エアコンの真ん前を占領する黒のラブラドールレトリバー

「うちの子に、快適におうち時間を過ごしてほしい!」

そんな思いを抱く飼い主さんも多いのではないでしょうか?

人間と犬とでは、体温調節の仕組みが大きく異なります

そのため、私たちが「ちょうどいい」と感じる室温が、犬にとっては暑すぎたり寒すぎたりすることもあるんです。

特に近年は猛暑や極寒の日も増えてきて、おうちで過ごす時間が長い愛犬のためには、ますます室温管理が大事になってきました。

この記事では「犬にとっての快適な温度ってどれくらい?

夏や冬、どうすればいい?」といった疑問に答えながら、

犬種別のポイントも交えて分かりやすく解説していきます!

大切な愛犬が一年を通して健康に過ごせるように、夏の暑さや冬の冷え込みにしっかり備えて、愛犬との毎日をもっと心地良くしていきましょう!

この記事を書いた人

犬にとっての適切な室温って?

なぜ犬にとって室温管理が重要なのか

日本動物愛護協会によると、暑い時期には室温を26℃以下で維持することが推奨されています[1]

ただし、これはあくまで目安。犬種や年齢、健康状態によって快適な温度には個体差があります。

特に大型犬は、寒さに強いけれど、暑さには弱い犬種が多いんですよね。

快適な室温は一般的に20℃前後と言われていて、私たちが「ちょっと涼しいな」と感じる温度が、大型犬にはちょうどいいこともあるんです。

ただし、いくら大型犬が寒さに強いといっても、室温が低すぎるのは良くありません

特に子犬やシニア犬は体温調節がうまくできないので、寒さにも弱く体調を崩しやすいんです。

暖かい寝床ブランケットを用意して、犬が自分の体調に合わせて居場所を選べる環境を作ってあげると安心です。

夏でも冬でも、犬が暑さや寒さから逃げられる場所を確保しましょう。

快適な温度環境は、犬のストレス軽減質の良い睡眠につながります。

結果的に、健康の維持に効果があるんです!

[1]公益財団法人 日本動物愛護協会「熱中症について

犬の体温調節の仕組み

犬は、私たち人間のように全身から汗をかくわけではありません

全身を密な毛で覆われているので、肉球や鼻先など限られた部分からしか汗をかけないんです。

じゃあ、暑いときどうするの? それが「パンティング」と呼ばれる、ハアハアと舌を出して呼吸するあの行動

これが犬の主なクールダウン方法なんです!

さらに、多くの犬は被毛によって体温をキープする機能を持っています。

ただし、被毛の種類や、鼻が短い短頭種がどうかなど、犬種によって体温調節の得意、不得意は異なります(詳しくは第4章で解説します)。

体温調節が苦手な傾向にある犬種は、室温管理に特に気を付けたいところです。

夏の犬の室温管理と注意点

冷たい床でくつろいでいるジャーマンシェパード

夏は犬にとって、要注意な季節。特に大型犬は、体温がこもりやすく熱中症になりやすいと言われています。

日々、愛犬が過ごす室内の温度に気を配り、クーラー等を使って上手に室温を管理してあげましょう。

犬がいる部屋の設定温度は、一般的に26℃以下が基本です。

ただし、犬種や年齢、健康状態によって個体差があるので、必ず愛犬の様子を観察しながら調節しましょう。

犬が暑がっているサインには、下記のようなものがあります
  • 激しいパンティング(口を開け、浅く素早くハアハアと呼吸する)
  • 舌を大きく出している
  • 涼しい場所(タイルの床など)を探して横になる
  • 活動量が減る
  • 水をよく飲む

こうした振る舞いは、犬が暑がっている証拠です。

室温をチェックし、クーラーの設定温度を少し低め(20〜24℃程度)にしましょう。

夜間でも室温が高い場合、クーラーをつけっぱなしにしておくことをおすすめします。

日中にお留守番させる場合、外出時間が短い場合でもクーラーは切らないようにしましょう。

飲み水の量が十分か、日当たりが変わってケージに直射日光が当たらないかなど、お出かけ前に事前に確認しておくことが大切です。

また、クーラーの冷風が犬に直接当たり続けると、局所的な体温低下や筋肉の緊張を引き起こす可能性があります。

風向きを調節し、ベッドやケージに直接風が当たらないよう工夫しましょう。

パーテーションなどで風を遮るのも効果的です。

扇風機サーキュレーターも、空気を循環させて体感温度を下げる効果があります。

ただし、犬に直接風を当て続けるのは避け、天井や壁に風を当てて反射させる”間接風”がベターです。

ワン!ポイント

ちなみに、扇風機の風を通すように濡れたタオルを設置すると、気化熱で涼しい風が生まれます。

そのほか、ひんやりする犬用の冷却マット犬用クールバンダナなどのグッズも暑さ対策としておすすめです!

