

えっ、犬が靴下を履くの?
初めて犬用靴下を見たとき、筆者は思わず驚きました。
足を汚さないためだけ?
そもそも犬に靴下って本当に必要?
かわいそうじゃないの?
と思う方もいるかもしれません。
でも、一緒に暮らす愛犬がシニア期を迎えるころ、筆者もその理由が少しずつ分かってきたのです。

なるほど。これは我が家の愛犬にも必要かもしれない……
今や、滑り止めから防寒・保護を目的としたものまで、さまざまな種類が販売されている「犬用靴下」。
この記事では、犬に靴下を履かせるメリット・デメリットを詳しく解説し、正しい使い方についても紹介します。
愛犬の快適さを第一に考えながら、靴下の活用法を見直してみましょう!
この記事を書いた人
犬用靴下のメリットとは?滑り止め・やけど防止・怪我予防まで徹底解説!
愛犬の転倒防止 滑りやすい床でも安心な犬用靴下
家の中にフローリングがある場合、特にシニア犬になると、つるつる滑って足がハの字に広がってしまったり、見るからに歩きづらそうになってきます。
そんな時、床との接触部分にシリコンやゴムなどの素材を使用している犬用靴下は、安全に歩行する手助けになります。
また、靴下を履くと足の筋肉や関節にかかる負担が減少します。

筆者が16歳のシーズー犬を飼っていたころ、愛犬がいつも過ごす場所にカーペットを敷いて対策していましたが、家中全てにカーペットを敷くのは費用面やレイアウト的にも難しく、結局滑り止め靴下を履かせていました。
夏の散歩に注意 犬の肉球やけどを防ぐための犬用靴下
真夏の日差しや気温は年々高くなっており、夏の散歩は犬にとって過酷です。
肉球をやけどする可能性や熱中症の危険もあるので、できれば真夏の散歩は控えたいものですが、そうはいっても、特に大型犬は運動不足になりやすいため、散歩用の靴下が必要になるかもしれません。
しかし、犬は足裏で汗をかき体温調節をしているため、あまり長時間足裏を覆いっぱなしにすると、調節しづらくなる可能性もあります。
必要な時間だけの短時間利用がおすすめです。
肉球の怪我予防に 散歩や災害時に役立つ犬用靴下
屋外の散歩では、ガラスの破片などで愛犬が手足を怪我することも珍しくありません。
また、災害時、すぐに抱きかかえて移動できない大型犬は、人間と一緒に歩かなければならないこともあるでしょう。
そんな時に足を保護できる靴下があれば、怪我の予防になり、傷口から入る感染症のリスクなども軽減させることができます。
犬の肉球は、歩く時にクッションの役割をしています。
そのため、肉球が傷つくとクッションが無くなって歩きにくくなり、痛みを感じたりします。
肉球の怪我を防ぐ意味でも靴下はとても有効とされています。
災害時や、もしもの時のグッズとしても、一足持っておくといいでしょう。

