安心した犬がおしりを向けて寝る中飼い主がパソコンをいじる

愛犬が近くに寄ってきたと思ったら、おしりを向けて寝てしまうことありませんか?

近くで寝るならお顔見せてよ!

飼い主のこと拒絶してるのかな…

なんて思いますよね。

しかし、犬の「おしりを向けて寝る」という行動は、人間には考えられないポジティブな感情を表しているんです。

この記事では犬がおしりを向けて寝る理由と、仕草から読み取れる犬の気持ちについて解説します。

この記事を書いた人

犬がおしりを向けて寝る理由

犬がおしりを向けて寝るという行動は、飼い主さんへの信頼感が表されています

犬にとっておしりは急所にあたる部分。

敵には絶対に見せないおしりを飼い主さんに向けているということは、

信頼しているっすよ~ おしりを預けても安心っす~

という気持ちの表れなのです。

また、犬は子犬の頃から母犬にピッタリとくっついて眠ることで安心感を得ていました

飼い主さんにも、急所であるおしりをくっつけることで「安心したい」という気持ちを満たしているのかもしれません。

どちらにせよ、飼い主さんを拒絶しているのではなく、自分を守ってくれる大切な人だと認識していることが分かりますね。

犬の急所はどこ?

犬の足と足の裏

犬にとって、おしりが急所にあたる部分だということは前述した通りです。

では、なぜおしりが急所なのでしょうか

ここでは、犬の急所とその理由について解説します。

ここで挙げる部位はどれも大切な急所なのでむやみに触らないようにした方がいいですが、犬の方から見せてくれたり触らせてくれたりする場合には、

急所を預けてもいいっす!!

信頼関係を築けている証拠ですね。

岩井ゆかり

JKC公認訓練士 岩井ゆかり先生のコメント

急所であるからこそ、飼い主さんはいつでも触れるように、幼い時期からスキンシップの一環として、急所をなでられるようにトレーニングしておきましょう。

おしり

犬たちが野生で生活していた時代、走ることで食べ物を狩ったり命を守ったりしていた犬たちにとって、走力は武器の一つでした。

走るために必要な脚を損傷すると戦闘力を失ってしまう[1]ため、そこから後ろ足やおしりを急所として守るようになったといわれています。

また、犬のおしりにある肛門腺からは分泌液が出ていてその匂いは犬ごとに異なっています

大事な個人情報を守るためにも、おしりは急所となっています

肛門腺とは

肛門の左右にある分泌腺のことをいいます。袋状の構造をしているので肛門嚢とも呼ばれます。

ワン!ポイント

犬はお互いのお尻のにおいを嗅ぐことで「この匂いはあの子だ!」と自分以外の犬を識別していて、名刺交換のような役割も果たしているのです[2]

[1]宇佐美正夫 著「いわゆる 「急所」 についての医学的考察」 中京体育学論叢 5.1 (1964): 1-22.

[2]動物医療センターもりやま犬と猫の病院「肛門腺を絞ってみましょう

お腹

犬に限らず、私たち人間でもお腹の中には胃や腸などの大切な臓器がありますよね。

このことからもお腹は攻撃から守るべきことが分かりますが、犬や猫は特に、お腹部分の毛が他の部位と比べて少ないため急所となっています

ワン!ポイント

そんなお腹を飼い主さんに見せて、仰向けに寝転がっている、通称「へそ天」

別名「仰向け寝」とも呼ばれますが、その無防備な姿は愛くるしくてたまりません。

急所であるお腹を飼い主さんに見せるこの行動も、犬がおしりを向けて寝る行動と同様、飼い主さんを信頼している証です。

マズル

突然ですが、足の小指をタンスにぶつけた経験は誰しもありますよね。

ぶつけた部分はとても小さいのに、とてつもない痛みだったのではないでしょうか。

これは、体の先端部分が痛みに敏感なためだといわれています。

犬も同様に体の先端部分は痛みに敏感です。

特に剥き出しの状態になっているマズル(鼻から口先にかけての部分)は、四足歩行の犬にとって体の先頭になり、危険を察知する役割も担っているために感覚が研ぎ澄まされている部位です。

注意すべき「おしり」に関する行動

おしりが急所なことは分かったけど、おしりにまつわる動きは全部信頼されていると思っていいの?

