木の棒を咥えながら泳いでいる黒いラブラドールレトリバー2頭

大切な家族の一員であるワンちゃんには、少しでも長く健康でいてほしいですよね。

犬種や遺伝的な要因、それぞれのワンちゃんによって寿命は異なり、残念ながら平均的な寿命が短い傾向にある犬種もいます。

長く一緒に暮らすために、できる限りのことはしてあげたいもの。

この記事では寿命が短めのワンちゃんや、長生きしてもらうために気を付けるポイントを紹介しています。

この記事を書いた人

田代夏海

神奈川県生まれ。趣味は読書、音楽、旅、映画、美術館、動物園、植物、
散歩、写真など。好きなことをしているときの自分と時間が好き。
第49期 宣伝会議 編集・ライター講座修了。
一番好きな犬種はミニチュアシュナウザー。犬と名前の付く生き物は何でも好き。5歳から一緒に育った愛犬の、肉球から香るボーロのような匂いを今でもときどき思い出します。

犬の平均寿命

一般社団法人ペットフード協会が公開している『全国犬猫飼育実態調査』の最新版(2024年度版)によると、犬の平均寿命は2010年の13.87歳に比べ、2024年には14.9歳と、年々長くなってきています。

その理由としては獣医学の進歩や飼育環境の改善が挙げられますが、平均寿命には犬種による違いや個体差があります。

一般的には体の小さい犬に比べて大型犬の方が寿命が短いといわれますが、実際にはどのくらい違うものなのでしょうか?

小型犬・中型犬・大型犬の平均寿命の比較

犬の寿命はサイズによっても変化するといわれています。

「大型犬は小型犬よりも寿命が短い」ということを聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

以下の表からもわかるように、確かに超小型犬や小型犬に比べて、中・大型犬の方が平均寿命が短い傾向にあります。

犬のサイズ平均寿命体重
中・大型犬14.37歳10kg以上
小型犬14.78歳5~10kg
超小型犬14.9歳5kg以下

全国犬猫飼育実態調査 | 一般社団法人ペットフード協会「犬猫 平均寿命の推移(2024年)」より著者制作

大型犬の中でも体重が40kg以上の「超大型犬」は、一般的に他犬種に比べても特に寿命が短いといわれています。

寿命が短い犬の特徴を紹介 大型犬は寿命が短い?

では大きなワンちゃんほど寿命が短くなるのはなぜなのでしょうか。

ここでは大型犬が短命だといわれている理由を4つ紹介します。

芝生の上を元気に走っている、灰色の犬

長スピードが早い

体の大きいワンちゃんは、体の小さいワンちゃんと比べて成長するスピードが早く、これが大型犬の平均寿命を短くしている原因の1つと考えられています[1]

この理由には諸説あり、まだあまり解明されていませんが、その1つの説として体の大きな犬は短期間で急激な成長を遂げるためとされています。

生まれたばかりの子犬はどんな犬種であってもそこまで大きさに違いがありません。

大型犬は小型犬や中型犬と比べて短い間に急激な成長をすることになり、その分細胞分裂の回数も多くなります

この成長が細胞に大きな負担をかけ、体の大きな犬ほど寿命が短い傾向があるといわれています。

[1]日本経済新聞2024年10月18日「なぜ大型犬は短命なのか
寿命の研究で分かってきたこと

臓器比率が小さい

大型犬と小型犬では体格に差はありますが、臓器の大きさは比例するわけではないとされています。

小型犬に比べ、大型犬の臓器の大きさは体の割に小さいということです。

内臓が体の大きさに合っていないと、必要な酸素や栄養を効率的に体全体に取り入れるのが難しいといわれており、体の酸化が進む要因となる可能性があります。

体の酸化は老化を促進することでもあり、これによって寿命が短くなる傾向があると考えられています。

田代夏海

ちなみに……人間は過度な筋肉を鍛えすぎると老化が早くなるともいわれています。

大型犬の男性オーナーは大柄な方がとても多いですが、ワンちゃんに負けじと鍛えすぎるのは要注意ですよ。

ぼんじょび

たしかにご主人も、体がとってもとっても大きいっす~!!!

恐竜みたいに大きいっす~!!!

どえら井和寿

WOW!気を付けます!

