おおきな声で吠える茶色い犬と、奥で騒音に困っている女性

「うちの犬が吠える声、近所迷惑になっていないかな…?」

犬を飼った経験がある方なら誰しも一度は思ったことがあるのではないでしょうか?

他にも、

「夜、愛犬が吠える声で眠れない…」

とお悩みの飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。

特にマンションやアパートなどの集合住宅では、の声が近隣トラブルの原因になることもあります。

犬が吠えるのは自然な現象で、完全に止めるのは難しいですよね。

ですが、適切な騒音対策をすることで周囲への影響を最小限に抑え、犬にとっても快適な環境を整えることができるのです。

この記事では、ケージに被せて使用する「防音カバー」について解説していきます。

防音カバーの効果種類その他の騒音対策についてもご紹介します。

犬が吠える理由吠えやすいといわれている犬種も解説しますので、犬を飼っている方も、これからお迎えしようと考えている方も、どちらも必見ですよ!

この記事を書いた人

1. 防音カバーとは

防音カバーのついたケージ内にお座りしている茶色い犬

防音カバーとは、犬のケージに被せて吠え声などの騒音を防ぐものです。

ケージとは犬の部屋のようなもので、開閉式の扉が付いていてそこから犬が出入りできるようになっています。

一体、どのような仕組みで音が響くことを防いでいるのでしょうか?

防音カバーの構造について見ていきましょう。

また、騒音の防止はもちろん、その他の効果や、防音カバーの種類もご紹介します。

防音カバーの構造と選び方のポイント

防音カバーは厚手の生地や特殊な素材を使って作られていることが多く、音が通りにくい構造になっています。

一方、「防音カバー」という名前ではあるものの、騒音を防止するだけではなく、犬がその中で過ごすことを考慮しなければいけません

防音カバーを選ぶ際には以下の点をよくチェックするようにしましょう!

【防音カバーの選び方】

チェックポイント     チェック内容
換気口☑ 空気がしっかりと循環するように換気口が付いている
衛生面☑ 防汚加工がされているか
☑ 水洗いが可能な素材を使用しているか
季節性☑ 夏はケージ内に暑い空気がこもらないように通気性の良いメッシュ素材がおすすめ
☑ 冬は寒さから愛犬を守れるように防寒性のある布がおすすめ
機能性☑ 正面や側面にファスナーが付いているものなら、カバーを外さずに中の様子が確認できる
☑ ロールアップして上部で固定できるものだと、犬の出入りもスムーズに行える

防音カバーの効果

犬の吠える声が近隣住民にとって騒音となり、トラブルになってしまうというのはよく聞く話です。

防音カバーの使用で得られる一番の効果は、犬の声が響くのを防ぐこと

ですが、それ以外にもさまざまな効果があるのです。

ここでは防音カバーの効果を一覧にまとめてみました。

【防音カバーの効果】

効果内容
騒音が外に
漏れるのを防ぐ     
犬が吠えるということは犬と飼い主さんにとっては当たり前の行動かもしれませんが、他の人にとっては騒音と感じられる可能性もあります。
騒音が外に漏れるのを防ぐと、愛犬の感情表現の方法を制限せずに、周囲の人にも配慮でき、双方との関係を良好に保てるでしょう。
外からの
騒音を防ぐ
例えば、家の外で工事をしている作業音や交通音、雷などの悪天候時の環境音は聴覚が敏感な犬にとってストレスになってしまったり、繊細な犬は恐怖心を抱いてしまったりする可能性があります。
外部からの騒音が軽減されると、愛犬にとっても快適な生活環境を整えてあげることができます。
休息をとるのに
最適な場所となる      
犬は野生時代に洞穴を寝床として生活していたことから、薄暗い場所を好む傾向にあるといわれています。また、些細な音にも反応できるほどの聴覚を持っているので、休んでいるときのちょっとした音に反応してしまうことはよくあります。
ケージを覆うような防音カバーは、ケージ内を少し薄暗くして静かな環境にできるので、最適な寝床を作るという意味でもおすすめです。
安定した温度を
保つことができる
ケージに防音カバーを被せることで、冷気や熱気が遮断され、ケージ内の温度を一定に保てます。

