
ある晴れた日、散歩をしていると前から大きな生き物と歩いてくるお洒落なマダムがいました。
あれはまさか子馬!?
と目を凝らしてみていると、なんと大きな犬だったのです!
犬の種類は白地に黒い斑点が特徴の「グレート・デーン」。
めったにお目にかかれない大きな犬の姿に、周囲の目が一気にその子に集まりました。
大きいわね~
見て、見て、あのワンちゃんの歩く姿!
大きな足で前に進む姿は悠々としていて、そのしなやかな筋肉の動きに思わず見惚れてしまうものでした。
皆さんは大きな犬を目の前で見たことはありますか?
様々な種類の大型犬はいますが、ただ大きいだけではない、大型犬を超えた超大型犬も実は存在します。
ここでは、そんな驚きと魅力がいっぱいある「大きな犬たち」をご紹介します!
この記事を書いた人
「大型犬」の定義とは?大きな犬の種類と特徴
犬の大きさの定義とは?
世界には700〜800種類もの犬種が存在する(JKC等に登録されていない、非公認な犬種を含めています)といわれています[1]。
国際畜犬連盟(FCI)に公認された犬種は359犬種で、そのうちジャパンケネルクラブ(JKC)に登録されている犬種の数は、2024年12月時点で209種です。
大型犬が正確に何種類いるかは明らかにされていません。
一般的には標準体重が25㎏以上の犬が大型犬とされていますが、実は正式な基準は決まっていないのです。
一般的な分類として、小型犬は10㎏未満、中型犬は25㎏未満、大型犬は25㎏以上とされています(すべて成犬体重)。
柴犬は分類上、小型犬か中型犬かが特にあいまいな犬種です。
「日本犬保存協会」が定める日本犬標準では「小型」、一般的な大きさでは「中型」とされているからです。
[1]ジャパンケネルクラブ「犬種を調べる」
大型犬といわれる犬種と特徴
大型犬が何種類いるか明らかではなく、基準も定かではありませんが、ここでは一般的によく知られている代表的な大型犬10種類をご紹介し、その特徴についてみていきます。
ゴールデン・レトリーバー(GOLDEN RETRIEVER)

ご近所など外を歩いていると、時々見かけることがあるのではないでしょうか?
賢く、穏やかな性格と人懐っこさから家庭犬として長く愛されてきました。
ゴールデン・レトリーバーの歴史は不明とされていますが、スコットランドのトゥイードマウス卿が1865年に購入した「ウェービー・コーテッド・レトリーバー」から生まれた黄色い仔犬が始祖ではないかといわれています。
1913年以降に「イエロー・レトリーバー」や「ゴールデン・レトリーバー」と呼ばれていましたが、1920年には「ゴールデン・レトリーバー」の犬種名に統一されました。
項目 | 説明 |
---|---|
原産国 | イギリス |
役割 | 鳥猟犬 |
サイズ | 大型犬 |
体重 | オス:約29.5~34㎏ メス:約24.5~29.5㎏ |
体高 | オス:約56~61㎝ メス:51~56㎝ |
毛質・毛色 | ダブルコート・クリーム色とゴールド色に分かれる。 |
ジャパンケネルクラブ「ゴールデン・レトリーバー」より著者制作
ラブラドール・レトリーバー(LABRADOR RETRIEVER)

ゴールデン・レトリーバーと並びラブラドール・レトリーバーも家庭犬として根強い人気があります。
特に知られているのは「盲導犬」として活躍していることでしょうか。
穏やかで優しい性格であり、知性と順応する力を持っています。
愛情深く人懐っこいところが多くの人に愛される理由なのかもしれません。
ラブラドール・レトリーバーはニューファンドランド沿岸で生まれたと考えられています。
この地域の漁師が魚を回収するために、ラブラドール・レトリーバーに似た犬を使用していたと言われています。
項目 | 説明 |
---|---|
原産国 | イギリス |
役割 | 鳥猟犬 |
サイズ | 大型犬 |
体重 | オス:約29.5~34㎏ メス:約24.5~29.5㎏ |
体高 | オス:約56~57㎝ メス:54~56㎝ |
毛質・毛色 | ダブルコート・イエロー色、チョコレート色、ブラック色に分かれる。 |
ジャパンケネルクラブ「ラブラドール・レトリーバー」より著者制作
シベリアン・ハスキー(SIBERIAN HUSKY)