がん細胞の発生率が高い

他の生き物と同様、ワンちゃんも細胞分裂を繰り返して生命を維持しています

その細胞分裂の過程で突然変異が起き発生してしまうのががん細胞です。

大型犬の場合、大きな体を形成・維持するために小型犬よりも活発に細胞分裂が行われます

そのため、がん細胞の発生確率も高くなり、結果としてがんに罹患しやすいという説があります。

遺伝子の違い

ワンちゃんの体の大きさは「IGF-1因子」という成長ホルモンによって決まるという研究結果があり、この成長ホルモンが犬種ごとの寿命や成長にも関与しているといわれています。

「IGF-1因子」が大きいほど体が大きくなり、寿命も短くなる傾向があります。

この成長ホルモンの分泌が多いことが、大型犬が短命である原因の1つである可能性があります。

獣医師
植田 紗妃

大型犬の寿命が短い主な理由に関わる生物学的特徴を紹介します。
①テロメアの短縮:大型犬は短期間で急成長するために細胞分裂の回数が多く、染色体の末端を保護する「テロメア」は分裂を重ねるごとに少しずつ短くなります。テロメアが限界まで短くなると、細胞は正常に分裂できなくなり、 老化・機能不全・がんリスクの上昇につながります。これが細胞の老化やがんリスクにつながります。
②IGF-1ホルモンの過剰分泌:大型犬は成長ホルモン(IGF-1)の血中濃度が高く、成長後もそれが続くことで酸化ストレスが増加し、代謝の老化が加速します。多くの生物で、IGF-1高値 = 寿命短縮・加齢性疾患リスク上昇 と強く関連しています。
③病気リスクの増加:上記2つの影響で、大型犬は小型犬に比べてがんや心疾患、骨格系疾患を発症しやすくなっています。
・注目すべき点は、大型犬が「早く老化し始める」わけではなく、一度老化が始まると死亡リスクの上昇スピードが圧倒的に速いことが、寿命の短さの本質的な原因だということです。
【参考文献】
Kraus C, et al. / Eigenmann JE, et al. /一般社団法人ペットフード協会「犬猫 平均寿命の推移(2024年)」

大型犬以外で寿命が短い犬

大型犬以外でも一般的に寿命が短い傾向にあるといわれているワンちゃんもいます。

いまだ明確な理由の解明には至っていませんが、「短頭種」も平均寿命が短いとされています。

白と黒の牛柄の犬がこちらを見て笑っている

短頭種のワンちゃんとはブルドッグやフレンチブルドッグなど、頭蓋骨の幅(目元から耳元にかけて)に比べてマズル(口周りから鼻先にかけての部分)が短い、いわゆる「鼻ぺちゃ」のワンちゃんのことです。

短頭種は、体温調節が苦手なことや、マズルが短いために呼気と吸気のスムーズな入れ替えが苦手なことなどから、呼吸器系のトラブルを発症しやすい傾向があるとされています。

熱中症や呼吸器トラブルにより若いうちに命を落とすリスクが高いため、特に夏場には体調管理に気を配る必要があるワンちゃんです。

寿命が短い犬ランキングTOP5

もちろん個体差がありますが、平均寿命が短い犬種もいます。

ここでは平均寿命の短い犬種TOP5を紹介しています。

かかりやすい病気やその対策も挙げているので、参考にしてみてください。

第5位:ブルドッグ

貫禄のあるブルドッグが今にもこちらに走ってきそう

中型犬に分類されるブルドッグの平均寿命は8~10歳くらいです。

中型犬の平均寿命は11~15歳といわれていますので、平均より短めです。

かかりやすい病気とその要因や対策について説明します。

短頭種気道症候群

要因・症状

短頭種のワンちゃんがかかりやすい病気で、ブルドッグに最も多い疾患です。

喉がギュッと狭くなっている構造のため、鼻腔や気管、気管支も狭い状態になってしまうことがあり、喘息のようにゼーゼーとした荒い呼吸や早い呼吸になるなどの症状が出ます。

対策・予防
  • 肥満にならないよう注意する
  • 激しい運動を避ける

特に鼻腔が狭い個体であれば若いうちに外科手術を受けるのも良いでしょう

獣医師
植田 紗妃

代表犬種(パグ、フレンチブルドッグ、ブルドッグ)での短頭種気道症候群の有病率は50〜65%以上と言われています。
治療は基本内科的治療(体重減量、抗炎症剤、体の冷却、酸素室管理など)ですが、場合によっては手術が適応になる可能性もあります。
【参考文献】
Packer et al. (2015)./Mitze et al. Fernández-Parra et al.