犬用靴下はメリットだけじゃない!?デメリットも解説!
犬に靴下はストレス?
犬はもともと、足の裏の感覚を頼りにバランスを取っていますが、靴下を履かせることで感覚が鈍くなり、不必要なストレスを感じることがあります。
靴下に慣れさせるには、徐々に履いている違和感を無くしていくことが必要です。
まずは自宅で短時間着用してみて、少しずつ時間を増やしていきましょう。
犬の肉球センサーが遮断される?
犬が歩く時の情報(痛覚、触覚、圧覚、温度)は、すべて肉球から伝わってきます。
しかし靴下を履くと、肉球が地面に直接触れなくなるため、これらの情報を得ることができなくなります。
犬にとって、今まで得ていた情報が分からなくなるのは恐怖でしかありません。
犬に靴下を履かせる場合は、最初は短時間から始め、少しずつ慣らしていきましょう。
そうすることで、犬も安心して受け入れられるようになります。
靴下は蒸れやすい?
冬場は愛犬の足を暖かく保つために役立つ靴下ですが、長時間使用すると足が蒸れ、皮膚炎やアレルギー反応を引き起こすことがあります。
愛犬の健康を害することになりかねないので、靴下は長時間履かせず、定期的な交換と足の清潔を保つことが大切です。
夏の靴下は要注意?
夏場に靴下を履かせると、地面の暑さによるやけどを防止できますが、犬は足の裏で体温調節もしているため、
うまく体の熱を逃がすことができなくなります。
愛犬の熱中症を防ぐためには、靴下の着用時間をできるだけ短くし、必要な時だけ履かせるようにすることが大切です。
また、こまめに足の状態を確認し、愛犬が暑がっていないか注意を払いながら、慎重に使用するようにしましょう。
犬に靴下を履かせる以外の、滑り止め対策と肉球ケア方法は?
滑り止め対策の代替案
●肉球滑り止めシール
肉球に貼るシールの使い方は、爪と肉球周りの毛をカットし、清潔にした後シールを貼ります。
剥がす際には、濡れタオルや水などで足をふやかし優しく剥がす、というものです。
どこでも使え、賃貸のおうちでも使いやすいのが特徴。
防水タイプもあり、貼るだけで準備要らずなので手軽に使用できます。
また滑り止めシールは汚れに強く、簡単に拭き取れるので、肉球を清潔に保てます。
いつもと違う感覚に慣れない犬も多いため、貼られるのを嫌がったり、最初は歩きにくくなる場合があります。
また、滑り止めシールは主に屋内で使用されるものなので、外での使用や濡れた環境では効果が薄れることがあります。
●床ワックスや、コーティング
犬用の滑り止めとして、液体ワックスや、ワイパー状で布にワックスがしみ込んでいるもの、また無香性や傷つき防止など、様々なタイプが販売されています。
また、費用は掛かりますが、プロの業者に来てもらって塗布してもらえばより本格的に耐久性を高くすることも期待できます。
フローリングそのものに塗るので、ずれる心配のあるカーペットやマットと違って、滑り止めの効果は良好のようです。
ペットが舐めても安全な成分で作られるので安心。
犬が歩く場所だけでなく、家全体が滑りにくくなります。
ワックスの場合は、粗相などで床を拭くたびに少しずつ落ちていってしまうので、定期的に塗り直しが必要となります。
市販のワックスならそこまで費用はかかりませんが、プロの業者によるコーティング施工は、数万円~数十万円かかることもあります。
●滑り止めマット
犬の足腰を守ることを考え、クッション性や耐久性、清掃のしやすさなど、どの要素を重視するかによって、最適なものが変わります。
愛犬のニーズに合ったマットを選ぶことで、効果的に足腰のケアができます。
愛犬が飛び跳ねたり、台から降りるなどした時も、マットがクッションの役目を果たしてくれます。
安定して歩け、足音が響きにくく(特にマンション住まいの人にとっては嬉しいポイント)犬の爪でフローリングが傷つくのを防ぐこともできます。
マットの隙間に毛やホコリが溜まりやすいので、定期的な交換や、クリーニング・洗濯が必要。
全部の部屋に敷くと結構な出費になるかもしれません。
いたずら好きな犬はマットを噛んでしまうこともあるので、素材についても気を付けなければなりません。
肉球ケアのための代替案
●肉球クリームや専用バームの使用
冬の乾燥や夏のアスファルトの熱でひび割れしやすい肉球を保湿できます。
乾燥でカサカサになった肉球は滑りやすくなりますが、クリームを塗ると適度なグリップ力が戻ります。
塗られることを嫌がる犬もいます。
また、気になることで犬が舐めてしまう可能性があるので、安全な成分のものを選ぶことが重要です。
塗りすぎると逆に滑りやすくなることもあるので、適量を塗るようにしましょう。
●犬用シューズ
特に外で活動する際、鋭い石やガラスの破片、熱いアスファルトなどから犬の足を守ることができます。
また、冬場の冷たい雪や氷、氷点下の気温から犬の足を守ることができます。
特にシニア犬や関節に問題がある犬の場合、サイズが合ったシューズを履かせていれば、滑りやすくなることを防ぎ、歩行が安定します。
多くの犬は最初、靴を履くことに不安や違和感を感じるため、慣れるまでに時間がかかることがあります。
特に、爪先にフィットしない靴は、犬が歩きづらくなることがあり、歩行を不自然に感じさせます。
また、犬の足のサイズは個体差が大きいため、ぴったり合う靴を見つけるのが難しいかもしれません。
無理して合わない靴を履くと、足に圧力がかかり、痛みや不快感を引き起こすこともあるので、愛犬の様子を確認しながら履かせるようにしましょう。

