柴犬がおいしそうなきのこを見つめている。

山道を散歩中、犬がきのこの匂いを嗅いでいるのをみて、「犬はきのこを食べていいの?」と思うことはないでしょうか。

また、「家でも食べさせていいのだろうか?」と、考えたことがある飼い主さんもいるかもしれません。

実は、「きのこの種類」と「与え方」に気をつければ、栄養豊富でヘルシーな“ご褒美食材”に早変わりするのです!

家計にもやさしいきのこをうまく取り入れて、愛犬とのハッピーな毎日を楽しみましょう。

この記事を書いた人

犬はきのこを食べても大丈夫?

結論!犬はきのこを食べても大丈夫

犬は、人間と同様に、基本的にはきのこを食べても問題はありません

きのこにはビタミンB群食物繊維など、健康維持に役立つ様々な栄養素が含まれています。

腸内環境を整えたり、免疫力をサポートしたりと、日々の健康管理にもおすすめできる食材です。

きのこの種類はなんでもよいの?食べてOKなきのこの種類

犬に与えてもよいとされるきのこには、しいたけ、しめじ、えのき、まいたけ、エリンギ、マッシュルーム、松茸などがあります。

毒性のない市販品が基本で、野生のきのこや正体不明のきのこは絶対に与えないようにしましょう。

与え方は後半にも記載しますが、「消化に悪くないか」という点を意識することが重要です。

食べるな危険!人間と同じく注意するきのこ

基本は問題ないきのこでも、必ずしも「きのこ=健康で安全」とは限りません

特に「野生のきのこ」や「加工きのこ」には、中毒の危険や健康リスクが潜んでいます。

また、人間と同様に、「毒きのこ」は痙攣をおこす可能性もあるため、散歩中の拾いぐいをさせなければなりません。

下記に危険な理由を掲載します。

危険なきのこ理由・特徴
野生のきのこ    成分に未知のものが含まれているため、中毒症状があらわれたり、肝臓に負担をかける恐れがある。
加工きのこ味付けされたもの、調味液に浸ったものなど、加工きのこは、調味液に塩分や添加物が多く含まれているため、有害となります。
毒きのこベニテングタケ、ツキヨタケ、カエンタケなど猛毒が含まれているため、中毒症状(嘔吐、下痢、痙攣など)の危険性が高くなります[1]。また、カエンタケは、毒性が非常に強く、触れるだけでも皮膚に炎症が出ることがあるため、触らないようにしましょう。

[1]農林水産省 「本当に安全?STOP毒きのこ

ちぃ

人間のニュースでも、「山で採ってきたきのこが美味しそうだから食べたら、じつは猛毒きのこだった」という事故を耳にしたことがある方もいるかもしれません。

ツキヨタケ、テングダケ、ワライタケなど…まったく笑えませんよね。

ちなみに皆さんがよく目にする、赤い水玉模様のきのこは「ベニテングタケ」という毒きのこです。

3つのベニテングダケが映えている

犬にきのこを与える量・調理方法

犬に与えるきのこの適量目安とは?

もし、犬にきのこを与えたいと考えた場合、体重に応じた適量を守ることが大切です。

以下に、犬種別の1日あたりの摂取目安量を記載しました。

あくまでカロリー上の参考値であり、主食である総合栄養食の摂取を妨げない程度にとどめましょう。

小型犬/中型犬/大型犬別 目安量まとめ

犬種(体重目安)1日あたりの摂取可能量
1.小型(2~5kg)30g程度
2.中型(6~15kg)50g程度
3.大型(20~50kg)90g程度

※上記はあくまでも目安です。

きのこは生でもOK?加熱するなら?

きのこを与える際は、必ず加熱してから与えることが基本です。

生のままだと消化に負担がかかり、種類によっては微量の毒性や雑菌が残っている可能性もあります。

蒸す・茹でる・焼くなどの加熱調理で、安全かつ香りを引き出して与えるのがベストです。

細かく刻んだり、ペースト状にしたりと、消化しやすい形にすることで体への負担が少なくなります。

初めての際は少量からスタートし、体調を確認しながら量を調整しましょう。

また、加熱ではなく、「干し」しいたけは与えてもいいの?と、疑問になることもあるかもしれません

干したままでは、非加熱の状態と同様に消化に悪いため、水で戻した干ししいたけであれば、少量OKです。

なお、戻し汁は濃すぎるため与える場合は、さらに水で薄めてからにしてください。

おすすめ!犬用きのこレシピ(簡単!)