第三眼瞼腺脱出(チェリーアイ)

要因・症状

遺伝的な疾患で、「だいさんがんけんせんだっしゅつ」と読みます。

眼の内側にある第三眼瞼腺(だいさんがんけんせん)の根元が緩んで飛び出してしまう疾患で、目頭に飛び出したものが赤いさくらんぼに似ていることから「チェリーアイ」とも呼ばれます。

多くは先天性で1歳未満の子犬が発症することがほとんどですが、外傷で発症することもあります。

対策・予防
  • 軽度であれば点眼薬で炎症を抑える
  • 綿棒で飛び出した第三眼瞼腺を押し込む
  • 重度であれば外科手術が必要

遺伝的な疾患である場合がほとんどのため、予防は難しいです。早期発見に努めましょう。

獣医師
植田 紗妃

1. 原因

第三眼瞼腺を眼窩内に固定している結合組織の先天的な脆弱性が根本原因と言われています。固定が緩んだ状態でアレルギーや感染による炎症・リンパ濾胞の過形成が加わると、瞬膜腺が外に脱出してしまいます。その状態をチェリーアイといいます。遺伝的素因が強く、1-2歳未満での発症が大多数を占めます。

2. 放置した場合のリスク

乾性角結膜炎(いわゆるドライアイ):瞬膜腺は涙液の30〜60%を産生しているため、脱出した状態で放置すると瞬膜腺がうまく機能できずドライアイになる可能性があります。
それによる角結膜炎・角膜潰瘍への進行もありえます。

3. 治療方針

乾性角結膜炎の発症リスクが高まるため、瞬膜腺の「切除」は禁忌です。整復・温存が絶対的な第一選択です。
【参考文献】
Freyer J, Labadie JD, Huff JT, et al.

歯肉炎

要因・症状

ブルドッグは受け口になっており、歯周病になりやすいです。

歯肉炎が原因で歯周炎になる場合があり、ひどいと顔が腫れたり、くしゃみがでたりします。

対策・予防
  • きちんと歯磨きをしてあげる
  • 歯肉炎が起きている場合は、軽度であれば飲み薬で治療する
獣医師
植田 紗妃

1.病態

歯垢(プラーク)中の細菌が引き起こす、歯肉および歯周組織(歯根膜、セメント質、歯槽骨)の進行性かつ破壊性の炎症疾患です。犬の唾液はアルカリ性であるため、歯垢はわずか3〜5日という短期間で石灰化して「歯石」になります。重症化すると歯槽骨が溶けて歯が脱落するだけでなく、下顎骨骨折や口腔鼻腔瘻を引き起こします。さらに、血流に乗った細菌が心臓(僧帽弁内皮)、腎臓、肝臓などの全身臓器に微小な炎症や病理学的変化を引き起こす「歯周病の全身的影響(Systemic implications)」が複数の研究で証明されています。

2.発症リスク

3歳以上の犬の約80%が罹患しているとされる最も一般的な疾患です。顎が小さく歯が密集している小型犬(ダックスフンド、トイプードル、チワワなど)で特にリスクが高く、日常的なデンタルケアの欠如が最大の要因となります。
また、乳歯遺残があるとより歯石が付着しやすいため、その分歯周病のリスクは高まります。不妊手術の際に乳歯は抜歯してもらうのが吉です。

3.予後や管理

歯肉炎の段階(可逆的)であれば適切な処置で完治しますが、歯周炎(不可逆的)に進行すると破壊された組織を元に戻すことはできません。管理のゴールドスタンダードは毎日の歯磨き(物理的ブラッシング)です。一度形成された歯石は歯磨きでは除去できないため、全身麻酔下での専門的な歯科処置によるリセットが必要不可欠です。無麻酔での歯石除去は、歯周ポケット内部の清掃が不可能であり、かつ動物に恐怖と苦痛を与えるだけでなく顎骨折や失明が起こりうるため、強く非推奨とされています。
【参考文献】
Pavlica Z, Petelin M, Juntes P, et al. (2008).