うちの子はおしりをやたら気にしているから心配…

急所だからこそ気を付けた方がいいことはないのかな?

このように不安になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

おしりは丸くて可愛いフォルムをしているので、全ての行動が愛おしく見えてしまいますが、実は問題を抱えていたということもあります。

おしりを床につけて、ズリズリとおしり歩きをしているのを見たことはありませんか?

これは、肛門や肛門腺にかゆみや違和感を抱いているサインです。

皮膚炎や肛門腺が詰まってしまっている可能性もありますので、おしりの状態をよく観察してあげましょう。

また、自分でおしりを舐めたり噛んだりしている時やおしりを触ると怒る時も、何かしらの違和感があることが多いので、心配な場合は早めに病院を受診してくださいね。

行動や仕草から分かる犬の気持ち

犬は言葉を話すことができない代わりに、仕草や行動で一生懸命に気持ちを伝えようとしてくれます。

これ、いつもする動きだけどどういう意味があるんだろう?

私に何を伝えようとしているのか知りたい!

一度はそう思ったことがありますよね。

おしりにまつわる犬の気持ちは解説してきた通りですが、ここでは、代表的な行動から犬の気持ちを読み解いていきます。

なお、ここで紹介する犬の行動が確実にこの感情だというわけではないので、仕草だけでなく表情や様子など総合的に観察して、コミュニケーションをとってみてくださいね。

上半身を低くしておしりを上げる 

テニスボールで遊ぶ途中にプレイバウを行う犬

これは「プレイバウ」と呼ばれるポーズです。

「遊びたい!」という気持ちを表した、遊びに誘う行動です。

飼い主さんに対して行うこともあれば、犬同士で遊びに誘う際にも見られます。

尻尾を下げて脚の間に挟む 

キツネみたいな犬の尻尾

犬の気分と尻尾の向きはリンクしているといわれています。

尻尾が上がっている時は興奮している時、反対に下がっている時は気分も沈んでいる時です。

尻尾が下がっていて、さらに脚の間に挟んでいる仕草をするときは「とても怖い…」という極度の不安状態を表しています。

尻尾を脚の間に隠すことで体を小さく見せ、敵意のないことを示しているともいわれています。

岩井ゆかり

JKC公認訓練士 岩井ゆかり先生のコメント

短い尻尾の犬、また、生まれつき尻尾が無い犬たちも、よく見ると尻尾の付近が揺れたり、沈んだりしていることはわかりますよ。

まっすぐにこちらを見つめる

見つめる黒のラブラドールレトリバー

                

飼い主さんや親しい人を見つめ、視線を合わせているのは愛情の表れです。

「大好き」と目で訴えているんですね。

一方、目を見開いていたり瞳孔が広がっていたりする際には、興奮して威嚇している気持ちが表れています。

また、犬と人間にとって視線を交わし合うことがお互いの絆を形成するのに重要な役割を持っているという研究結果も出ています[]

高い(低い)吠え声

うぉう!と言いそうな犬2頭

             