きのこはスープや混ぜごはんとして手軽に取り入れやすく、栄養補給にも最適です。

無添加のきのこスープや、加熱したきのこを細かく刻んで少量ごはんに混ぜるレシピは、香りがよく食欲アップにもつながります。

野菜と組み合わせることで、さらに栄養バランスが整います。

無添加きのこスープ

きのこの煮汁には様々な栄養素が含まれているため、捨てずに煮汁ごと与えるのがおすすめです。

ただし、人間用に味付けされたスープは濃すぎるため、まったく味付けをしないか、人間が飲んで薄いかなと思う味付けで少量与えましょう。

また、ネギ類が入ったものは犬にとって有害な場合があるため、与えるのはNGです。

量が多い場合、下痢のもとにもなるため、量に注意しましょう。

きのこの刻みドッグフード

普段のドッグフードに、加熱したきのこを細かく刻んで少量混ぜる方法です。

手軽に栄養をプラスできます。最初は少量から始め、様子を見ながら与えるようにしましょう。

指輪をした女性がスープを差し出している

避けたい調理例・組み合わせと注意点

味付け済みのきのこ(塩・醤油・バター・油など)は犬にNG

人間用の調理済み食品や、加工品は与えないよう注意しましょう。

また、多量に与えると消化に負担がかかるため、あくまで少量ずつ、無味で加熱したものが基本です。

犬にうれしいきのこの栄養とは?種類別の効果を解説!

きのこの種類別、期待できる効果とは?

きのこに含まれる栄養素と、種類別(しいたけ、しめじ、えのき、まいたけ、エリンギ、マッシュルーム、松茸)にご紹介します[2]

それぞれ見ていきましょう。

きのこの種類メリット・特徴
しいたけβ-グルカンによる免疫力アップやがん予防効果が期待できる
しめじ肝機能アップ「オルニチン」たっぷり。食物繊維が豊富で腸内環境を整える
えのき神経伝達物質「GABA」を多く含み、リラックス効果が期待できる
まいたけβ-グルカン豊富で免疫力向上や抗腫瘍作用が期待できる。 
エリンギナイアシンが皮膚・粘膜の健康維持や炎症抑制に役立つ。
マッシュルーム   食物繊維、ビタミンB2、パントテン酸、カリウムなど栄養バランスが良いうまみ成分「グアニル酸」も豊富で嗜好性が高い
松茸独特の香りが食欲を刺激。食欲の上昇や消化を助けるなどの効能が期待できる

[2]文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

きのこに含まれる栄養素と、犬にとってのうれしい効果とは?

きのこには、ビタミンB群やビタミンD、カリウムなどのミネラル、食物繊維、β-グルカンなど、犬にとってうれしい様々な栄養素が含まれていることがわかりましたか。

ここからはそれぞれのメリットを説明していきます。

柴犬とベニテングダケの可愛い絵

ビタミンB群

ビタミンB1・B2・B6などが含まれており、エネルギー代謝や皮膚・粘膜の健康維持、神経機能のサポート、疲労回復などに役立ちます。

ビタミンD

犬は日光浴だけでは十分なビタミンDを合成できない動物です。

そのため、食事からの摂取が大切となります。

ビタミンDは、カルシウムの吸収を促進し、骨や歯の健康維持に役立ちます。

ミネラル(カリウム)

余分なナトリウムの排出を助け、血圧の調整やむくみの予防に効果があります。

ただし、腎臓病のある犬にはカリウムの摂取に注意が必要です。

食物繊維

食物繊維は腸内環境を整え、便通の改善に効果があります。

しかし、与えすぎると下痢や嘔吐を起こす可能性もあるため、少量から様子を見ることが重要です。

β-グルカン

免疫力を高める作用があるとされ、がん細胞の増殖抑制やコレステロール値の低下など、さまざまな健康効果が期待されています。

注意点とデメリット

安全とされるきのこでも、子犬やシニア犬、持病のある犬には注意が必要です。

野生のきのこや味付けされたものはNG。

万が一大量に食べた場合は中毒の可能性もあるため、すぐに動物病院へ相談してください。

こんなときは動物病院へ!獣医に伝えるべき情報とは?