鋭い眼光と凛々しい顔の模様が特徴です。
日本では昭和から平成にかけて発表されたマンガ『動物のお医者さん』のキャラクターとして登場したことから、人気の犬種となりました。
『動物のお医者さん』(どうぶつのおいしゃさん)は、1987年から1993年にかけて白泉社『花とゆめ』に連載された人気少女漫画です。作者は佐々木倫子氏。
全119話からなり、獣医師を目指す学生とハスキー犬「チョビ」の日常をコミカルに描いた作品です。
この漫画をきっかけにハスキーが人気となりました。2003年にはドラマ化しました。
[2]小学館「動物のお医者さん」
とても友好的で従順、利口ですが用心深い性格でもあります
。責任感も強く社会性もあることから、橇犬(そりいぬ)として活躍してきました。
アラスカン・マラミュートやサモエドと近親関係にあり、スピッツ族に属する犬種です。
古い犬種と考えられていますが、詳細は不明です。
犬種名の「ハスキー」は、遠吠えをする声がしわがれていることから命名されました。
項目 | 説明 |
---|---|
原産国 | アメリカ合衆国 |
役割 | 橇犬(そりいぬ) |
サイズ | 大型犬 |
体重 | オス:約20.5~28㎏ メス:約15.5~23㎏ |
体高 | オス:約53.5~60㎝ メス:50.5~56㎝ |
毛質・毛色 | ダブルコート・グレー&ホワイト、シルバー&ホワイト、 ブラック&ホワイト、ホワイト、レッド&ホワイト |
ジャパンケネルクラブ「シベリアン・ハスキー」より著者制作
北極圏などの極寒の地で橇(そり)を引く犬を「橇犬」と呼びます。古くから人間のために働いてきました。
今から数年前にデンマークのコペンハーゲン大学の研究者チームが、DNAの分析結果から、現代の橇犬の起源が9,500年前に遡ると発表しました。以前の研究では、9,500年前は古代犬のような犬だと考えられていました。(古代犬は初期の飼いならされた犬であり、全ての犬の共通の起源)
しかし、この研究で、9,500年前の橇犬はシベリアンハスキー、アラスカンマラミュート、グリーンランドスレッドドッグとゲノムの大部分が共通していることがわかったのです。
ジャーマン・シェパード・ドッグ(GERMAN SHEPHERD DOG)

ジャーマン・シェパードといえば「警察犬」のイメージが強いでしょう。
どう猛そうな顔で、腰がやや下がった体型です。
知的で精神的能力が非常に高く、服従心が強く、辛抱強い性格です。
また、責任感の強さから家族を守ろうとする愛情深さも持ち合わせた素晴らしい犬種です。
嗅覚に優れたジャーマン・シェパードは、救助活動や捜索、警察や軍事活動など幅広い場面で活躍しています。
項目 | 説明 |
---|---|
原産国 | ドイツ |
役割 | ユーティリティ・ドッグ、ハーディングドッグ、ガード・ドッグ、その他使役犬(※) |
サイズ | 大型犬 |
体重 | オス:約30~40㎏ メス:約22~32㎏ |
体高 | オス:約60~65㎝ メス:55~60㎝ |
毛質・毛色 | ダブルコート・ブラック地にブラウン、イエロー明るいグレーが入っているものもいる。 |
ジャパンケネルクラブ「ジャーマン・シェパード・ドッグ」より著者制作
警察犬、麻薬探知犬、災害救助犬、盲導犬など、様々な分野で活躍し訓練された犬。
羊や牛などの家畜がはぐれないように誘導し、群れに戻す役割を持つ。
ハーディングと反対に、羊などの家畜の群の見張りや外敵を防ぐ大型犬に多い。主に外敵の侵入を防ぐ守衛として、番犬ともいわれる。
バーニーズ・マウンテン・ドッグ(BERNESE MOUNTAIN DOG)