熱中症

要因・症状

ブルドッグのような短頭種は呼吸しづらいことが多く、呼吸で体温調整するのが苦手なため、熱中症になりやすいです。

外気温がそれほど高くなくても高体温になることがあります。

息が荒くなる、舌の色が悪くなる、体が熱くなっているなどの症状が出ていないか、日頃からよく観察してあげてください。

対策・予防
  • 体の熱が上がらないよう冷房を付ける、保冷剤で冷やす
  • 外なら木陰に移動する

症状が重くならないうちに病院に連れて行ってあげましょう。

獣医師
植田 紗妃

1. 発症リスク

犬種相対リスク
ブルドッグ14倍
フレンチ・ブルドッグ6倍
パグ・キャバリア3倍

環境要因(車内放置など)によるブルドッグの熱中症発症リスクはラブラドールの16.6倍に達します。

2. 死亡率

熱中症は進行が早く、一度重症化すると非常に致死率が高い疾患です。
・全体の致死率: 獣医療機関を受診した熱中症ケース全体の死亡率は、約11%〜26.56%と報告されています。
・重症化時の致死率: 症状が進行し重症化したケースに限定すると、死亡率は50%〜57%にまで達します。
・予後因子: 初期段階(軽度〜中等度)で早期に獣医療ケアを受けた場合の生存率は高くなります。しかし、受診が遅れると生存率は急激に低下します。

3. 死亡メカニズム

短頭種は軟口蓋過長・外鼻孔狭窄・気管低形成によりパンティングによる体温調節が著しく低下しており、体温が41℃を超えると以下の致命的な連鎖が起こりやすくなります。
体温上昇 → 全身性炎症反応(SIRS)→ 播種性血管内凝固症候群(DIC)→ 多臓器不全 → 心肺停
主な臓器障害:心筋傷害・ARDS(呼吸器)、脳症(中枢神経)、急性腎不全・肝不全(泌尿器・消化器)、横紋筋融解症(筋肉)
【参考文献】
Hall EJ, Carter AJ, O’Neill DG. Incidence and risk factors,ae al. (2020). Bruchim Y, Horowitz M, et al.(2017).

第4位:バーニーズ・マウンテン・ドッグ

バーニーズマウンテンドッグのきれいな横顔

超大型犬であるバーニーズ・マウンテン・ドッグの寿命は平均で7~11歳ほど。

短命な理由は、一説には、第一次世界大戦時に絶滅の危機にひんした時、やむを得ず近親交配が繰り返されたことで、遺伝病を持つ個体が増えたためともいわれています。

かかりやすい病気とその要因や対策について説明します。

胃捻転(いねんてん)

要因・症状

大型犬に見られやすく死に至る危険性もある病気で、超大型犬であるバーニーズ・マウンテン・ドッグもなりやすい病気です。

食事中や食後に大量の空気を吸ってしまうことで胃が拡張し、ねじれてしまいます

吐きたくても吐けない、元気・食欲がない、呼吸が乱れる、頻繁によだれを垂らすなどの症状が見られた場合は速やかに病院に連れて行ってあげてください。

対策・予防
  • 早食いをさせない
  • 食事は数回に分けて一気食いさせない
  • 食後すぐに運動をさせない
獣医師
植田 紗妃

胃の急激な拡張と時計回りの捻転によって引き起こされる、致命的な循環不全、ショック、および組織の壊死が主な死亡原因となります。具体的なメカニズムは以下の通りです。

  • 心拍出量の激減(閉塞性ショック): 拡張・捻転した胃が後大静脈と門脈を圧迫することで、血流の激しい「うっ血」が起こります。これにより心臓に戻る血液(静脈還流量)が減少し、心拍出量が低下します。
  • 心筋虚血と悪性不整脈: 全身の組織灌流量が不足すると同時に心筋虚血が引き起こされ、心室性不整脈や閉塞性ショック(心原性ショック)を誘発します。
  • 特定臓器の壊死と梗塞: 血流遮断にともない、胃の壊死脾臓の重度な梗塞・壊死が併発します。
  • 多臓器不全とDIC: 治療や減圧によって血流が再開した際、再灌流障害による多臓器にわたる組織損傷が発生します。さらに重度のショックからDIC(播種性血管内凝固症候群)へと進行し、虚脱や昏睡を経て急性死に至ります。

股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)

要因・症状

大型犬に見られやすい病気で、生後5カ月~1歳までの骨の発育過程で異常が起こり、股関節の脱臼などを起こしてしまいます。

足を引きずる、散歩中に座り込んでしまう、腰を左右に揺らしながら歩くなどの異変がないか、普段から気にかけてあげてください。

対策・予防
  • 肥満にならないよう注意する
  • 股関節に負担がかからないようフローリングなどの滑りやすい床にはマットやカーペットを敷く

先天性の疾患である場合が多く、100%の予防は難しいですが、早期発見・早期治療が重要なため早めに病院に連れて行ってあげましょう。

獣医師
植田 紗妃

1. 病態(病態生理)