犬が勝手にきのこを食べてしまった場合

症状の有無にかかわらず、飼い主の意図していない量、犬がきのこを食べてしまった場合は、できるだけ早く動物病院を受診しましょう

誤食から時間が経っていない場合でも、早期の処置が症状の進行を防ぐ鍵になります。

動物病院では、以下の情報をできるだけ正確に伝えることが重要です。

ワン!ポイント 動物病院で伝える内容
  • 食べた時間
  • 食べた量(わかる範囲で)
  • きのこの種類(写真や現物があればベスト)
  • 現在の様子(嘔吐、下痢、ふらつきなどの有無)

特に、野生のきのこは種類の特定が難しく、毒性の強いものもあるため、自己判断は禁物です。

少しでも不安を感じたら、迷わず獣医師に相談しましょう。

また、猛毒のきのこは、人間も肌荒れをおこすものがあるため、むやみに飼い主が触るのもやめましょう

ちぃ

散歩中のワンちゃんは、何にでも興味津々。

クンクンして思わず口に入れてしまったり、家に持ち帰ろうとしたり、大変なこともありますよね(筆者も経験あり)。

特に、山や公園に生えている正体不明の野生のきのこは、食べさせないよう注意が必要です。

まとめ|きのこは“正しく”与えれば健康サポートにも!

きのこは、正しく選んで与えれば、犬の健康をサポートしてくれる嬉しい食材です。

ただし、毒きのこや味付けされた加工品など、避けるべきものもあるため注意が必要です。

「少量・加熱・無味」が基本ルール。

愛犬の体調に合わせ、楽しみながら取り入れてみてくださいね。

 この記事の監修者

吉田萌 (NPO法人ドッグトレーナー2級)

国際動物専門学校 しつけ・トレーニング学科卒。
噛み・吠え癖の酷い元保護犬のビーグルを里親に迎えた事をきっかけに『褒めてしつける』を念頭に活動。 自身の経験を活かし、しつけイベントにて飼い主に寄り添ったトレーニング方法を指導。 ナチュラルペットフード・栄養学の知識にも精通。保有資格はNPO法人ドッグトレーナー2級の他に、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級など。

資格
NPO法人ドッグトレーナー2級、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級

この記事を書いた人

ちぃ

横浜京急沿線生まれ。
現役の漢方薬剤師として人々の健康をサポートする一方で、日本各地の美しい風景や鉄道写真に魅せられ、カメラを片手に旅をしています。
この活動は、まさにトラベルフォトグラファーのように、日本の素晴らしさを伝え、人々が笑顔で健康に過ごせる社会を目指す、私自身の挑戦です。趣味も仕事も全力で楽しむため起業し、食と旅、そして健康をテーマにしたイベント事業を展開中。OL時代やカフェ経営で培った「人々に価値を届ける」多角的な視点は、日本の魅力を紡ぎ、読者の心に響くコンテンツライターとしての活動にも繋がっています。

大型犬といえば、ラブラドール。隣家やいとこが同時期に飼っており、ドアの前でしっかりと守ってくれた頼もしい番犬でした。いとこのラブラドールは、靴を運ぶ仕草がなんとも愛らしく、その大きな体格には頼もしさも詰まっていました。
そして、もう一匹の愛しい家族、我が家のジャックラッセルテリアのミックス犬。賢く穏やかで、聞き分けのよい奇跡の子。その子が旅立った今も、存在そのものが愛おしいです。父が、かつてその子に話しかけていたように、しゃべるお掃除ロボットに語りかける姿を見ていると、愛犬が残してくれた温かさを感じます。いつかまた新しい家族を迎えられる日を心待ちにしています。

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