防音カバーの種類

防音カバーは厚手の布素材のものから、遮音性の高い吸音材などの特殊素材を使用して作られているものまでさまざまです。

布素材のものは飼い主さん自身でも簡単に装着できるものが多く、商品価格も比較的お手頃になっています。

一方、特殊素材を使用している防音カバーは、組み立てに時間のかかるものや、価格が高めに設定されているものが多いです。

しかし、防音力は布素材のものよりも高くなっているようです。

愛犬の声の大きさや頻度、周囲の環境など総合的に判断して、選ぶようにしましょう。

「防音カバーでは遮音性が心配…」

「うちの犬はすごく吠えるし声も大きいから、もっとしっかり防音できるものはないのかな…」

そう思っている方には、大きさや金額の面では防音カバーよりも負担が大きくなりますが、防音ケージもおすすめです。

防音ケージについては、3章で詳しくご説明します。

犬が吠える理由

シベリアンハスキー2頭が今にも吠えそうな顔でたたずんでいる

そもそも、犬が吠えるのにはどんな理由があるか知っていますか?

人が言葉を話して感情を伝えるのと同じように、犬は吠えることで意思表示を行なっています

犬が吠える理由

犬が吠える理由はさまざまで、一概にはいえませんが、いくつかのパターンが考えられます。

【犬が吠える主な理由】

パターン    理由
要求吠え「おやつが欲しい」「散歩に連れて行ってほしい」など人に何かしてほしいときに吠える。吠えたときにいつも要求に答えていると、「吠えれば要求が通る」と学習してしまい要求吠えの癖がつく可能性がある。
警戒吠えいつもと違う匂いや音がしたとき、知らない人が来たときなどに吠える。
興奮吠え飼い主さんが帰宅したときや誰かに撫でてもらったときなど、うれしくて気持ちが高ぶる吠える。興奮している犬をなだめようとして声をかけたり撫でたりすると、余計に興奮する可能性があるため注意。
ストレス吠え人がストレスを感じたときに大声で叫ぶようなイメージ。運動不足などでストレスが溜まったときに、ストレスを発散しようとして吠える。
不安吠え飼い主さんが外出したり、側から離れたりすると不安になって吠える。留守中も吠え続ける、物を壊すなどの問題行動が伴う場合は「分離不安症」の可能性もあるので、獣医師へ相談しましょう。
遠吠え他の犬の声に反応して、犬の本能的な習性で遠吠えをする。
威嚇吠えご飯を取られそうになるなどの状況で、相手に対して威嚇して、低めのトーンでうなりながら吠える。近づくとかまれる恐れがあるので十分に注意する。

犬にとってはどの「吠え」も大切なコミュニケーション

しつけによって吠えることをやめさせるのも大切ですが、全てをしつけで対処するのではなく、原因に応じて犬にとっても飼い主さんにとっても最適な対応を行うようにしましょう。

よく吠えるといわれている犬種

犬の中でもよく吠えるといわれている犬種がいます。

それは、人から吠えるようにしつけられてきた歴史のある犬種です。

いくつか見てみましょう。

愛玩犬グループ(チワワやポメラニアンなど)
下を出して上目遣いをするポメラニアン

愛玩犬グループの犬種は、飼い主さんの家庭で可愛がられるだけではなく、不審者が忍び込もうとしたときなどに吠えて知らせる役目もありました。そのため、小さな音にも反応して吠えるように能力が高められているといわれています。

牧羊犬・牧畜犬グループ(コモンドールやボーダーコリーなど)
後ろを振り返るおしゃれなコモンドール

吠えることで家畜の群れを誘導、保護したり、護衛の役割を担っていた犬種のため、警戒心が強い傾向にあります。この犬種は、うれしいときや威嚇するときなど些細なことでも吠えやすいといわれています。

狩猟犬グループ(テリア系など)
にっこり笑顔で舌を出すテリア

野ウサギやアナグマ、ネズミなどを追い詰めて人に知らせるために使われていた歴史があります。そのため、動くものや物音に反応して吠えやすい傾向があるといわれています。

日本犬グループ(秋田犬や柴犬など)
凛々しい顔で伏せをして待つ秋田犬

万能なタイプで何でも仕事をこなしてきた犬種である日本犬は、家族だけに懐き知らない人には警戒するような番犬として育てられてきました。日本犬たちは比較的吠えることをコントロールしやすいとされていますが、子犬の頃からさまざまな人や環境に慣れさせておく必要があります。

吠えやすいとされる犬種を飼っている方やこれからお迎えしようとしている方は、しつけと併せて騒音対策を行うことを検討しましょう。

防音カバー以外の騒音対策

「防音カバーについては分かったけど、それ以外にできる騒音対策はないのかな?」

「もっと手軽にできる騒音対策も知りたい!」

「防音カバーでもちょっと不安だから、もっとしっかり防音できるものが良いな…」

そう思っている方のために、ここでは、防音カバー以外の騒音対策をご紹介します!