黒・茶・白の3色の被毛が特徴で、茶色のマロ眉が可愛らしい顔で有名なのかもしれません。
いかにも山岳犬のようながっしりとした体格に、豊かな長毛、艶やかな黒い毛が魅力的です。
起源の古いファームドッグ(農場で飼われている犬)で、ガード・ドッグや牽引犬として、山岳地帯などで牛追いにも使用されていたそうです。
性格は怖いもの知らずで、人には穏やかで従順なところがあります。
スイス原産の「キャトルドッグ(4種類の犬種)の1つといわれており、このキャトルドッグには「グレータースイスマウンテンドッグ、バーニーズマウンテンドッグ、アペンツェラーキャトルドッグ、エントレブッハーキャトルドッグ」がいます。
荷車引きをしたり、牛を誘導するといった作業が得意な犬として今でも多くの人に愛される犬種です。
項目 | 説明 |
---|---|
原産国 | スイス |
役割 | ガード・ドッグ、牽引犬(※) |
サイズ | 大型犬 |
体重 | オス:約41~54㎏ メス:約32~45㎏ |
体高 | オス:約64~70㎝ メス:58~66㎝ |
毛質・毛色 | 3色のトライカラーが特徴的。胴体はジェットブラック(漆黒)を基調とし、四肢と胸にリッチ・タン(濃黄褐色)の斑、その他に白斑がみられる。 |
ジャパンケネルクラブ「バーニーズ・マウンテン・ドッグ」より著者制作
主に人や荷物を引いて働くように訓練された犬。
グレート・ピレニーズ(GREAT PYRENEES)

まるで白熊のような大きくて白くてフワフワした姿は、見たらきっと抱き着きたくなるでしょう。

ぼくのことっすね~!
スペインとフランスに連なるピレネー山脈。この山地に昔から生息し、中世には城の番犬になっていたという史実が14世紀の本に記載されているとのこと。
フランスの太陽王ルイ14世にも飼育されていました。
項目 | 説明 |
---|---|
原産国 | フランス |
役割 | 山地での家畜の群れの警護などの使役犬 |
サイズ | 大型犬 |
体重 | オス:約45~73㎏ メス:約39~52㎏ |
体高 | オス:約70~80㎝ メス:65~75㎝ |
毛質・毛色 | 白色またはグレー(アナグマの毛色)、薄いイエロー、ウルフカラー、オレンジ色斑が頭、耳、尾の付け根にある白色。 真っ白のイメージがあるが、実はグレー(アナグマ色)の斑点があると好ましいとされている。 |
ジャパンケネルクラブ「グレート・ピレニーズ」より著者制作
ニューファンドランド(NEWFOUNDLAND)

なかなかお目にかかれない大型犬ですが、見た目は筋肉質で大きくまるで黒い熊のような姿です。
カナダの大西洋側に位置するニューファンドランド島が起源で、イギリスやフランスなどの漁師がニューファンドランド島に漁に出た際に連れて来られたと考えられています。
イギリスで、ニューファンドランドの本質的な特徴を残しつつ、レトリーバーやピレニーズと交配することで改良されました。
現在は北欧を中心に世界各地で親しまれる大型犬です。性格はとても優しいそうです。
項目 | 説明 |
---|---|
原産国 | カナダ |
役割 | 重荷用の橇犬(そりいぬ)や水難救助犬 |
サイズ | 大型犬 |
体重 | オス:約68㎏ メス:約54㎏ (どちらも平均) |
体高 | オス:約71㎝ メス:66㎝ (どちらも平均) |
毛質・毛色 | ダブルコート・ブラック、ブラック&ホワイト、ブラウン(チョコレート色、ブロンズ色) |
ジャパンケネルクラブ「ニューファンドランド」より著者制作
ボルゾイ(BORZOI)