股関節形成不全は、主に成長期における発育性の形成異常が原因で関節に不安定性(緩み)が生じる疾患です。

  • 特徴:成長期に股関節の緩みが生じ、二次性の変形性関節症(OA)へと不可逆的に進行する多遺伝子性の発育性疾患の一つです。大型犬に好発し、両側性が多いです。
  • 進行プロセス: 成長期の関節弛緩・疼痛 (股関節形成不全)→ 一時的な症状軽快 → 成熟後に軟骨変性・骨棘形成・慢性疼痛(変形性関節症)
  • 要因: 多遺伝子性の遺伝的素因をベースに、過剰な栄養、体重増加、成長の不一致(骨と軟部組織の成長スピードのズレ)、生体力学的な負荷、滑りやすい床などの環境要因が複雑に絡み合って発症します。

2.発生した時のリスク

一度発症すると、関節構造の破綻による歩行障害と、それに伴う不可逆的な変化がリスクとなります。

  • 運動機能の低下: 崩れた座位(お姉さん座り)、腰を振って歩く(モンローウォーク)、後肢を揃えて跳ねるように走る(うさぎ跳び歩行/バニーホップ)、起床時のこわばりや跛行が顕著になります。
  • 不可逆的な変形性関節症(OA)への進行: 関節の不安定性が続くと、軟骨分解酵素(MMP、コラゲナーゼなど)の働きで軟骨変性が進み、二次性滑膜炎から骨の増生(骨棘形成)へと病態が不可逆的に進行します。
  • 慢性的な疼痛によるQOL低下: 軟骨下骨の露出や関節包の炎症により持続的な痛みが生じ、運動を嫌がるようになるため、筋肉量の低下や肥満を招き、さらに関節への負担が増すという悪循環に陥るリスクがあります。

3.治療

  • 内科的・保存的療法による予後: 一度変形してしまった関節や軟骨を元の正常な状態に戻すことはできません。しかし、早期にバーデン試験やオルトラニ試験などで緩みを検出し、軽度〜中等度の段階で徹底した体重管理疼痛管理(NSAIDs等)環境改善(滑りにくい床、段差の排除)、適切な運動による筋力維持を行えば、QOLを良好に保ちながら天寿を全うできるケースも数多くあります。
  • 外科的介入による予後: 内科的療法で疼痛がコントロールできない重度の進行例や、若齢期で著しい脱臼が見られる場合は、外科的手術の適応となります。
    【参考文献】
    Schachner ER, Lopez MJ. Diagnosis, et al.(2015).

第3位:アイリッシュ・ウルフハウンド

草原の上で伏せをするアイリッシュウルフハウンド

アイリッシュ・ウルフハウンドは超大型犬に分類され、平均寿命は6~10歳です。10歳でも長い方だとされています。

かかりやすい病気とその要因や対策について説明します。

胃捻転(いねんてん)

要因・症状

大型犬に見られやすく死に至る危険性もある病気で、超大型犬であるアイリッシュ・ウルフハウンドもなりやすい病気です。

食事中や食後に大量の空気を吸ってしまうことで胃が拡張し、ねじれてしまいます。

吐きたくても吐けない、元気・食欲がない、呼吸が乱れる、頻繁によだれを垂らすなどの症状が見られた場合は速やかに病院に連れて行ってあげてください。

対策・予防
  • 早食いをさせない
  • 食事は数回に分けて一気食いさせない
  • 食後すぐに運動をさせない

拡張型心筋症

要因・症状

超大型犬に多い病気で、心筋が薄く伸びてしまうことで血液の循環不順などを起こします

原因は明確になっていませんが、遺伝的な要因や老化により発生すると考えられています。

呼吸困難や咳、食欲や体重の低下、運動量の低下などが見られます。

対策・予防
  • 血液の流れを良くする薬や心臓の薬などの投薬治療を行う

一度発症すると完治することのない疾患のため、対処療法をしながら健康を守っていってあげることが必要です。

獣医師
植田 紗妃

1.病態

心筋の収縮力が著しく低下し、心室(主に左心室または両心室)が薄く拡張していく進行性の一次性心筋疾患です。心臓のポンプ機能が破綻するため、全身に血液をうまく送り出せなくなり、最終的にうっ血性心不全や致死性の悪性不整脈を引き起こします。