冬の犬の室温管理と注意点

白い毛布を被ったダルメシアン

次は、冬の季節に注意すべきポイントをご紹介します。

大型犬は比較的、寒さに強いといわれますが、実はそうとも限りません。

犬種や年齢によって、寒さの感じ方にも個体差があるのです。

必ず愛犬の様子を観察し、下記のようなサインが見られたら、暖房をつける、犬が暖かく過ごせる毛布を準備する、といった適切な対応をしましょう。

犬が寒がっているサインには、下記のようなものがあります
  • 体を丸めて寝る
  • 震える
  • 飼い主やほかのペットに寄り添う
  • 暖かい場所を探す
  • 活動量が減る

こうした振る舞いは、犬が寒がっている証拠です。

冬場に暖房を使用する場合、環境省によると設定温度は20〜23℃前後が基本です[2]

[2]環境省「動物取扱業における犬猫の飼養管理基準の解釈と運用指針

ただし、北国生まれのシベリアンハスキーなど、厚い被毛を持つ犬種は寒さに強く室温が高すぎると不快に感じることがあります。

暖房を使って寒さ対策をするときには、別の部屋に移動できるようにドアを少し開けておくなど、必ず逃げ場を作ってあげてください

また、暖房の温風が直接犬に当たらないよう、風向きや犬のベッドの位置に注意しましょう。

なお、エアコン暖房は空気をカラカラに乾燥させる傾向があり、犬の肌や呼吸器に良くありません

加湿器を使ったり、濡れタオルを部屋に干したりして乾燥対策もあわせて行いましょう。

一般的に、湿度は40〜60%がベストです。

ペット専用のヒーターやホットカーペットは、局所的に暖かい場所を作るのに適しています。

ただし、低温やけどを防ぐために必ずカバーを使用し、また、電源コードを犬が噛まないよう保護しましょう。

温度調節機能や、火災防止のための自動オフ機能があるものを選ぶのがおすすめです。

犬種、被毛タイプによる耐性の違い

犬種によって、暑さや寒さの耐性は大きく異なります。その一つの要因が、犬の被毛の厚さです。

ワン!ポイント

犬の被毛の生え方には、「シングルコート」と「ダブルコート」と呼ばれるタイプがあります。

犬の被毛は、固くて太めのオーバーコートと呼ばれる上毛と、綿毛のように柔らかなアンダーコートと呼ばれる下毛の2層があります。

この2層の毛が生えている被毛タイプを「ダブルコート」と言い、オーバーコートだけが生えている被毛タイプを「シングルコート」と言います。

犬種ごとに、タイプが決まっていることがほとんどです。

下記の表では、特に大型犬におけるダブルコート、シングルコートの犬種をまとめました。

特徴ダブルコート(二重被毛)シングルコート(単層被毛)
代表的な犬種    ・シベリアンハスキー
・ゴールデンレトリバー
・ラブラドールレトリバー
・アラスカンマラミュート
・バーニーズマウンテンドッグ 
⋯など      
・ドーベルマン
・スタンダードプードル
・ダルメシアン
・グレートデーン
⋯など
気温耐性 寒さに強い傾向がある寒さに弱い傾向がある
室内環境の注意点     暑さに弱いため、夏場は涼しい環境を維持する必要がある。冬場は暖房の効き過ぎに注意冬場は20〜23℃程度の暖かい環境が望ましい。被毛が薄く日焼けのリスクもあるため、部屋に差し込む日差しに注意
特記事項換毛期は温度変化に弱くなることがあるので、特に室内の温度変化に注意

ダブルコートの犬は、寒さに強く暑さに弱い傾向があり、極寒の地で暮らしていた北方系の犬種などが当てはまります。

シングルコートの犬は、毛が1層しかないため寒さに弱い傾向があります。

それぞれの毛の特徴に合わせて、室温や寝床の工夫をしてあげましょう!

まとめ

ここまで、愛犬のための適切な室温管理についてご紹介してきましたが、人間にとって快適な環境が必ずしも犬にとっても快適とは限らない、ということが分かっていただけたと思います。

犬種被毛のタイプ年齢健康状態によって最適な温度は大きく異なります。

「これが正解!」という絶対的な基準はないので、飼い主さんが愛犬の行動や様子を注意深く観察し、その子にとっての「ちょうどいい」環境を見つけることが何よりも重要です。

特に季節の変わり目や、真夏・真冬などの気温変化が激しい時期は、愛犬が暑がっていたり寒がっていたりするサインを見逃さないよう細心の注意を払いましょう。

ダブルコートの犬種は暑さに弱く、シングルコートの犬種は寒さに弱い傾向があるなど、犬種特性も考慮しながら、室温や湿度を柔軟に調節してあげてくださいね。

一年を通して快適に過ごせる環境づくりを心がけ、愛犬が健康で幸せな毎日を送れるようサポートしてあげましょう!

 この記事の監修者

吉田萌 (NPO法人ドッグトレーナー2級)

国際動物専門学校 しつけ・トレーニング学科卒。
噛み・吠え癖の酷い元保護犬のビーグルを里親に迎えた事をきっかけに『褒めてしつける』を念頭に活動。 自身の経験を活かし、しつけイベントにて飼い主に寄り添ったトレーニング方法を指導。 ナチュラルペットフード・栄養学の知識にも精通。保有資格はNPO法人ドッグトレーナー2級の他に、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級など。

資格
NPO法人ドッグトレーナー2級、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級

この記事を書いた人

マイコ―

編集者/ライター。東京の下町生まれ&下町育ち。ベトナム人の夫と猫と、にぎやかに暮らしています。怒るのが苦手で、その昔「彼氏 怒り方」と検索したことがあります。犬と猫2匹を同時に飼っていた時期、犬の中での順位は猫たちよりも下でした。かわいいので許します。

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