
大きな犬と暮らしてみたいけれど、なんとなく小さめの犬と比べて難しそう…
そんなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?
もちろん大型犬を家族として迎えるには運動量や金銭面など注意すべき点もありますが、賢くて性格が穏やかな、飼いやすい犬種も多くいます。
この記事では、初心者の方でも比較的お迎えしやすいワンちゃんを紹介しています。
もちろん、飼いやすいからといって安易にお迎えを決めるのは、ワンちゃんにとっても人間にとってもおすすめできませんので、注意点も一緒にご紹介します!
ワンちゃんの幸せな一生に責任を持てるのか、事前によく検討をするようにしましょう。
この記事を書いた人
大型犬は飼いやすい?特徴や魅力
大型犬とは、一般的に体重25kg以上の犬のことを指し、40kg以上になると超大型犬といわれます。
体が大きいし飼うのは大変そう…と思われる方もいるでしょう。
もちろん大型犬だからこそ、運動量が多かったり必要なスペースが大きかったり、飼育費用が高くなったりと、家族として迎える前にしっかりと考えておくべき点があります。
しかし、比較的性格が穏やかでしつけのしやすい犬種も多く、どっしりと頼りがいのある「見守り犬」としての性質も存分に持ち合わせているのが大型犬の魅力です。
確かな信頼関係を築けることができれば、良きパートナーとなること間違いなしです。
飼いやすい大型犬ってどんな犬?
まずはこの章で、飼いやすい大型犬の特徴についてみてみましょう。
しつけがしやすい

初心者でも飼いやすい犬の多くは、「しつけがしやすい」ことが理由の1つとして挙げられます。
大型犬の体の大きさや運動量の多さは、飼いにくさの原因となってしまうことがあります。
そのため、これをカバーする「しつけのしやすさ」が、初心者でも飼いやすい大型犬を選ぶポイントとなるでしょう。
では、「しつけがしやすい」犬とはどんな犬なのでしょうか?
飼い主に従順な性格
個体差はありますが、比較的性格が穏やかで、飼い主の指示をよく聞く傾向にある犬種は、しつけがしやすいといわれています。
反対に、独立心や自立心の強い傾向にある犬種は、飼い主の指示よりも自分の判断を優先することもあり、根気強いしつけが必要になります。
そのため、初心者には難しいかもしれません。
トレーニングを楽しめる
「おすわり」や「ハウス」、「まて」などの基本的な指示でも、繰り返しトレーニングをして教えていく必要があります。
人間との共同作業を好み、トレーニングを楽しんでくれる犬は覚えが早いといわれています。
ここでも、独立心が強いと飼い主の指示になかなか従ってくれない場合があります。
友好的な性格
穏やかで友好的な性格の犬種であれば、人間や他の犬に対しても攻撃的な姿勢を取ることがなく、散歩や来客の際の心配も少ないでしょう。
警戒心が強い犬種は、番犬や猟犬には向いていますが、見知らぬ人にむやみに吠えてしまったり、向かっていこうとしてしまったりと、しつけがしにくいと言われてしまうことがあります。
相談先が見つけやすい

大型犬には珍しい犬種も多く、国内での飼育数が少ないと、その犬種についての情報も少ない可能性があります。
その犬種に多い疾病があっても、獣医やブリーダーなど詳しい人が少なければ、いざという時に適切な対処ができなかったり遅れたりすることがあります。
また、同じ犬種を飼っている人が周りにいないと、病気やしつけについて相談できず、心細いものです。
初心者の方であれば、相談できる先を見つけやすいメジャーな犬種を選ぶのが良いかもしれません。
飼いやすい大型犬5選
2章で紹介したしつけのしやすさ、多くの人に飼育されている犬種であることを踏まえて、飼いやすい大型犬を紹介します。
ゴールデン・レトリーバー