手軽にできるものから、防音カバーよりも防音効果の高いものまでありますが、どの騒音対策が適しているのかは犬の性格や特性、飼い主さんの生活環境、近隣の方との関係などによっても異なります。

また、今回ご紹介する対策を組み合わせることもおすすめですよ。

しつけ

犬が吠える理由については解説した通りですが、必要以上に吠えるような、いわゆる「無駄吠え」については、吠えている間や興奮している時には無視をして視線を合わせず、興奮が落ち着いて吠えるのをやめた時に褒めるようにするなど、しっかりとしつけを行うようにしましょう。

飼い主さんだけでは難しい場合には、専門のトレーナーなどに相談してみても良いかもしれません。

しつけと併せて、ケージの中に愛犬が気に入っているかんでも良いおもちゃ(飲み込むリスクの少ない硬いもの)などを置くと退屈しないので、吠えることが少なくなります。

防音家具

防音効果のあるカーテンや窓に貼る遮音シートなどの防音家具を使用する方法です。

また、ケージの下にマットなどを敷くと、床から伝わる振動音を減らせます。

特に、外からの騒音に敏感な犬や夜間に吠えることの多い犬にとっては快適な環境を作り出すでしょう。

部屋の配置

ケージを窓やドアの近くに配置していると、外部に音が漏れやすく、反対に外部からの音も入りやすくなってしまいます。

できるだけ窓やドアから離れた場所にケージを置くようにしましょう。

部屋の隅や壁際に置くと、音が壁に吸収されて外部への音漏れが軽減されるともいわれています。

ケージの周りに本棚などを置いても、音が拡散しにくくなりますよ。

防音ケージ

愛犬がとてもよく吠えるうえ、声も大きくてお悩みの方もいらっしゃるでしょう。

そんな方には、大きさや金額の面では防音カバーや他の騒音対策法よりも負担が大きくなりますが、防音ケージがおすすめです。

防音ケージとは、普通のケージとは違い、外部の騒音や犬の吠える声を軽減するために設計されている特別なケージです。

防音カバーが普通のケージに防音効果のあるカバーを被せるのに対し、防音ケージはケージ自体に防音効果があります。

防音ケージは、特別に設計されているため価格も高めに設定されています。

愛犬が防音ケージを受け入れず結局使わなかったということにならないよう、購入前に愛犬の性格などをしっかり考慮するようにしましょう。

まとめ

防音カバーとは、ケージに被せるタイプの騒音防止グッズです。

犬のケージに防音カバーを使用することで、吠える声などの騒音を軽減して近隣トラブルを防止したり、逆に外部の騒音から愛犬を守ったりできます。

また、防音カバー以外にも、しつけや防音家具、部屋の配置の工夫、防音ケージの導入などさまざまな対策法があります。

吠えるという行動は犬にとっては大切なコミュニケーション方法の一つです。

しつけをした方が良いのか、いくつかの騒音対策を併用するのか、愛犬の性格や生活スタイルに合った最適な方法を選んで、犬と飼い主さん、周囲の人が快適に過ごせる環境を整えてあげましょう。

 この記事の監修者

吉田萌 (NPO法人ドッグトレーナー2級)

国際動物専門学校 しつけ・トレーニング学科卒。
噛み・吠え癖の酷い元保護犬のビーグルを里親に迎えた事をきっかけに『褒めてしつける』を念頭に活動。 自身の経験を活かし、しつけイベントにて飼い主に寄り添ったトレーニング方法を指導。 ナチュラルペットフード・栄養学の知識にも精通。保有資格はNPO法人ドッグトレーナー2級の他に、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級など。

資格
NPO法人ドッグトレーナー2級、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級

この記事を書いた人

本間ユミノ

新潟県出身。2児の母。食べることと寝ること、読書が好き。動かないことも動くことも好き。モットーは「夜を乗りこなす」
第49期 宣伝会議 編集・ライター講座修了。
小学生の頃に読んだ、漫画『動物のお医者さん』に出てくるチョビ(主人公が飼っているシベリアン・ハスキー)の可愛さに虜になる。以来、好きな犬種はシベリアン・ハスキー。

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