大きな犬としてギネスにも登録されたグレートデンは、この「超大型犬」にあたります。
超大型犬の定義をはじめとし、ギネスに登録されたグレートデンについて、また他の超大型犬との比較もあわせて、グレートデンがいかに大きいかを紹介します。
超大型犬とは
「超大型犬」とは、大型犬(ゴールデンレトリバーなど)よりもさらに大きな犬種のことを指しますが、じつは明確な基準は定められていません。
一般的な分類として、小型犬は10㎏未満、中型犬は25㎏未満、大型犬は25㎏以上とされています(すべて成犬体重)。
25kg以上である大型犬より倍近く大きなサイズの犬種は、超大型犬であるといえるでしょう。
目安として体重が40kg以上、体高が50~60cm以上の犬種は超大型犬に該当します。
前述の通り、グレートデンの体重はオス54kg以上、メス45㎏以上。体高はオス80~90cm、メス72~84cmとなっています。比較的小さなメスですらも、超大型犬の目安を満たしているといえます。
ギネス記録:世界一大きいゼウス君
「史上最も体高のある犬(Tallest dog ever)」として、ギネス世界記録に登録されたグレートデンのゼウス君。
アメリカ・ミシガン州に住むドーラグ家の愛犬であったゼウス君は、111.8cm(44インチ)もの体高を誇ります。平均的なオスのグレートデンの体高が80~90cmであることから、ゼウス君がものすごく大きな犬であったことが分かりますね。
後ろ足で立つと223cmにもなり、成人男性の身長をはるかに超えます。
2014年に亡くなったゼウス君ですが、10年経っても彼の記録は破られず、これにより2024年に殿堂入りを果たしました。
他の超大型犬との比較
世界一大きい犬として有名なグレートデンですが、他の超大型犬と比較するとどんな違いがあるのでしょうか?
グレートデンの祖先であると考えられているイングリッシュマスティフ、アイリッシュ・ウルフハウンドとの違いを見てみましょう。