飼いやすいポイント
忍耐強く、温和で活発、陽気で従順な性格のゴールデン・レトリーバーは大型犬の中でも特に飼いやすい犬種といえるでしょう[1]。
従順で、しつけやトレーニングに対する反応性も高いことから、日本警察犬協会の指定警察犬7犬種のうちの1種になっています。
その他にも盲導犬や聴導犬、災害救助犬、麻薬捜査犬としても活躍しています[2]。
飼い主との信頼関係を築きやすく、しつけが比較的しやすいワンちゃんです。
日本警察犬協会によって指定警察犬とされている犬種は以下の7種です[3]。
- エアデール・テリア
- ボクサー
- コリー
- ドーベルマン
- ゴールデン・レトリーバー
- ラブラドール・レトリーバー
- ジャーマン・シェパード・ドッグ
注意点
1~2歳頃までは他の犬種と同じくやんちゃでいたずらをすることがあり、きちんとしたしつけが必要です。
また、換毛期には大量の毛が抜けるため、毎日ブラッシングをして清潔に保ってあげる必要があります。
原産国 | イギリス |
体高 | オス:56~61cm/メス:51~56cm |
体重 | オス:30~34kg/メス:25~32kg |
[1]一般社団法人ジャパンケネルクラブ「ゴールデン・レトリーバー」
[2]公益社団法人日本警察犬協会「ゴールデン・リトリーバー」
[3]公益社団法人日本警察犬協会「警察犬協会指定犬種」
ラブラドール・レトリーバー

飼いやすいポイント
ラブラドール・レトリーバーはとても聡明で、献身的で優しい性格[4]です。
理解力があり、従順で人に喜ばれることを好みます。
日本警察犬協会の指定警察犬7犬種のうちの1種として選ばれており、盲導犬やセラピー犬、介助補助犬、麻薬探知犬、災害救助犬など幅広く活躍する、人間の良きパートナーです[5]。
注意点
人と遊ぶのが大好きなワンちゃんのため、できる限り一緒にいる時間を作ってあげてください。
短毛ですが暑さには弱い犬種で、屋外よりも屋内での飼育がおすすめです。
原産国 | イギリス |
体高 | オス:56~57cm/メス:54~56cm |
体重 | オス:29~36kg/メス:25~32kg |
[4]一般社団法人ジャパンケネルクラブ「ラブラドール・レトリーバー」
[5]公益社団法人日本警察犬協会「ラブラドール・リトリーバー」
サモエド

飼いやすいポイント
とても友好的で穏やか、攻撃的でもない性格のサモエドは訓練性も高く、しつけのしやすい飼いやすい犬種です[6]。
飼い主に従順なため、小さな子どものいるご家庭でも安心して飼うことができます。
注意点
極寒のシベリアの地で誕生したサモエドは、ふわふわの被毛と皮下脂肪を持つ寒さに強い犬種である反面、日本の高温多湿な気候は苦手です。
梅雨~秋の時期は必ずエアコンの効いた部屋で過ごさせてあげることが大切です。
また、換毛期である春や秋には大量の毛が抜けます。
換毛期には毎日ブラッシングをして、清潔に保ってあげましょう。
原産国 | ロシア北部及びシベリア |
体高 | オス:57cm/メス:53cm(いずれも上下3cmのずれは許容される) |
体重 | オス:20~30kg/メス:16~20kg |
[6]一般社団法人ジャパンケネルクラブ「サモエド」
スタンダード・プードル

飼いやすいポイント
プードルといえばトイ・プードルのイメージが強いかもしれませんが、スタンダード・プードルはそれよりも大きく、大型犬に分類されます。
忠誠心や、学習能力及び訓練性が高いため、初心者でも飼いやすいといわれています[7]。
性格も優しく、社交的で家族以外ともすぐ仲良くなれる犬種です。
注意点
抜け毛が少ないことがメリットでもあり、デメリットでもある犬種です。
抜け毛に悩まされることはありませんが、適切なケアを怠ると被毛が伸び続け、絡まりやすくなります。
定期的なブラッシングとカットが必要です。
原産国 | フランス |
体高 | 45~60cm(上下2cmのずれは許容される) |
体重 | 16~25kg |
[7]一般社団法人ジャパンケネルクラブ「プードル」
バーニーズ・マウンテン・ドッグ