犬用靴下選びのポイント!サイズや素材、機能性で選ぶ最適な靴下
犬用靴下を選ぶ際に重要なのは、サイズや素材、機能性です。
愛犬の快適さや安全を考慮した選び方をすることで、歩行をサポートし、足のトラブルを防ぐことができます。
ここでは、犬用靴下選びのポイントを詳しく解説します。
サイズ選びが重要
犬用靴下は、サイズが合っていないと十分に効果を発揮しません。
大きすぎると歩いているうちに脱げてしまうことがあり、逆に小さすぎると足を圧迫して血流が悪くなります。
適切なサイズを選ぶためには、犬の足の長さや幅を正確に測ることが重要です。
また、調整可能なタイプを選ぶと、フィット感を調整しやすくなるので便利です。
通気性の良い素材を選ぶ
犬用靴下を選ぶ際、通気性の良い素材を選ぶことは非常に重要です。
通気性が悪い靴下は、犬の足が蒸れやすくなり、湿気がこもることで皮膚トラブルや細菌の繁殖を引き起こす可能性があります。
特に、長時間着用する場合は、メッシュ素材や速乾性のある生地を選ぶことで、足元を乾燥させ、健康的に保つことができます。
滑り止め付きがベスト!
フローリングや滑りやすい床で歩く犬にとって、滑り止め付きの靴下は非常に効果的です。
特にシニア犬や関節に問題がある犬にとって、足元が滑ることは転倒や怪我の原因になることがあります。
滑り止め付きの靴下は、足元をしっかりとサポートし、安定して歩けるようにします。
着脱しやすいデザインを選ぶ
犬に靴下を履かせる際、着脱が簡単なデザインを選ぶことは重要です。
犬が嫌がらないように、素早く履かせたり脱がせたりできる靴下を選びましょう。
特に、マジックテープやゴムバンドなどの調整可能なデザインは、足の形に合わせてフィット感を調整できるため、愛犬が快適に歩けます。
また、着脱がスムーズであれば、飼い主も手間がかからず、日常的に使いやすくなります。

結局、愛犬に靴下は必要?犬の足元を守る、上手な靴下の利用方法
犬用靴下に対して、
過保護すぎる
自由を奪うようでかわいそう
と感じる方もいるかもしれません。
もちろん、すべての犬に必要なわけではなく、無理に履かせる必要もありません。
しかし、シニアになった愛犬が歩きづらそうにしている姿を見た時や、真夏や真冬のアスファルトに私たちが自ら手を当ててその温度を実感した時、
大切な愛犬の負担を気にかけない飼い主はいないでしょう。
しかも、犬は私たちよりもずっと低い位置で生活しているため、地面の暑さや冷えをより強く感じているはずです。
そこで、酷暑の日にやけどを防ぐためや、肉球を痛めてしまった時の保護として、犬用靴下を活用するのもひとつの方法です。
普段から少しずつ履く練習をしておけば、いざという時にスムーズに使えるようになるでしょう。
犬はさまざまな環境に適応してきた動物です。
最初は戸惑うかもしれませんが、無理をさせず、少しずつ慣らしていけば、犬用靴下はきっと役立つアイテムになるはずですよ。
この記事の監修者

鮎川 多絵 (愛玩動物飼養管理士2級・ライター)
東京都出身。1986年10月生まれ。趣味は映画鑑賞・1人旅・散歩・動物スケッチ。
家族は保護犬1匹保護猫2匹(+空から見守る黒うさぎのピンキー)。
犬と私
子供の時からイヌ科動物が大好きでした。戸川幸夫氏の「牙王」で狼犬に憧れ、シートン動物記で「オオカミ王ロボ」に胸を打たれました。特に大きな犬のゆったりとした雄姿には目を奪われます。保護犬と保護猫の飼育経験から、動物関連の社会問題、災害時のペット同伴避難について意識を向けています。
この記事の監修者

吉田萌 (NPO法人ドッグトレーナー2級)
国際動物専門学校 しつけ・トレーニング学科卒。
噛み・吠え癖の酷い元保護犬のビーグルを里親に迎えた事をきっかけに『褒めてしつける』を念頭に活動。 自身の経験を活かし、しつけイベントにて飼い主に寄り添ったトレーニング方法を指導。 ナチュラルペットフード・栄養学の知識にも精通。保有資格はNPO法人ドッグトレーナー2級の他に、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級など。
資格
NPO法人ドッグトレーナー2級、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級