
犬にメープルシロップを与えても大丈夫?
飼い主さんが食べているものに、いつも興味津々なワンちゃんたち。ついついワンちゃんにもあげたくなってしまう……そんなことってありませんか?
もし犬にメープルシロップを誤ってあげてしまった、または犬が誤って食べてしまった場合、メープルシロップは極端に甘いので、犬が食べても大丈夫なのか心配になりますよね。
まず結果からお伝えすると、犬がメープルシロップを食べても過度な量でなければ、問題はありません。この記事では、犬がメープルシロップを食べることによってどういう影響があるのか、またその際の注意点も含めて見ていきましょう。

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メープルシロップとは
そもそもメープルシロップとは、カエデ(=メープル)の樹液のことをいい、天然の甘味料です。メープルシロップの主な原産国は、国旗にもメープルの絵が描かれているようにカナダが有名です。
冬が厳しいカナダでメープルの樹木は、夏の間に蓄えたでんぷんを糖分に変えて冬を乗り越えます。そして雪解けの季節にこの樹液が自然に流れ出る期間があり、その樹液を煮詰めていくことで、メープルシロップができます。
メープルシロップの種類
メープルシロップと言っても、実は収穫時期の色、味、風味、透明度によって、下記のような4つのグレードに分けられることをご存じですか?
- ゴールデン
- アンバー
- ダーク
- ベリーダーク
色や味は樹液の採取が遅ければ遅いほど、濃くなっていきます。
グレード(テイスト) | 色 | 味 | 透明度 |
---|---|---|---|
ゴールデン (デリケート) | 淡い金色 | 繊細で軽やかな味わい | 光の透過率 100~75% |
アンバー (リッチ) | 琥珀色 | メープルシロップ特有の 香ばしい風味 | 光の透過率 74.9%~50% |
ダーク (ロバスト) | 濃い茶色 | カラメルの様な濃厚な 甘味と深いコク | 光の透過率 49.9%~25% |
ベリーダーク (ストロング) | とても濃い茶色 | スモーキーな味わい | 光の透過率 24.9%~0% |
日本のスーパーで売られているメープルシロップは、アンバーのグレードであることが多いようです。

余談ですが、筆者は甘い卵焼きが好きなので、卵焼きを作るときには、砂糖の代わりにメープルシロップを入れて作ります。メープルシロップならではの優しい風味と甘味が、まるでお店で食べるような美味しい卵焼きになるので甘い卵焼きが好きな人は一度試してみてください!
犬にメープルシロップを与えるメリット
知っているようであまり知らないメープルシロップについては、概要がわかったと思いますが、ではそのメープルシロップを犬に与えることでどのようなメリットがあるのでしょうか?
食欲不振の改善に!
犬の味覚は、甘味→旨味→酸味→塩味→苦味の順番で感じ取ることができるといわれています。ただその甘味も人間の感覚とは違い、食べ物に含まれる自然な甘さでも十分満足できるようです。また嗅覚の発達した犬にとっては、実は味よりも匂いのほうが重要なのです。

これらの理由から、少量のメープルシロップでもその甘味と香りが犬の食欲を刺激し、食いつきをよくすることが期待できます。
ストレスなどによる食欲不振などの場合には、メープルシロップで食欲を刺激してみるのも良いかもしれませんね。
栄養面での期待!
メープルシロップには糖質の他にも、カリウムやカルシウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛などたくさんのミネラルが含まれています。
栄養素 | メープルシロップ 100gあたりに含まれる量 | 効果 |
---|---|---|
糖質 | 66.3g | 脳や筋肉の活動のエネルギー源 |
カリウム | 230mg | 血圧を安定させる |
カルシウム | 75mg | 骨や歯を強化 |
亜鉛 | 1.5mg | 味覚、皮膚、粘膜機能をサポート |
マグネシウム | 18mg | 酵素の働きをサポート |
マンガン | 2.01mg | 骨の健康を維持、酵素反応でのサポート |
また犬にとっても健康メリットがあるといわれているポリフェノールは、67種類以上も含まれています。
一日に摂取してもよいメープルシロップの量は、犬の体重1kgにつき、1gが目安だといわれています。食欲が落ちているときなど、愛情を込めた手作りクッキーにメープルシロップを少し加えてあげるのも、たまには良いかもしれません。
メープルシロップを与える際の注意点
メープル「風味」のシロップ
市販のメープルシロップの中には、メープル「風味」のシロップが売られていることもあり、こちらは人工的に作られたものになり、使われている添加物などが犬にとっては安全ではない恐れもある為、購入する際は確認が必要です。
摂取量や頻度に注意
いくらメープルシロップの栄養面が良くても、過度な糖分の摂取や日常的な摂取は、内臓への負担や肥満、糖尿病、虫歯リスクもあるので、お勧めはしません。犬は本来甘いものを好む傾向にありますが、メープルシロップの味に慣れてしまうと他の食べ物を受け付けなくなる可能性もあるので飼い主さんがうまくコントロールしていきましょう。
また長引く食欲不振の裏には病気が潜んでいることも考えられるので、病気が疑われる場合は速やかに獣医師に相談しましょう。
犬に絶対に与えてはいけない、代表的な甘い食べ物

では、いくら犬が欲しがったとしても、絶対に与えてはいけない代表的な甘い食べ物を確認しておきましょう。
- キシリトールを含む食べ物
- チョコレート ココア
- ぶどう(レーズン)
- 玉ねぎ
これらは特に犬に与えてはいけない食べ物になるので、気を付けましょう。
前述で、犬は食べ物に含まれる自然な甘さでも十分満足できると紹介しましたが、自然由来であっても犬にあげてはいけない甘い食べ物があるので、初めて与える食材は、その都度犬に与えても安全かどうかを確認したほうが良いでしょう。
まとめ
犬にメープルシロップを与えることは、適量であれば問題ありません。
犬にメープルシロップを適量与えることで、甘い香りと自然な甘味が食欲を刺激し、食欲不振の改善が期待できます。またミネラルが含まれており、栄養補給にも役立ち、健康維持に一役買うでしょう。
ただし、与えすぎは食べ物のより好みや肥満や病気のリスクを高める可能性があるので注意が必要です。犬にとって魅力的な甘味を上手にコントロールしつつ、愛犬とのコミュニケーションと健康管理に努めましょう!
この記事の監修者

吉田萌 (NPO法人ドッグトレーナー2級)
国際動物専門学校 しつけ・トレーニング学科卒。
噛み・吠え癖の酷い元保護犬のビーグルを里親に迎えた事をきっかけに『褒めてしつける』を念頭に活動。 自身の経験を活かし、しつけイベントにて飼い主に寄り添ったトレーニング方法を指導。 ナチュラルペットフード・栄養学の知識にも精通。保有資格はNPO法人ドッグトレーナー2級の他に、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級など。
資格
NPO法人ドッグトレーナー2級、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級