飼いやすいポイント
穏やかでムラのない性格のバーニーズ・マウンテン・ドッグは飼い主に対し献身的で、人との触れ合いが大好きな犬種です[8]。
頭が良く、覚えが早いためしつけもしやすいです。
注意点
大型犬の中でも平均体重が40kg以上の超大型犬に分類される犬種です。
他の犬種と同じく子犬の時はやんちゃなため、小さい頃からよくしつけをして、人間に飛びかかるなどの万が一の事故を防ぐ必要があります。
被毛が長く抜けやすいため、こまめにブラッシングをしてあげましょう。
原産国 | スイス |
体高 | オス:64~70cm/メス:58~66cm |
体重 | オス:38~50kg/メス:36~48kg |
[8]一般社団法人ジャパンケネルクラブ「バーニーズ・マウンテン・ドッグ」
大型犬を飼う時のポイント
十分なスペースはあるか?
体が大きな大型犬ですが、より家族と一緒に過ごせることや、暑さが苦手な犬種もいることから、なるべく屋内で飼育するのが理想です。
食事やトイレ、寝る場所などを分ける必要があり、お迎えする前にあらかじめ余裕のあるスペースを確保しておく必要があります。
運動・散歩の時間を十分に取れるか?
大型犬は運動量が多く、運動不足はストレスの原因となります。
個体差はありますが、大型犬に適した1日の散歩時間は1日に1~2時間程度で、30分程度を2回に分けて行うことが理想とされます。
距離にするとだいたい3~4kmです。
また、週末には広い公園やドッグランで思いっきり運動をさせてあげることも大切です。
費用面で余裕があるか?
大型犬は小型犬や中型犬に比べ、食べる量も当然多くなります。
食費以外にもベッドやトイレシーツなどの日用品、診察・治療費、トリミング代なども高額になります。
金銭面に余裕をもって飼育できるかどうか、お迎えする前によく考えておく必要があります。
しつけがきちんとできるか?
大型犬は体が大きい故に、きちんとしつけができていないと、物を壊したり、周りの人にケガをさせてしまう危険性もあります。
飼い主の指示にしっかりと従うよう、子犬の頃からよく練習をしておきましょう。
ドッグトレーナーに預けて基本的な訓練をしてもらう方法もあります。
定期的な受診をする
大型犬には「かかりやすい病気」がいくつかあります。
例えば、「心筋症」や、胃がねじれてしまう「胃捻転(いねんてん)」は命に関わる恐れがありますし、股関節形成不全や関節炎など、痛みを伴う病気などもあります。
愛犬が少しでも苦しい思いをする可能性をなくすためにも、飼い始めた時から定期的に獣医へ受診することをおすすめします。
何か異変や不安があったら相談できるよう、かかりつけの獣医を作っておくと良いですね。
まとめ
飼いやすい大型犬の特徴や犬種、飼う時のポイントを紹介しました。
飼いやすいからといって、気軽にお迎えすることができるというわけではありません。
犬を飼うということは、養うべき大切な命が1つ増えるということ。
愛するワンちゃんが元気で幸せに過ごせるよう、注意点もよく踏まえながらお迎えを検討するようにしましょう。
この記事の監修者

鮎川 多絵 (愛玩動物飼養管理士2級・ライター)
東京都出身。1986年10月生まれ。趣味は映画鑑賞・1人旅・散歩・動物スケッチ。
家族は保護犬1匹保護猫2匹(+空から見守る黒うさぎのピンキー)。
犬と私
子供の時からイヌ科動物が大好きでした。戸川幸夫氏の「牙王」で狼犬に憧れ、シートン動物記で「オオカミ王ロボ」に胸を打たれました。特に大きな犬のゆったりとした雄姿には目を奪われます。保護犬と保護猫の飼育経験から、動物関連の社会問題、災害時のペット同伴避難について意識を向けています。