2.発症リスク

遺伝的素因が強く、ドーベルマン、グレート・デーン、アイリッシュ・ウルフハウンドなどの大型犬・超大型犬に好発します。また近年、米国食品医薬品局(FDA)の報告により、特定の食餌(豆類やジャガイモを主原料としたグレインフリーフードなど)に起因する非遺伝性のタウリン欠乏性DCMの発症リスクも広く認知されるようになりました。

3.予後や管理

根治術はなく、うっ血性心不全を発症した後の予後は数ヶ月〜1年程度と一般的に不良です。強心薬(ピモベンダン)を無症状期から早期投与することで、心不全の発症を遅らせ、突然死のリスクを減らし生存期間を延長させるという報告があります。
【参考文献】
ACVIM(米国獣医内科学会)

股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)

要因・症状

大型犬に見られやすい病気です。

生後5カ月~1歳までの骨の発育過程で異常が起こり、股関節の脱臼などを起こしてしまいます。

足を引きずる、散歩中に座り込んでしまう、腰を左右に揺らしながら歩くなどの異変がないか、普段から気にかけてあげてください。

対策・予防
  • 肥満にならないよう注意する
  • 股関節に負担がかからないようフローリングなどの滑りやすい床にはマットやカーペットを敷く

早期発見・早期治療が重要なため早めに病院に連れて行ってあげましょう。

第2位:レオンベルガー

後ろを振り向くレオンベルガー

超大型犬であるレオンべルガーの平均寿命は8~9歳くらいです。

かかりやすい病気とその要因や対策について説明します。

胃捻転(いねんてん)

要因・症状

大型犬に見られやすく死に至る危険性もある病気で、超大型犬であるレオンベルガーもなりやすい病気です。

食事中や食後に大量の空気を吸ってしまうことで胃が拡張し、ねじれてしまいます。

吐きたくても吐けない、元気・食欲がない、呼吸が乱れる、頻繁によだれを垂らすなどの症状が見られた場合は速やかに病院に連れて行ってあげてください。

対策・予防
  • 早食いをさせない
  • 食事は数回に分けて一気食いさせない
  • 食後すぐに運動をさせない

股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)

要因・症状

大型犬に見られやすい病気です。

生後5カ月~1歳までの骨の発育過程で異常が起こり、股関節の脱臼などを起こしてしまいます。

足を引きずる、散歩中に座り込んでしまう、腰を左右に揺らしながら歩くなどの異変がないか、普段から気にかけてあげてください。

対策・予防
  • 肥満にならないよう注意する
  • 股関節に負担がかからないようフローリングなどの滑りやすい床にはマットやカーペットを敷く

早期発見・早期治療が重要なため早めに病院に連れて行ってあげましょう。

第1位:グレート・デーン

寒々しい木々の前に佇むグレートデーン

超大型犬のグレート・デーンは最も寿命が短い犬ともいわれており、6~8歳程度が平均寿命です。

かかりやすい病気とその要因や対策について説明します。

胃捻転(いねんてん)