グレートデン

イングリッシュマスティフ

アイリッシュ・ウルフハウンド
| 犬種 | グレートデン | イングリッシュマスティフ | アイリッシュ・ウルフハウンド |
|---|---|---|---|
| 原産国 | ドイツ | イギリス | アイルランド |
| 役割 | コンパニオン、番犬、警備犬 | 番犬、家庭犬 | 護衛犬、ファーム・ドッグ |
| 体高 | オス:80~90cm メス:72~84cm | オス:約75㎝以上 メス:68㎝以上 | オス:約70~90㎝ メス:65~80㎝ |
| 体重 | オス:54kg以上 メス:45kg以上 | オス:約75㎏以上 メス:約75㎏以上 | オス:約63.5~81.6㎏ メス:約54.4~63.5㎏ |
| 毛色 | フォーン、ブリンドル、ハールクイン、マール、ブラック、ブルー | アプリコット・フォーン、シルバー・フォーン、フォーン、ダークフォーン、ブリンドル | グレー、ブリンドル、レッド、ブラック、ピュアホワイト、フォーン |
イングリッシュマスティフ
マスティフ種を代表するイングリッシュマスティフは、英語名で単に「マスティフ」と呼ばれることもあるそうです。グレートデンの祖先はマスティフ系の犬であると考えられています。
かつては番犬や闘犬として活躍していましたが、現在は落ち着いた性格へと変化し、家庭犬としても親しまれています。
アイリッシュ・ウルフハウンド
元々マスティフ系を祖先にもつグレートデンに、狩猟性を高めるためにかけ合わせたとされるアイリッシュ・ウルフハウンド。子犬の時点で既に50kgもの体重があるといわれています。毛むくじゃらの顔がキュートですね!
ヨーロッパで人気のアイリッシュ・ウルフハウンドは、護衛犬やファーム・ドッグ(農場で働く犬)として活躍しています。
グレートデンの飼育ポイント
堂々とした高貴な姿と、穏やかな性格が魅力的なグレートデン。
「思ったより飼いやすそう」と思われた方もいるかもしれませんが、超大型犬を飼育するにはいくつかの注意点があります。
グレートデンと過ごす際に注意すべきポイントを4つ紹介します。
しつけ
飼い主への忠誠心が強く、覚えも良いため、しつけトレーニングの飲み込みは早いです。
穏やかな性格のグレートデンは、子どもや他の犬に対しても友好的に接することができます。
ただし、子犬の頃はやんちゃなことも。超大型犬であるグレートデンは、子犬であっても体が大きく、遊び方もパワフルです。グレートデンはじゃれているつもりでも、思わぬケガやトラブルにつながることがあります。急な飛びつきなどに対するしつけは、子犬の頃から十分に行ってください。
飼育スペース
体の大きなグレートデンを飼育するためには、十分な飼育スペースの確保が必須になります。
ゆとりをもってくつろげるスペースを用意し、ストレスなく過ごせる環境を整えてあげましょう。
お手入れ
短毛のシングルコートであるグレートデン。短く細い毛はブラッシングがしやすいですが、体が大きいため、時間をかけてじっくりと行いましょう。ブラッシングの前に固く絞った蒸しタオルで体を拭くことで、抜け毛や埃が取りやすくなります。週1回程度を目安に行ってください。
垂れ耳の場合、中が汚れやすいため、ブラッシングの際にあわせて掃除してあげると良いでしょう。
また、食事量の多いグレートデンはそのぶん歯石がつきやすく、歯周病のリスクがあります。毎日~週3回程度の歯磨きを取り入れるようにしましょう。
爪切りは月1~2回を目安に行ってください。自力で爪を切るのが難しい場合は、動物病院で切ってもらうこともできます。
体の大きなグレートデンのお手入れに不安を感じたら、トリミングサロンや動物病院など、プロにお任せするのも良いですね。
かかりやすい病気
大型で胸の深い(縦幅が広い)犬種は、胃捻転や胃拡張になりやすいです。グレートデンは特に発症率が高いため、一気食いや食後すぐの激しい運動を行わないよう注意しましょう。
股関節形成不全症、ウォブラー症候群、拡張型心筋症といった大きな犬によくみられる病気にも注意が必要です。
かかりやすい病気を把握し、異変を感じた場合はすぐに動物病院を受診しましょう。
| 病名 | 症状と対処法 |
|---|---|
| 胃捻転・胃拡張 | 大型犬に多い症状。胃が拡張してねじれ、お腹が膨れる・吐き気・元気消失・呼吸困難などの症状を引き起こす。大量の食事やその後の運動が原因。一気食いをさせず、食後は運動せず静かに過ごさせること。 |
| 股関節形成不全症 | 大型犬に多い病気。遺伝や急激な成長により、関節に炎症が起きて足が痛む。股関節に負担がかからないよう、日頃から食事と運動に気を付けることが大事。 |
| ウォブラー症候群 | 成長期の大型犬に多い病気。首の骨などが神経を圧迫することで、後ろ足からふらつきが始まり、進行すると前足の麻痺を引き起こす。予防法は確立されておらず、歩く様子に不安を覚えたら受診することが大切。 |
| 拡張型心筋症 | 4~6歳ほどの若い大型犬に多い病気。遺伝や加齢が原因で、初期症状では元気や食欲の消失・咳がみられる。進行すると呼吸困難や突然死のリスクもあるため、様子がおかしいと感じたら速やかに受診すること。 |
まとめ

「世界一大きい犬」としてギネス世界記録にも選ばれるほど、堂々とした立派な体つきのグレートデン。
威厳のある外見とは裏腹に、穏やかで温和な性格を持ち合わせています。
ただ、超大型犬のグレートデンを飼育するとなると、かなりの覚悟が必要です。
飼育を検討する際は飼育スペースや病気のリスクなどと真剣に向き合い、家族の一員として関わっていくことができるのかよく見極めましょう。
本記事を通じて、グレートデンの魅力がより伝われば幸いです!
この記事の監修者

鮎川 多絵 (愛玩動物飼養管理士2級・ライター)
東京都出身。1986年10月生まれ。趣味は映画鑑賞・1人旅・散歩・動物スケッチ。
家族は保護犬1匹保護猫2匹(+空から見守る黒うさぎのピンキー)。
犬と私
子供の時からイヌ科動物が大好きでした。戸川幸夫氏の「牙王」で狼犬に憧れ、シートン動物記で「オオカミ王ロボ」に胸を打たれました。特に大きな犬のゆったりとした雄姿には目を奪われます。保護犬と保護猫の飼育経験から、動物関連の社会問題、災害時のペット同伴避難について意識を向けています。