ボルゾイを間近で見たことはありますか?
横幅がそれほど大きくない細い身体、顔、ウェーブのかかった毛はまるで貴族のような姿です。
ロシア原産の犬種ですが、祖先は中東や中央アジアにいたサイトハウンドです。
17世紀にサイトハウンドと、ロシアに昔からいたベアハウンド、ロシアンシープドッグと交配させ、大型化していったそうです。
ロシアの王侯貴族にはオオカミ狩りの猟犬として関わっていました。走ると非常に足が速い犬種です。
項目 | 説明 |
---|---|
原産国 | ロシア |
役割 | 猟犬、レーシング・ハウンド(野ウサギやキツネ)、コーシング・ハウンド |
サイズ | 大型犬 |
体重 | オス:約38~48㎏ メス:約35~45㎏ |
体高 | オス:約75~85㎝ メス:68~78㎝ |
毛質・毛色 | ダブルコートで尻尾にフェザリングという羽毛のような飾り毛がある。 毛色の種類が豊富で、白、ブラック、レッド、グレー、ブリンドル、フォーン系、タン(黄褐色)、パイド(白地に一色または二色の斑点がある) |
ジャパンケネルクラブ「ボルゾイ」より著者制作
セントバーナード(ST. BERNARD)

日本でセントバーナードという犬種を一躍有名にしたのはアニメ『アルプスの少女ハイジ』だったのかもしれません。
いつも穏やかでのんびりとした姿の印象の通り、とてもおっとりとした性格です。
もちろん人懐っこさもあり快活で、警戒心も持ち合わせています。
若干表情がわかりにくいので、のんびりとしているのか警戒しているのか判断に困るかもしれません。
ちなみにセントバーナードは首に小さな樽を付けている姿をイメージする方もいるかもしれません。
実はこの樽にはアルコール度数の高いお酒が入っていて、山で遭難した人に飲ませて体温をあげていたということです。
寒さに強く、体力のあるセントバーナードに救われた人は多くいたそうです。
項目 | 説明 |
---|---|
原産国 | スイス |
役割 | 護衛犬、ファーム・ドッグ |
サイズ | 超大型犬 |
体重 | オス:約63.5~81.6㎏ メス:約54.4~63.5㎏ |
体高 | オス:約70~90㎝ メス:65~80㎝ |
毛質・毛色 | 地色はホワイト、赤みがかったブラウン班やブランケット模様、顔はダークシェード(黒影) |
ジャパンケネルクラブ「セント・バーナード」より著者制作
【ダブルコート】外側に生えているオーバーコートと、内側にあるアンダーコートの 2層構造の被毛のこと。
【ブリンドル】:虎毛のこと。基本の地毛に黒や茶色、タン、ゴールドなどの毛色が虎 の縞模様にように入っています
【フォーン】:英語で「子鹿」の意味で、子鹿のような黄色の毛色が由来です
【レディッシュ・ブラウン】:赤みがかった茶色のこと
【ハールクイン】:グレート・デーンのみに見られる毛柄です。明るい色の毛の上に、ブラックなどの斑点が出る「スポット」に似ていますが、不明瞭で大きい斑点が出るのがこの毛色の特徴です
世界一大きい犬ランキング!
ここまで10種の大型犬をみてきましたが、この大型犬を上回る超大型犬の登場です!
世界にはどんな超大型の犬がいるのでしょうか。見たことがない、聞いたことがない犬種も出てくるかもしれませんが、ここでぜひ知ってくださいね!
ただ大型犬ってだけじゃない!世界一大きい超大型犬ランキングTOP6
アイリッシュ・ウルフハウンド(IRISH WOLFHOUND)

