
寝る時に電気を消して真っ暗にする派、真っ暗だと眠れない派、寝る直前までは少しだけ明るくしておいて寝る寸前に真っ暗にする派など、寝る時に電気をどうするかは人によってさまざまです。
では、犬はどうなのでしょうか?
「私は寝る時に電気を消しているけど、犬も寝る時は暗い方が良いのかな?」
「暗くすると水を飲みに行けなさそうだから明るくしておいてあげようかな。」
愛犬が気持ち良く眠れるように、快適な睡眠環境を整えてあげたいですよね。
実は、犬が寝る時には電気を消してあげた方が良いのです!
この記事では、犬の暗闇での視覚や睡眠のとり方について解説しながら、電気を消した方が良い理由をご説明します。
電気を消すと吠えてしまうような、暗い場所に不安感のある犬についての対処法も紹介しますので、ぜひ最後まで読んでくださいね!
この記事を書いた人
犬が寝る時は電気を消そう!

基本的に、犬が寝る時には電気を消しましょう!
私たちが夜中に目を覚まして、暗闇の中を歩いてトイレに行ったり飲み物を取りに行ったりするのは、難しいと感じる人が多いのではないでしょうか。
そのため、
「犬って嗅覚は優れているけど、視力はそれほど良くないって聞いたことがある…」
「電気を消しても見えるのか心配。」
と、犬も人と同じように暗闇の中を歩けないのではと心配している方もいらっしゃるでしょう。
確かに、人よりも視力が低いといわれている犬ですが、暗闇でも歩くことができるのです!
ここでは、犬の視覚の秘密と睡眠の仕組みについて詳しく解説していきます。
犬は夜行性の動物
犬の祖先といわれているオオカミは、日中は休んで夜間に狩りを行う夜行性の動物です。
そのため、犬も本来は夜行性の動物だと考えられています。
しかし、人と一緒に暮らすようになった犬は、人の生活リズムに合わせて睡眠時間を調整するようになりました。
その結果、多くの飼い主さんが寝ている時間(夜)に合わせて寝るようになったといわれています。
また、野生時代に洞穴を寝床として生活していたことから、薄暗い場所が好きな傾向にあるともいわれています。
どうして暗くても見えるの?
「犬の視力は人よりも低い」という話は聞いたことがあるでしょうか。
犬の視力は、個体差はあるものの人でいうところの0.3程度しか見えていないといわれています。
これは、10mほど離れると飼い主さんの顔も見分けがつかないくらいの視力です。
その一方で、人よりも暗闇に強いのが犬の視覚の特徴。
犬は網膜の裏に「タペタム層」と呼ばれる層を持っています。
これは人の目にはない組織で、光を反射させる役割を持った層です。
わずかな光でも反射させて視神経に届けるため、神経に伝わる情報が増え、暗闇の中でも物を見ることができるのです。
犬はこのタペタム層があるおかげで、暗闇の中では人の約5倍も見えていると考えられています。
タペタム層は全ての犬が持っているわけではなく、シベリアンハスキーのような、瞳がブルー系の犬の中にはタペタム層を持っていない子もいます。
また、小型犬と大型犬では体の大きさの違いに比べると眼球の大きさの違いがあまりないのですが、タペタムの大きさは小型犬よりも大型犬の方が大きいという報告もあります。
犬の睡眠時間と睡眠サイクル
「でも、私は夜更かししたいし、電気つけっぱなしでも寝られるよね?」
「暗くても見えることは分かったけど、別に明るくても見えるしどっちでも良いよね?」
そう思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
でも、ちょっと待ってくださいね。
電気を消した方が良い理由がちゃんとあるんです。
その理由を知るには「犬の平均的な睡眠時間」と「犬の睡眠サイクル」を理解する必要があります。
犬の平均的な睡眠時間
犬種ごとに体格や活動量が違うので個体差はありますが、一般的には小型犬・中型犬の方が睡眠時間は短く、大型犬は睡眠時間が長い傾向があります。
【犬種ごとの平均睡眠時間】
犬種 | 平均睡眠時間 | 備考 |
---|---|---|
小型犬 | 約10~15時間 | ・小型犬と中型犬の平均睡眠時間はほとんど同じ ・犬種の違いというよりも、性格による差が大きい |
中型犬 | 約10~15時間 | |
大型犬 | 約18~20時間 | ・大型犬は、体を動かす時のエネルギーが小型犬や中型犬よりも必要なので、体力を回復するために睡眠時間が長くなる傾向がある |
また、犬種ごとの違いだけでなく、子犬やシニア犬は睡眠時間が長く、成犬になると少し短縮されるなどライフステージによる違いもあります。
犬の睡眠サイクル
睡眠サイクルには「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という2種類の睡眠パターンが関係していることを知っていますか?
「レム睡眠」とは浅い眠り、「ノンレム睡眠」とは深い眠りです。
人は大体90分ごとにレム睡眠とノンレム睡眠を交互に繰り返しています。
犬も同じようにレム睡眠とノンレム睡眠を交互に繰り返していますが、野生時代の名残から外敵に備えてすぐに行動できるよう、レム睡眠の割合が高いといわれています。
また、レム睡眠とノンレム睡眠が短い間隔で繰り返され、1回あたりの睡眠時間が短いという特徴もあります。
つまり、眠りの浅い短時間の睡眠を1日に何回もとるということですね。
犬が寝る時に電気を消した方が良い理由