要因・症状

大型犬に見られやすく死に至る危険性もある病気で、超大型犬であるグレート・デーンもなりやすい病気です。

食事中や食後に大量の空気を吸ってしまうことで胃が拡張し、ねじれてしまいます。

吐きたくても吐けない、元気・食欲がない、呼吸が乱れる、頻繁によだれを垂らすなどの症状が見られた場合は速やかに病院に連れて行ってあげてください。

対策・予防
  • 早食いをさせない
  • 食事は数回に分けて一気食いさせない
  • 食後すぐに運動をさせない

拡張型心筋症

要因・症状

超大型犬に多い病気で、心筋が薄く伸びてしまうことで血液の循環不順などを起こします。

原因は明確になっていませんが、遺伝的な要因や老化により発生すると考えられています。

呼吸困難や咳、食欲や体重の低下、運動量の低下などが見られます。

対策・予防
  • 血液の流れを良くする薬や心臓の薬などの投薬治療を行う

一度発症すると完治することのない疾患のため、対処療法をしながら健康を守っていってあげることが必要です。

骨肉腫

要因・症状

犬種問わず発症する病気ではありますが、特に大型犬・超大型犬に多いとされています。

明確な原因は不明ですが、体重の重さからくる骨へのダメージが要因になるとも考えられています。

足が腫れる、歩くのを嫌がる、硬いしこりができるなどの症状があります。

対策・予防
  • フローリングなどの滑りやすい床にはマットやカーペットを敷く
  • 定期的な健診で早期発見に努める

レントゲン検査やCT検査などで骨肉腫が発見されたら、手術や抗がん剤で治療をするのが一般的です。

獣医師
植田 紗妃

1.病態

犬の原発性骨腫瘍の約80〜85%を占める、極めて悪性度の高い腫瘍です。最大の生物学的特徴は極めて早期から微小転移を起こす点にあり、初診時のX線検査で肺転移が確認されなくても、90%以上の症例ですでに肺などへの微小転移が存在していると考えられています。

2.発症リスク

体重と体格が強く相関しており、グレートデン、アイリッシュウルフハウンド、ロットワイラーなどの大型犬〜超大型犬に好発します。年齢分布は二峰性を示し、7〜10歳の中・高齢期に大きなピークがありますが、1〜2歳の若齢期にも小さなピークが見られます。 発生部位の約75%は「肘から遠く、膝に近い」部位に多いという法則が知られています(つまり肩と手首と膝)。

3.治療と予後

すでに微小転移が存在する前提となるため、ゴールドスタンダードは「患肢の断脚術 + 術後の補助的化学療法(カルボプラチンやドキソルビシンなど)」の組み合わせです。断脚術単独の場合、生存期間中央値(MST)は約4〜5ヶ月(ほとんどが転移病変の進行により死亡)ですが、補助的化学療法を併用することでMSTは約10〜12ヶ月へ延長が期待されます。
【参考文献】
Spodnick GJ, Berg J, Rand WM, et al.

短命な犬種でも長生きしてもらうためにできること

聴診器を当てられているゴールデンレトリバー

短命な傾向のあるワンちゃんでも、大切な家族には少しでも長生きしてほしいですよね。

気を付けてあげるべきポイントを押さえておけば、病気の予防や長生きのサポートになりますよ。

食事管理

肥満や痩せすぎを防ぎ、体へ負担をかけないよう、犬種や年齢、運動量に合ったフードをあげることが重要です。

おやつの与えすぎに注意し、味の濃い人間の食べ物をあげたりするのはやめましょう。

また食事後には歯磨きをするようにしてあげてください

ストレスをためさせない、スキンシップをとる

ワンちゃんも人間と同じように、ストレスがたまると免疫力が低下し、精神面にも健康面にも良くありません

適切な運動量を確保する、不安や緊張を感じる場面をなるべく避ける、気温や環境を適切にする、空腹や睡眠不足を感じさせないようにするなど、日常的な心がけが大切です。

スキンシップはワンちゃんのストレス解消につながるだけでなく、触れ合う中でワンちゃんの小さな異変にも気付くことができ、病気の早期発見につながることもあります。

生活環境を整える

滑りにくい床やカーペットにする、段差を無くす、スロープを設置するなど、ワンちゃんの年齢や状況に合わせた快適な環境作りをしてあげましょう。

余計な病気やケガを防ぎ、長生きにつながります。

定期的な健康診断を受ける

日頃から小さな変化でも気づいてあげることも大切ですが、それよりも前に病気を発見できる健康診断を受けることも不可欠です。

外見からではわからない病気の早期発見や予防につながります。

若いうちは年に1回、シニア期に入ってからは年に2回受けると安心です。

かかりつけの動物病院やセカンドオピニオンがもらえる病院、万が一の時の救急病院を事前に押さえておくのが良いでしょう。

ワン!ポイント セカンドオピニオンとは

かかりつけの動物病院(獣医師)の診断や治療法について、別の獣医師の意見を求めることです。

数多くの視点から見た方が診断の精度が上がり、治療の選択肢が広がる可能性もあります。

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ワクチン接種や去勢・避妊手術

接種が義務化されている狂犬病ワクチンだけでなく、混合ワクチンの接種によって感染症などの病気の予防ができます。

もし発症した際にも重症化を防ぎます。

ワクチンにはリスクが生じる可能性もあるため、獣医師とよく相談してから判断しましょう。

また、去勢や避妊手術によって予防できる病気もあります。

例えば、去勢手術であれば精巣腫瘍や前立腺肥大、避妊手術であれば乳腺腫瘍や子宮蓄膿症を予防できます

発情のストレスを感じなくなるため、妊娠や出産を望まない場合であればおすすめです。

獣医師
植田 紗妃

感染すると致死率が極めて高い感染症から個体を守るのが目的です。同時に、社会全体で高いワクチン接種率を維持し「集団免疫」を形成することで、ウイルスの蔓延を防ぐという公衆衛生上の重要な意義があります。