仔犬の時には既に50㎏の体重があるというアイリッシュ・ウルフハウンド。日本ではなかなかお目にかかることがありませんが、ヨーロッパでは人気の犬種です。
項目 | 説明 |
---|---|
原産国 | アイルランド |
役割 | 護衛犬、ファーム・ドッグ |
サイズ | 超大型犬 |
体重 | オス:約63.5~81.6㎏ メス:約54.4~63.5㎏ |
体高 | オス:約70~90㎝ メス:65~80㎝ |
毛質・毛色 | 地色はホワイト、赤みがかったブラウン班やブランケット模様、顔はダークシェード(黒影) |
ジャパンケネルクラブ「アイリッシュ・ウルフハウンド」より著者制作
イングリッシュマスティフ(MASTIFF)

イングリッシュマスティフはマスティフ種の一種で、その代表的なものとされています。そのため、英語名で単に「マスティフ」と呼ばれることがあるようです。
強そうな見た目から想像できる通り、かつては番犬や闘犬として活躍していました。現在は家庭犬として育てやすいように成長し、落ち着いた性格へと変化しました。
項目 | 説明 |
---|---|
原産国 | イギリス |
役割 | 番犬、家庭犬 |
サイズ | 超大型犬 |
体重 | オス:約75㎏以上 メス:約75㎏以上 |
体高 | オス:約75㎝以上 メス:68㎝以上 |
毛質・毛色 | アプリコット・フォーン、シルバー・フォーン、フォーン、ダークフォーン・ブリンドル。 マズルや耳、鼻、目の周りはブラックで、被毛は短い。 |
ジャパンケネルクラブ「マスティフ」より著者制作
スコティッシュ・ディアハウンド(DEERHOUND)

スコットランドのハイランド地方に昔からいた犬種とされています。
大きな体格で、大型獣のハンティングに使われました。
一方で古来より王侯貴族に愛された犬種で、10〜14世紀には、伯爵以上の身分でなければ飼育できず、庶民には縁の遠い犬種でもありました。
一時期は絶滅の恐れがありましたが、ドッグショーでチャンピオン犬が出たことから、人気が回復しています。
項目 | 説明 |
---|---|
原産国 | イギリス |
役割 | レーシング・ドッグ、ハンティング・ドッグ、コンパニオン |
サイズ | 超大型犬 |
体重 | オス:約45.5㎏ メス:約36.5㎏ |
体高 | オス:理想体重の下限76㎝ メス:理想体重の下限71㎝ |
毛質・毛色 | ダーク・ブルー・グレー、様々な色調のグレー、ブリンドル、イエロー、サンディー・レッド、レッド・フォーンでブラックポイントのあるもの |
ジャパンケネルクラブ「ディアハウンド」より著者制作
レオンベルガー(LEONBERGER)

その姿と名前からわかるように、レオンベルガーは「ライオンのような犬」を目指して交配されて誕生した犬種です。
ニューファンドランド、セント・バーナード、グレート・ピレニーズは先祖とされ、心優しく、飼い主に忠実で賢い犬種です。
項目 | 説明 |
---|---|
原産国 | ドイツ |
役割 | 番犬、伴侶犬、家庭犬 |
サイズ | 超大型犬 |
体重 | オス:約60~70㎏ メス:約50~60㎏ |
体高 | オス:約65~75㎝ メス:約60~68㎝ |
毛質・毛色 | ライオン・イエロー、レッド、レディッシュ・ブラウン、サンド、顔はブラック |
ジャパンケネルクラブ「レオンベルガー」より著者制作
ナポリタンマスティフ(NEAPOLITAN MASTIFF)

体つきは重厚感があり、全身の皮膚にしわがある特徴的な姿をしています。
黙っていると怖そうに見えますが、実は温厚で優しい犬種です。
運動はあまり好きではないようですが、朝夕の散歩はきちんと行い身体のケアを行いましょう。しつけもちゃんとすれば、きっと良き家庭犬になります。
項目 | 説明 |
---|---|
原産国 | イタリア |
役割 | 護衛犬 |
サイズ | 超大型犬 |
体重 | オス:約60~70㎏ メス:約50~60㎏ |
体高 | オス:約65~75㎝ メス:約60~68㎝ |
毛質・毛色 | グレー、鉛のようなグレー、ブラック、ブラウン、フォーン、ディープ・フォーン |
ジャパンケネルクラブ「ナポリタン・マスティフ」より著者制作
グレート・デーン(GREAT DANE)