仕事から帰ってきて、明るいリビングでそのまま寝てしまい、ちょっとしたTVの音でハッと目を覚ます…
そんな経験、ありませんか?
人と同じように、犬も明るい電気がついている状態では、深い眠りにつくことができません。
物音に敏感になって途中で起きてしまったり、寝ていても疲れが取れなかったりしてしまいます。
解説した通り、犬は1回の睡眠時間が浅く短いので、いかに質の高い睡眠をとらせるかが大切です。
睡眠が十分にとれていないと、食欲が低下したり体調を崩しやすくなったり、健康に影響が出てしまう可能性もあるのです。
また、寝る時には部屋を暗くすると睡眠のリズムも整います。
犬も体内時計は光の影響を受けているので、日中にしっかりと日光を浴びて、夜は光を避けることで体内時計も正常に機能するようになるのです。
犬の睡眠のリズムが整うと、毎日大体同じタイミングで寝られるようになるので、飼い主さんの負担も減りますよ。
とはいえ、飼い主さんの就寝時間が遅くなってしまうこともありますよね。
そんな時は、部屋の照明を少しだけ暗くしてあげたり、ハウスの上から布などを被せて光を遮ってあげたりといった工夫をしてあげましょう。
電気を消す時の注意点

基本的には、犬が寝る時には電気を消してあげた方が良いですが、注意することもあります。
電気が消えるのを怖がる場合
犬は薄暗い場所が好きなこと、暗い場所でも目が見えていることは解説した通りです。
しかし、犬によっては暗い場所や電気が消えるのを怖がる子もいます。
その原因としては、「警戒心が強い性格」「暗い場所で怖い経験をした」「目に病気がある」などさまざまです。
電気を消した時に、愛犬が吠えたりクゥーンと鳴いたり、震えていたりしていたら怖がっているサイン。
以下のような対処法をとりましょう。
【犬が暗い場所を怖がる際の対処法とポイント】
対処法 | ポイント |
---|---|
暗さに少しずつ 慣れさせる | 間接照明などを活用して愛犬の不安を和らげてあげましょう。時間になると間接照明が点灯したり、少しずつ電気が暗くなっていったりするような、照明のタイマー機能の活用も効果的です。普段歩き慣れている道を、薄暗い時間帯に歩いてみるのもおすすめです。 |
部屋の見通しを 良くする | 犬は人よりも目線が低いため、大きな物を怖く感じやすいといわれています。部屋の中に大きな家具や物が置いてあると、そこが死角になってしまい怖がる犬もいます。犬がいつも通る動線はなるべく広くして見通しを良くしてあげましょう。 |
病院に連れて行く | 目をケガした経験のある犬や、シニア犬で暗い場所を怖がる子は目に何か異変が起きている可能性もあります。早期に治療すれば治ることもあるので、まずは獣医師に相談してみましょう。 |
落ち着かせる | 電気を消す前にお気に入りのぬいぐるみを用意してあげたり、優しくなでてあげたりして、リラックスできる時間を作りましょう。安心感を得てストレスを軽減することができます。ただし、吠えるたびに過剰に反応していると、吠え癖がついてしまう可能性もありますので注意してくださいね。 |
電気を消すのがかわいそうに感じる場合
飼い主さん自身が、真っ暗だと寝られなかったり、愛犬がいるのに電気を消してしまうことがどうしてもかわいそうだと感じてしまったりする場合もあるかと思います。
そんな時には無理に電気を消さなくてもOK。
愛犬がリラックスして眠れるようであれば、間接照明を利用したり、豆電球を利用したりしてあげるだけでも大丈夫ですよ。
日中の適度な運動や日光浴も体内時計を整えるのに大切です。
電気を消す以外にも、「なるべく静かな場所を選ぶ」「クレートと呼ばれる箱型のハウスのように、少し狭い空間を選ぶ」「柔らかい毛布を置く」など、快適な寝床を作ってあげることはできますよ。
かわいい愛犬と一緒に寝るのは、飼い主さんにとっても犬にとっても、安心感を得られてとても心地良いですよね。
しかし、飼い主さんが寝返りを打った時に犬を下敷きにしてしまったり、人と犬の間で感染するような病気にかかりやすくなったりとデメリットもあります。
寝床を共にすると、飼い主さんと同等の関係だと勘違いしてしまい、上下関係があやふやになってしつけに悪影響を及ぼす可能性もありますよ。
たまに一緒に寝る程度にして、犬がひとりでも寝られるように環境を整えてあげることが大切です。
まとめ
犬が寝る時は、基本的には電気を消して暗い環境にしてあげましょう。
野生時代に洞穴で生活していた名残から、薄暗い場所には抵抗がない傾向にあり、暗闇でも物がよく見えるという犬の特性もあります。
寝る時に電気を消して暗くしてあげると睡眠のリズムが整い、質の高い睡眠をとらせることができますよ。
飼い主さんがまだ起きている時間に犬の寝る時間になってしまった時には、ハウスの上に布などを被せて光を遮ってあげるなどの工夫が必要です。
しかし、電気を消すと不安がる犬もいるので、その場合には間接照明や豆電球、照明のタイマー機能を活用してくださいね。
愛犬が電気を消しても大丈夫なタイプの子なのかどうかをよく観察することや、日中の過ごし方、快適な寝床を作ってあげることが重要です。
ぜひ、犬の寝る環境を整える際の参考にしてみてください!
この記事の監修者

吉田萌 (NPO法人ドッグトレーナー2級)
国際動物専門学校 しつけ・トレーニング学科卒。
噛み・吠え癖の酷い元保護犬のビーグルを里親に迎えた事をきっかけに『褒めてしつける』を念頭に活動。 自身の経験を活かし、しつけイベントにて飼い主に寄り添ったトレーニング方法を指導。 ナチュラルペットフード・栄養学の知識にも精通。保有資格はNPO法人ドッグトレーナー2級の他に、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級など。
資格
NPO法人ドッグトレーナー2級、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級