
「愛犬が突然しゃっくりを始めたけれど、どうしたらいいの?」
そんなふうに心配になったことはありませんか?
犬のしゃっくりはあまり見かけないため、初めて目にすると驚いてしまう飼い主さんも多いでしょう。
「このまま放っておいて大丈夫? 」
「何か病気のサインだったらどうしよう…」
と、不安になるのは当然です。
基本的に、犬のしゃっくりは一時的なもので、自然に収まることがほとんどです。
しかし、「ちょっとしたしゃっくりだから大丈夫」と思っていると、実は病気のサインだった…というケースもあるため、飼い主としてはしっかりと知識を持っておきたいところです。
長時間続いたり頻繁に繰り返したりする場合、何かしらの健康上の問題が隠れている可能性もあります。
「そもそも犬のしゃっくりってどういう仕組みで起こるの?」
「しゃっくりが止まらないときは、どうしたらいい?」
「予防する方法はあるの?」
この記事では、そんな疑問を解決しながら、犬のしゃっくりの原因や対処法、予防策、そして似た症状との見分け方について詳しく解説していきます。
愛犬の健康を守るために、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
この記事を書いた人
犬もしゃっくりをする!?その原因は?

人のように頻繁ではありませんが、犬もしゃっくりをします。
しゃっくりが出てしまう仕組みも人と同じで、横隔膜がけいれんすることでしゃっくりが出てしまうのです。
横隔膜を持っていない、鳥類や爬虫類はしゃっくりをしないそうです[1]。
なぜ横隔膜がけいれんしてしまうのかについては、医学的に特定されていないようです。
さまざまな原因が刺激となりけいれんが起きるといわれているのですが…
横隔膜に刺激を与える原因には、一体どのようなものがあるのでしょうか。
[1]NHK 子供科学電話相談 「鳥はしゃっくりをしますか?」
食べ方や食事内容
愛犬が大好きなご飯を一生懸命食べている姿はとても愛らしいですよね。
ところが、犬のしゃっくりの原因で一番多いといわれているのが早食いなのです。
食べ物が一度に胃に入ってしまうので、胃が急激に膨らんで横隔膜を刺激してしまいます。
さらに、食後すぐの運動も、胃の中でガスが発生しやすくなり胃が膨らむ原因となってしまいますので注意してください。
また、食べ物が冷たかったり熱かったりすると、食道から胃にかけて筋肉の収縮が起こることがあり、その収縮の影響によって横隔膜がけいれんする場合もあります。
不安や興奮などのストレス
環境や気候の変化、来客などでも犬の体にはストレスがかかります。
ストレスを感じたり興奮したりすると、横隔膜周辺の組織が刺激されてしゃっくりが起きる可能性があります。
飼い主さんから離れることで心理的に不安感を抱くなど、内面的なストレスによっても自律神経のバランスが崩れてしゃっくりが起きるともいわれています。
病気などの健康的問題
これまでに紹介したような、生理現象によって引き起こされる犬のしゃっくりは、数分から長くても数時間以内には治まるのが一般的です。
一方、病気が原因のしゃっくりは長期間にわたって続いたり、頻繁に繰り返したりする場合があります。
しゃっくりがずっと止まらない、しゃっくり以外の症状も出ている、というときには早急に病院を受診してくださいね。
しゃっくりの原因となっている可能性がある病気には以下のようなものがあります。
【しゃっくりの原因となる病気】
疾患部位 | 内容 | 代表例 |
---|---|---|
消化器疾患 | 胃や腸の流れが著しく悪くなるような疾患では、胃が膨張して横隔膜を刺激することがあります。 特に、胃拡張や胃捻転は大型犬に多く見られる病気で、以下のような症状が見られます。 ・お腹が張っている ・よだれが大量に出ている ・吐こうとしているが吐けない 胃拡張・胃捻転は命の危険性もあるのですぐに病院を受診しましょう。 | 腹膜炎 胃腸腫瘍 胃拡張 胃捻転 |
呼吸器疾患 | しゃっくり以外に、以下の症状が見られることがあります。 ・口を大きく開け、浅く速い呼吸(パンティング)が異常に続く ・くしゃみを頻繁にする ・咳を頻繁にする ・運動を嫌がる くしゃみや咳は、しゃっくりと間違えて判断してしまう可能性もあります。普段から、愛犬の様子を観察しておきましょう。 | 心筋炎 胸膜炎 肺炎 喘息 気管支炎 肺腫瘍 |
脳疾患 | 体は脳からの情報伝達によって動いているので、脳疾患にかかってしまうと脳の指示伝達がうまくいかなくなってしまいます。 情報伝達に異常が起きるとしゃっくりが引き起こされる可能性があるので、以下の症状がある場合には病院を受診するようにしてください。 ・呼吸困難 ・けいれん | てんかん 脳梗塞 脳炎 脳腫瘍 |
しゃっくりが出たらどうしたらいい?

