
大切な家族の一員であるワンちゃんには、少しでも長く健康でいてほしいですよね。
犬種や遺伝的な要因、それぞれのワンちゃんによって寿命は異なり、残念ながら平均的な寿命が短い傾向にある犬種もいます。
長く一緒に暮らすために、できる限りのことはしてあげたいもの。
この記事では寿命が短めのワンちゃんや、長生きしてもらうために気を付けるポイントを紹介しています。
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犬の平均寿命
一般社団法人ペットフード協会が公開している『全国犬猫飼育実態調査』の最新版(2024年度版)によると、犬の平均寿命は2010年の13.87歳に比べ、2024年には14.9歳と、年々長くなってきています。
その理由としては獣医学の進歩や飼育環境の改善が挙げられますが、平均寿命には犬種による違いや個体差があります。
一般的には体の小さい犬に比べて大型犬の方が寿命が短いといわれますが、実際にはどのくらい違うものなのでしょうか?
小型犬・中型犬・大型犬の平均寿命の比較
犬の寿命はサイズによっても変化するといわれています。
「大型犬は小型犬よりも寿命が短い」ということを聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
以下の表からもわかるように、確かに超小型犬や小型犬に比べて、中・大型犬の方が平均寿命が短い傾向にあります。
犬のサイズ | 平均寿命 | 体重 |
---|---|---|
中・大型犬 | 14.37歳 | 10kg以上 |
小型犬 | 14.78歳 | 5~10kg |
超小型犬 | 14.9歳 | 5kg以下 |
全国犬猫飼育実態調査 | 一般社団法人ペットフード協会「犬猫 平均寿命の推移(2024年)」より著者制作
大型犬の中でも体重が40kg以上の「超大型犬」は、一般的に他犬種に比べても特に寿命が短いといわれています。
寿命が短い犬の特徴を紹介 大型犬は寿命が短い?
では大きなワンちゃんほど寿命が短くなるのはなぜなのでしょうか。
ここでは大型犬が短命だといわれている理由を4つ紹介します。

成長スピードが早い
体の大きいワンちゃんは、体の小さいワンちゃんと比べて成長するスピードが早く、これが大型犬の平均寿命を短くしている原因の1つと考えられています[1]。
この理由には諸説あり、まだあまり解明されていませんが、その1つの説として体の大きな犬は短期間で急激な成長を遂げるためとされています。
生まれたばかりの子犬はどんな犬種であってもそこまで大きさに違いがありません。
大型犬は小型犬や中型犬と比べて短い間に急激な成長をすることになり、その分細胞分裂の回数も多くなります。
この成長が細胞に大きな負担をかけ、体の大きな犬ほど寿命が短い傾向があるといわれています。
[1]日本経済新聞2024年10月18日「なぜ大型犬は短命なのか 寿命の研究で分かってきたこと」
臓器比率が小さい
大型犬と小型犬では体格に差はありますが、臓器の大きさは比例するわけではないとされています。
小型犬に比べ、大型犬の臓器の大きさは体の割に小さいということです。
内臓が体の大きさに合っていないと、必要な酸素や栄養を効率的に体全体に取り入れるのが難しいといわれており、体の酸化が進む要因となる可能性があります。
体の酸化は老化を促進することでもあり、これによって寿命が短くなる傾向があると考えられています。

ちなみに……人間は過度な筋肉を鍛えすぎると老化が早くなるともいわれています。
大型犬の男性オーナーは大柄な方がとても多いですが、ワンちゃんに負けじと鍛えすぎるのは要注意ですよ。

たしかにご主人も体がとってもとっても大きいっす~!!!

WOW!気を付けます!
がん細胞の発生率が高い
他の生き物と同様、ワンちゃんも細胞分裂を繰り返して生命を維持しています。
その細胞分裂の過程で突然変異が起き発生してしまうのががん細胞です。
大型犬の場合、大きな体を形成・維持するために小型犬よりも活発に細胞分裂が行われます。
そのため、がん細胞の発生確率も高くなり、結果としてがんに罹患しやすいという説があります。
遺伝子の違い
ワンちゃんの体の大きさは「IGF-1因子」という成長ホルモンによって決まるという研究結果があり、この成長ホルモンが犬種ごとの寿命や成長にも関与しているといわれています。
「IGF-1因子」が大きいほど体が大きくなり、寿命も短くなる傾向があります。
この成長ホルモンの分泌が多いことが、大型犬が短命である原因の1つである可能性があります。
大型犬以外で寿命が短い犬
大型犬以外でも一般的に寿命が短い傾向にあるといわれているワンちゃんもいます。
いまだ明確な理由の解明には至っていませんが、「短頭種」も平均寿命が短いとされています。