吠え声の高い低いによっても犬の感情を読み取ることができます。

とても高い声で吠えている時は「恐怖」や「不安」を感じています。

一方、低い声で吠えている時は「怒り」や「警戒」のサイン。

さらに、唸っている時は表情も険しくなり、「あっちいけ!」と相手を追い払おうとしています。

顔を舐めてくる 

夫婦の顔を舐めている犬

犬が飼い主さんの顔を一生懸命舐めてくるという経験、ありますよね。

「嫌われているんじゃなさそうだけど、なんで?」

と思ったこともあるのではないでしょうか。

これは、犬が祖先である狼の習性を受け継いでいるためといわれています。

狼の母親が巣に戻ってくると、子どもたちは母親の口を舐め、母親はそれを合図に未消化のものを吐き出して離乳食として与えていました。

このことから、愛情表現として飼い主さんの顔を舐めるということが本能として刻まれているようです。

犬がおしりを向けて寝る理由のまとめ

犬にとって走ることに必要な後ろ脚や、肛門腺のあるおしりは急所にあたる部分です。

そんな急所であるおしりを飼い主さんに向けて寝るという行動には、「信頼している」「おしりを預けても安心」という飼い主さんへの信頼感が隠されています。

また、子犬の頃に母親にくっついて眠ることで得ていた安心感を、信頼している飼い主さんからも得ようとしているのかもしれません。

人間同士ではおしりを向けるという行動は失礼な行為にあたりますが、犬にとっては飼い主さんを拒絶しているのではなく、自分を守ってくれる大切な人だと認識しているサインなのです。

また、おしり以外の急所を見せたり触らせたりすることによっても、飼い主さんを信頼しているということを表してくれています

言葉を話せない代わりに、自分の体で気持ちを伝えてくれる犬の姿は、とても愛おしく尊いものですよね。

この記事が、さまざまな仕草に隠された犬の本音を読み取る際の参考になれば嬉しいです。

 この記事の監修者

鮎川 多絵 (愛玩動物飼養管理士2級・ライター)

東京都出身。1986年10月生まれ。趣味は映画鑑賞・1人旅・散歩・動物スケッチ。
家族は保護犬1匹保護猫2匹(+空から見守る黒うさぎのピンキー)。

犬と私
子供の時からイヌ科動物が大好きでした。戸川幸夫氏の「牙王」で狼犬に憧れ、シートン動物記で「オオカミ王ロボ」に胸を打たれました。特に大きな犬のゆったりとした雄姿には目を奪われます。保護犬と保護猫の飼育経験から、動物関連の社会問題、災害時のペット同伴避難について意識を向けています。

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資格
愛玩動物飼養管理士2級 防災コーディネーター 学芸員 登録日本語教員

 この記事の監修者

吉田萌 (NPO法人ドッグトレーナー2級)

国際動物専門学校 しつけ・トレーニング学科卒。
噛み・吠え癖の酷い元保護犬のビーグルを里親に迎えた事をきっかけに『褒めてしつける』を念頭に活動。 自身の経験を活かし、しつけイベントにて飼い主に寄り添ったトレーニング方法を指導。 ナチュラルペットフード・栄養学の知識にも精通。保有資格はNPO法人ドッグトレーナー2級の他に、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級など。

資格
NPO法人ドッグトレーナー2級、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級

 この記事の監修者

岩井 ゆかり (JKC公認訓練士・ペット栄養管理士)

経歴
日本初、ウェディング専門ペットシッターサービス「銀座INPET」代表。飼い主と犬の教育に関わる。著書に「育犬ノイローゼかな?と思ったら読む本」などがある。年間2000頭の子犬育てに関わる。ペット損害保険会社に約10年勤務後、いいなみ株式会社を設立。犬と人とのよりよい共生社会を目指し、活動をしている。

資格
NPO法人ドッグトレーナー2級、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級

HP/SNS
HP  instagram 

資格
犬猫行動アナリスト JKC公認訓練士 JKCトリマーA級 ペット栄養管理士 等

著書・出演
≪新聞、雑誌≫ブライダル産業新聞社、講談社CLASSY.、ゼクシィ
≪ラジオ≫ABC放送「日本の社長数珠つながり」FMサルース「月見おんぷのギャップラジオ」

この記事を書いた人

本間ユミノ

新潟県出身。2児の母。食べることと寝ること、読書が好き。動かないことも動くことも好き。モットーは「夜を乗りこなす」
第49期 宣伝会議 編集・ライター講座修了。
小学生の頃に読んだ、漫画『動物のお医者さん』に出てくるチョビ(主人公が飼っているシベリアン・ハスキー)の可愛さに虜になる。以来、好きな犬種はシベリアン・ハスキー。

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