「しゃっくりで体をピクピクさせている愛犬を見ているとどうにかしてあげたい…」
「人と同じで、ビックリさせたらしゃっくりは止まるのかな?」
人のしゃっくりの止め方には迷信のようなものから、効果が確からしいものまでさまざまありますよね。
愛犬がしゃっくりしているときにはどうしたらいいのでしょうか。
ここでは、犬がしゃっくりをしているときの対処法としゃっくりの予防法をご紹介します。
しゃっくりをしているときの対処法
愛犬がしゃっくりをしていると、どうにかしてあげたいなと思いますよね。
しかし、人がしゃっくりをしているときと同じように、突然驚かせたり呼吸を止めさせようとしたりしてはいけません。
慌てずに様子を観察して、そっと見守ってあげましょう。
飼い主さんが不安そうにしていると、犬も不安になってしまいます。
数分間様子を見ても治まらない場合には、次のような対処法がおすすめです。
- 優しくなでてあげる:お腹や喉などをさするように優しくなでてあげると、犬も落ち着くことができます。
- 飼い主さんの指をなめさせる:「人のように水を飲ませたい!」と思うかもしれませんが、犬は少しずつゆっくり飲むということができません。そのため、飼い主さんの指に水やおやつをつけて、なめさせてあげましょう。
- しゃっくりを忘れさせる:人と同じで、犬もしゃっくりが出ていると気になってしまい、余計止まらなくなってしまうことも。そんなときには、少し外の空気を吸わせたり、飼い主さんが「お手」「おすわり」などの合図を出したり、お気に入りのおもちゃを見せたりして犬の気を紛らわせてあげてください。
しゃっくりの予防法
犬のしゃっくりの原因として解説した通り、早食いがしゃっくりを引き起こす原因として一番多いといわれています。
このことからも、早食いの防止が一番の予防法だと考えられます。
とはいえ、愛犬に「ゆっくり食べな〜」と言ってもガツガツ食べてしまいますよね。
そんなときには早食い防止食器を使用するのもおすすめです。
一度に食べる食事の量を減らしてあげるのも良いでしょう。
ストレスからくるしゃっくりをよくする場合には、どんなシチュエーションでしゃっくりが出ることが多いのか観察するようにしましょう。
ストレスの原因を取り除き、心穏やかに安心して過ごせる環境を整えてあげてくださいね。
しゃっくりに似ている症状
「しゃっくりと似ているけど実は違う症状だった」ということもあります。
しゃっくりなのか、様子を見ていても大丈夫なのかなど判断に迷うときは、その症状の様子を動画などで撮影して、一度病院を受診してみても良いかもしれません。
【しゃっくりに似ている症状】
症状 | 似ている部分 | 備考 |
---|---|---|
てんかん けいれん | 体がピクッ、ピクッと動く | 意識がない場合や次第に動きが大きくなって全身がけいれんしているような場合は、脳神経系の異常の可能性があるので至急病院を受診しましょう。 |
咳くしゃみ | 音を鳴らしながらピクッと動く 特に子犬は見分けづらい | 息を吐くときに音が出ていて、痰や鼻水を出している場合は咳やくしゃみの可能性が高いです。 |
逆くしゃみ | 勢いよく息を吸うときに音が鳴る | 「ヒック」というしゃっくりの音ではなく、「ズーズー」という音がする場合は逆くしゃみの可能性が高いです。 |
吐き気 嘔吐 | お腹を動かし、大きく口を開ける | 嘔吐物がなくても、よだれが出ていたり口をペロペロして落ち着きがなかったりする場合は、吐き気を感じている可能性があるため、注意深く様子を見てあげましょう。 |
喉の奥にある鼻咽頭という部分に刺激が加わることで起きる、急激に息を吸い込む症状をいいます[2]。
くしゃみは息を思い切り吐き出していますが、その逆なので、「逆くしゃみ」と呼ばれています。
「愛犬がしゃっくりのような呼吸をしているんだけど…」
と思ったら逆くしゃみだったということはよくあるようです。
[2]ココロよしざき動物病院 「これってしゃっくり?咳?くしゃみ?」
犬のしゃっくりについてのまとめ
「犬もしゃっくりをするなんて知らなかった!」という方も多いのではないでしょうか?
また、愛犬のしゃっくりを目の当たりにすると、驚いてしまう飼い主さんも多いかもしれません。
犬のしゃっくりは、人と同じように横隔膜のけいれんによって引き起こされる現象ですが、その原因はさまざまです。
- 早食いや食べ物の温度など
- 不安や興奮のストレス
特に早食いは、犬がしゃっくりを引き起こす原因として最も多いといわれているので、日頃から食事の与え方に気を配ることが大切です。
早食い防止やストレスの軽減など予防策を講じることで、しゃっくりの頻度を減らせるかもしれません。
多くの場合、しゃっくりは一時的なもので、心配する必要はありません。
愛犬のしゃっくりを見かけたら、驚かせたり無理に止めたりしようとせず、落ち着いて対処をしてあげましょう。
- 消化器
- 呼吸器
- 脳
注意深く愛犬の様子を観察し、必要に応じて病院を受診しましょう。
この記事の監修者

吉田萌 (NPO法人ドッグトレーナー2級)
国際動物専門学校 しつけ・トレーニング学科卒。
噛み・吠え癖の酷い元保護犬のビーグルを里親に迎えた事をきっかけに『褒めてしつける』を念頭に活動。 自身の経験を活かし、しつけイベントにて飼い主に寄り添ったトレーニング方法を指導。 ナチュラルペットフード・栄養学の知識にも精通。保有資格はNPO法人ドッグトレーナー2級の他に、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級など。
資格
NPO法人ドッグトレーナー2級、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級