短頭種のワンちゃんとはブルドッグやフレンチブルドッグなど、頭蓋骨の幅(目元から耳元にかけて)に比べてマズル(口周りから鼻先にかけての部分)が短い、いわゆる「鼻ぺちゃ」のワンちゃんのことです。
短頭種は、体温調節が苦手なことや、マズルが短いために呼気と吸気のスムーズな入れ替えが苦手なことなどから、呼吸器系のトラブルを発症しやすい傾向があるとされています。
熱中症や呼吸器トラブルにより若いうちに命を落とすリスクが高いため、特に夏場には体調管理に気を配る必要があるワンちゃんです。
寿命が短い犬ランキングTOP5
もちろん個体差がありますが、平均寿命が短い犬種もいます。
ここでは平均寿命の短い犬種TOP5を紹介しています。
かかりやすい病気やその対策も挙げているので、参考にしてみてください。
第5位:ブルドッグ

中型犬に分類されるブルドッグの平均寿命は8~10歳くらいです。
中型犬の平均寿命は11~15歳といわれていますので、平均より短めです。
かかりやすい病気とその要因や対策について説明します。
短頭種気道症候群
短頭種のワンちゃんがかかりやすい病気で、ブルドッグに最も多い疾患です。
喉がギュッと狭くなっている構造のため、鼻腔や気管、気管支も狭い状態になってしまうことがあり、喘息のようにゼーゼーとした荒い呼吸や早い呼吸になるなどの症状が出ます。
- 肥満にならないよう注意する
- 激しい運動を避ける
特に鼻腔が狭い個体であれば若いうちに外科手術を受けるのも良いでしょう
第三眼瞼腺脱出(チェリーアイ)
遺伝的な疾患で、「だいさんがんけんせんだっしゅつ」と読みます。
眼の内側にある第三眼瞼腺(だいさんがんけんせん)の根元が緩んで飛び出してしまう疾患で、目頭に飛び出したものが赤いさくらんぼに似ていることから「チェリーアイ」とも呼ばれます。
多くは先天性で1歳未満の子犬が発症することがほとんどですが、外傷で発症することもあります。
- 軽度であれば点眼薬で炎症を抑える
- 綿棒で飛び出した第三眼瞼腺を押し込む
- 重度であれば外科手術が必要
遺伝的な疾患である場合がほとんどのため、予防は難しいです。早期発見に努めましょう。
歯肉炎
ブルドッグは受け口になっており、歯周病になりやすいです。
歯周病が原因で歯肉炎になる場合があり、歯茎が腫れたり、歯や顎の骨が溶けたりします。
- きちんと歯磨きをしてあげる
- 歯肉炎が起きている場合は、軽度であれば塗り薬や飲み薬で治療する
熱中症
ブルドッグのような短頭種は呼吸しづらいことが多く、呼吸で体温調整するのが苦手なため、熱中症になりやすいです。
外気温がそれほど高くなくても高体温になることがあります。
息が荒くなる、舌の色が悪くなる、体が熱くなっているなどの症状が出ていないか、日頃からよく観察してあげてください。
- 体の熱が上がらないよう冷房を付ける、保冷剤で冷やす
- 外なら木陰に移動する
症状が重くならないうちに病院に連れて行ってあげましょう。
第4位:バーニーズ・マウンテン・ドッグ

超大型犬であるバーニーズ・マウンテン・ドッグの寿命は平均で7~11歳ほど。
短命な理由は、一説には、第一次世界大戦時に絶滅の危機にひんした時、やむを得ず近親交配が繰り返されたことで、遺伝病を持つ個体が増えたためともいわれています。
かかりやすい病気とその要因や対策について説明します。
胃捻転(いねんてん)
大型犬に見られやすく死に至る危険性もある病気で、超大型犬であるバーニーズ・マウンテン・ドッグもなりやすい病気です。
食事中や食後に大量の空気を吸ってしまうことで胃が拡張し、ねじれてしまいます。
吐きたくても吐けない、元気・食欲がない、呼吸が乱れる、頻繁によだれを垂らすなどの症状が見られた場合は速やかに病院に連れて行ってあげてください。
- 早食いをさせない
- 食事は数回に分けて一気食いさせない
- 食後すぐに運動をさせない
進行性網膜萎縮(しんこうせいもうまくいしゅく)
遺伝性の疾患と考えられており、網膜が委縮することで視力が低下します。
最終的には失明の可能性もある病気です。
暗い場所で物にぶつかる、歩行中につまずく、運動量が低下するなどの症状が見られます。
残念ながら未だ治療法が確立されていません。日頃からのチェックや定期的な健診で早期に発見してあげられるようにしましょう。
もしかかってしまった場合は、家の中の段差を減らすなど視力が低下しても過ごしやすい環境を作ってあげることが必要です。
股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)
大型犬に見られやすい病気で、生後5カ月~1歳までの骨の発育過程で異常が起こり、股関節の脱臼などを起こしてしまいます。
足を引きずる、散歩中に座り込んでしまう、腰を左右に揺らしながら歩くなどの異変がないか、普段から気にかけてあげてください。
- 肥満にならないよう注意する
- 股関節に負担がかからないようフローリングなどの滑りやすい床にはマットやカーペットを敷く
先天性の疾患である場合が多く、100%の予防は難しいですが、早期発見・早期治療が重要なため早めに病院に連れて行ってあげましょう。
第3位:アイリッシュ・ウルフハウンド