ワクチン接種後に生じる副反応の発生率は、約0.63%(1万頭に約63頭)
【症状別の発生確率】
皮膚症状(ムーンフェイス・顔面腫脹・蕁麻疹など):約0.43%(1万頭に約43頭)。接種後2〜6時間ほど経過してから、顔がパンパンに腫れたり、目や口の周りに強い痒みが出たりするアレルギー反応で、副反応の中では最も多く見られます。
消化器症状(嘔吐・下痢など):約0.28%(1万頭に約28頭)。一過性の嘔吐や軟便を引き起こすことがあります。
アナフィラキシーショック:約0.07%(1万頭に約7頭)。接種後数分〜30分以内に発生する極めて重篤なアレルギー反応です。呼吸困難、血圧低下、虚脱、粘膜の蒼白などを引き起こし、即座に救命処置が必要です。
死亡事例:約0.002%(1万頭に約0.2頭)。極めて稀ですが、重篤なショック状態などから死に至る事例も報告されています。
※重篤な副反応(アナフィラキシーなど)は接種直後〜30分以内に起こりやすく、ムーンフェイスなどは帰宅後に遅れて発現します。そのため、万が一の体調変化にすぐに対応できるよう、ワクチン接種は午前中に済ませ、その日は安静にして様子を観察することが推奨されています。

獣医師
植田 紗妃

メスの避妊手術による乳腺腫瘍予防に関しては、
 •初回発情前: 乳腺腫瘍の発生リスクを0.5%(99.5%予防)に抑える。
 •1回目と2回目の発情の間: 発生リスクは8%(92%予防)。
 •2回目と3回目の発情の間: 発生リスクは26%(74%予防)。
 ※2.5歳以降、または3回目の発情以降に手術を行っても、乳腺腫瘍の予防効果はほぼ得られません。

オスの場合、精巣を摘出するため精巣腫瘍は100%予防でき、前立腺肥大症や会陰ヘルニアの発生リスクも低下します。

【参考文献】
Schneider et al., 1969

まとめ

寿命が短い犬種やその要因、対策などを紹介しました。

平均寿命が短い傾向にあるワンちゃんでも、以下の点を日頃から気にかけてあげることで、一緒にいる時間を少しでも延ばせる可能性がグッと高くなります。

  • 適切な食事管理をすること
  • ストレスをためない、スキンシップをとる
  • 快適な生活環境を整える
  • 定期的な健康診断を受ける
  • ワクチン接種や去勢・避妊手術を行う
ボールを追いかけて走っている茶色い犬

大切なワンちゃんが元気に過ごせるよう、ぜひ参考にしてみてくださいね。

この記事の監修者

植田 紗妃 (獣医師)

東京都出身。幼稚園〜高校まで日本女子大学附属学校で過ごし、日本大学獣医学科に入学。大学時代は放射線学研究室にて放射線治療や抗がん剤治療を専攻。大学5年生でPURINAフードスペシャリスト取得。卒業後東京都の一次動物病院にて犬猫の診療に従事。獣医総合臨床認定医を目指して経験を積む。

犬と私
もともとインドアだったが、お散歩することの楽しさを知れた。ただ歩いているだけでニコニコしてくれるワンちゃんを見ていると心から幸せを感じる。あの屈託のない笑顔と何も疑いもしない無垢な姿を見て、人間の汚い部分が恥ずかしくなり、常に気持ちが引き締まる。癒しだけではなく、生き方も教えてくれる存在。大切にしなければならない存在。守らなければならない存在。

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資格
獣医師

この記事を書いた人

田代夏海

神奈川県生まれ。趣味は読書、音楽、旅、映画、美術館、動物園、植物、
散歩、写真など。好きなことをしているときの自分と時間が好き。
第49期 宣伝会議 編集・ライター講座修了。
一番好きな犬種はミニチュアシュナウザー。犬と名前の付く生き物は何でも好き。5歳から一緒に育った愛犬の、肉球から香るボーロのような匂いを今でもときどき思い出します。

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