アイリッシュ・ウルフハウンドは超大型犬に分類され、平均寿命は6~10歳です。10歳でも長い方だとされています。
かかりやすい病気とその要因や対策について説明します。
胃捻転(いねんてん)
大型犬に見られやすく死に至る危険性もある病気で、超大型犬であるアイリッシュ・ウルフハウンドもなりやすい病気です。
食事中や食後に大量の空気を吸ってしまうことで胃が拡張し、ねじれてしまいます。
吐きたくても吐けない、元気・食欲がない、呼吸が乱れる、頻繁によだれを垂らすなどの症状が見られた場合は速やかに病院に連れて行ってあげてください。
- 早食いをさせない
- 食事は数回に分けて一気食いさせない
- 食後すぐに運動をさせない
拡張型心筋症
超大型犬に多い病気で、心筋が薄く伸びてしまうことで血液の循環不順などを起こします。
原因は明確になっていませんが、遺伝的な要因や老化により発生すると考えられています。
呼吸困難や咳、食欲や体重の低下、運動量の低下などが見られます。
- 血液の流れを良くする薬や心臓の薬などの投薬治療を行う
一度発症すると完治することのない疾患のため、対処療法をしながら健康を守っていってあげることが必要です。
股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)
大型犬に見られやすい病気です。
生後5カ月~1歳までの骨の発育過程で異常が起こり、股関節の脱臼などを起こしてしまいます。
足を引きずる、散歩中に座り込んでしまう、腰を左右に揺らしながら歩くなどの異変がないか、普段から気にかけてあげてください。
- 肥満にならないよう注意する
- 股関節に負担がかからないようフローリングなどの滑りやすい床にはマットやカーペットを敷く
早期発見・早期治療が重要なため早めに病院に連れて行ってあげましょう。
第2位:レオンベルガー

超大型犬であるレオンべルガーの平均寿命は8~9歳くらいです。
かかりやすい病気とその要因や対策について説明します。
胃捻転(いねんてん)
大型犬に見られやすく死に至る危険性もある病気で、超大型犬であるレオンベルガーもなりやすい病気です。
食事中や食後に大量の空気を吸ってしまうことで胃が拡張し、ねじれてしまいます。
吐きたくても吐けない、元気・食欲がない、呼吸が乱れる、頻繁によだれを垂らすなどの症状が見られた場合は速やかに病院に連れて行ってあげてください。
- 早食いをさせない
- 食事は数回に分けて一気食いさせない
- 食後すぐに運動をさせない
股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)
大型犬に見られやすい病気です。
生後5カ月~1歳までの骨の発育過程で異常が起こり、股関節の脱臼などを起こしてしまいます。
足を引きずる、散歩中に座り込んでしまう、腰を左右に揺らしながら歩くなどの異変がないか、普段から気にかけてあげてください。
- 肥満にならないよう注意する
- 股関節に負担がかからないようフローリングなどの滑りやすい床にはマットやカーペットを敷く
早期発見・早期治療が重要なため早めに病院に連れて行ってあげましょう。
第1位:グレート・デーン

超大型犬のグレート・デーンは最も寿命が短い犬ともいわれており、6~8歳程度が平均寿命です。
かかりやすい病気とその要因や対策について説明します。
胃捻転(いねんてん)
大型犬に見られやすく死に至る危険性もある病気で、超大型犬であるグレート・デーンもなりやすい病気です。
食事中や食後に大量の空気を吸ってしまうことで胃が拡張し、ねじれてしまいます。
吐きたくても吐けない、元気・食欲がない、呼吸が乱れる、頻繁によだれを垂らすなどの症状が見られた場合は速やかに病院に連れて行ってあげてください。
- 早食いをさせない
- 食事は数回に分けて一気食いさせない
- 食後すぐに運動をさせない
拡張型心筋症
超大型犬に多い病気で、心筋が薄く伸びてしまうことで血液の循環不順などを起こします。
原因は明確になっていませんが、遺伝的な要因や老化により発生すると考えられています。
呼吸困難や咳、食欲や体重の低下、運動量の低下などが見られます。
- 血液の流れを良くする薬や心臓の薬などの投薬治療を行う
一度発症すると完治することのない疾患のため、対処療法をしながら健康を守っていってあげることが必要です。
骨肉腫
犬種問わず発症する病気ではありますが、特に大型犬・超大型犬に多いとされています。
明確な原因は不明ですが、体重の重さからくる骨へのダメージが要因になるとも考えられています。
足が腫れる、歩くのを嫌がる、硬いしこりができるなどの症状があります。
- フローリングなどの滑りやすい床にはマットやカーペットを敷く
- 定期的な健診で早期発見に努める
レントゲン検査やCT検査などで骨肉腫が発見されたら、手術や抗がん剤で治療をするのが一般的です。
短命な犬種でも長生きしてもらうためにできること

短命な傾向のあるワンちゃんでも、大切な家族には少しでも長生きしてほしいですよね。
気を付けてあげるべきポイントを押さえておけば、病気の予防や長生きのサポートになりますよ。
食事管理
肥満や痩せすぎを防ぎ、体へ負担をかけないよう、犬種や年齢、運動量に合ったフードをあげることが重要です。
おやつの与えすぎに注意し、味の濃い人間の食べ物をあげたりするのはやめましょう。
また食事後には歯磨きをするようにしてあげてください。
ストレスをためさせない、スキンシップをとる
ワンちゃんも人間と同じように、ストレスがたまると免疫力が低下し、精神面にも健康面にも良くありません。
適切な運動量を確保する、不安や緊張を感じる場面をなるべく避ける、気温や環境を適切にする、空腹や睡眠不足を感じさせないようにするなど、日常的な心がけが大切です。
スキンシップはワンちゃんのストレス解消につながるだけでなく、触れ合う中でワンちゃんの小さな異変にも気付くことができ、病気の早期発見につながることもあります。
生活環境を整える
滑りにくい床やカーペットにする、段差を無くす、スロープを設置するなど、ワンちゃんの年齢や状況に合わせた快適な環境作りをしてあげましょう。
余計な病気やケガを防ぎ、長生きにつながります。
定期的な健康診断を受ける
日頃から小さな変化でも気づいてあげることも大切ですが、それよりも前に病気を発見できる健康診断を受けることも不可欠です。
外見からではわからない病気の早期発見や予防につながります。
若いうちは年に1回、シニア期に入ってからは年に2回受けると安心です。
かかりつけの動物病院やセカンドオピニオンがもらえる病院、万が一の時の救急病院を事前に押さえておくのが良いでしょう。
かかりつけの動物病院(獣医師)の診断や治療法について、別の獣医師の意見を求めることです。
数多くの視点から見た方が診断の精度が上がり、治療の選択肢が広がる可能性もあります。
ワクチン接種や去勢・避妊手術
接種が義務化されている狂犬病ワクチンだけでなく、混合ワクチンの接種によって感染症などの病気の予防ができます。
もし発症した際にも重症化を防ぎます。
ワクチンにはリスクが生じる可能性もあるため、獣医師とよく相談してから判断しましょう。
また、去勢や避妊手術によって予防できる病気もあります。
例えば、去勢手術であれば精巣腫瘍や前立腺肥大、避妊手術であれば乳腺腫瘍や子宮蓄膿症を予防できます。
発情のストレスを感じなくなるため、妊娠や出産を望まない場合であればおすすめです。
まとめ
寿命が短い犬種やその要因、対策などを紹介しました。
平均寿命が短い傾向にあるワンちゃんでも、以下の点を日頃から気にかけてあげることで、一緒にいる時間を少しでも延ばせる可能性がグッと高くなります。
- 適切な食事管理をすること
- ストレスをためない、スキンシップをとる
- 快適な生活環境を整える
- 定期的な健康診断を受ける
- ワクチン接種や去勢・避妊手術を行う

大切なワンちゃんが元気に過ごせるよう、ぜひ参考にしてみてくださいね。