多くの犬の中でも最も体高があり、たくましい体です。外見と異なり、非常に温厚で優しい性格を持ち、「優しい巨人」「犬の中のアポロン神」とも呼ばれます。
大きな体のため、温厚な性格であってもしつけはきちんと行い、散歩中に他の犬と遊んでいるつもりでも思わぬことが事故に繋がってしまいますので、注意しましょう。
項目 | 説明 |
---|---|
原産国 | ドイツ |
役割 | コンパニオン、番犬、警備犬 |
サイズ | 超大型犬 |
体重 | オス:約54㎏以上 メス:45㎏以上 |
体高 | オス:80㎝以上、90㎝以下 メス:72㎝以上、84㎝以下 |
毛質・毛色 | フォーン&ブリンドル、ハールクイン&ブラック、ブルーの3種類ある。 |
ジャパンケネルクラブ「グレート・デーン」より著者制作
世界一体重が重い犬種TOP3
ここまで、大型犬と超大型犬をご紹介しました。
では、最も体重が重い犬種はどれでしょうか?既にご紹介した犬種で比べてみると以下のようになります。
なおこれらのデータはオスの最高体重で比較し、あくまで記載のデータで比較しています。

1位
写真 | 犬種 | 体重 |
---|---|---|
![]() | アイリッシュ・ウルフハウンド | 約81.6㎏ |
![]() | セントバーナード | 約81.6㎏ |
2位
![]() | レオンベルガー | 約70㎏ |
![]() | ナポリタンマスティフ | 約70㎏ |
3位
![]() | ニューファンドランド | 約68㎏ |
意外にも、皆さんもよく知る犬種、セントバーナードが1位に入っていましたね。
体重が重い犬種TOP3をご紹介しましたが、実のところギネス記録に残る「世界一重たい犬」がいるのをご存知ですか?
ギネス記録に載ったのは、オールドイングリッシュマスティフのゾルバ君なのです。
ゾルバ君の体重は、なんと156.5㎏!

wooftalk「The Famous Giant Zorba」より転載
しかも、このゾルバ君は鼻の先端から尻尾の先端までの長さが2.544mもあるということで、「世界最長の犬」の記録も持っています。
ゾルバ君の記録は1987年に測定され、以来、この記録は破られていません。
近年は、ギネス記録狙いでペットに無謀に給餌することを避けるため、最も重い動物は記載されなくなりました。
世界に認められた“本当に”世界一大きい犬はこの子!
世界の大型犬、超大型犬、そして最も重い犬種をご紹介しました。
「大きい犬」を目の前にしたならば、私たちはきっとその見た目の大きさに圧倒され、インパクトある姿は私たちを驚かせます。
犬種の特徴はあるとはいえ、個々の性質や個性があります。
そうなれば、きっと世界には犬種の枠を超えて、大きいと認められた記録を持つ子がいるだろう・・・。
確かに記録を持つ子がいました!ご紹介しましょう。
グレート・デーンの『ゼウス君』
アメリカテキサス州ベッドフォードに住むグレート・デーンのゼウス君は、「世界一背の高い犬」としてギネス世界記録に登録されました。
2011年10月4日に体高1.118メートル(44インチ)を記録したことで、世界一大きい犬となったそうです。

YouTube「グレートデーンのゼウスくんが最も背の高い犬に認定|ギネス世界記録」より転載
ゼウス君の飼い主ブリタニー・デイビスさんは、ゼウスという名前のグレート・デーンを飼うことを長年夢見ていたといいます。
生後8週間の時に、兄からグレート・デーンの子犬をもらい大喜びしました。ブリタニー―さんはインタビューを受けた際にこう答えています。
「子犬の頃から彼は大きな犬でした。足もとても大きかったんです。」
ゼウス君は毎日ドッグフードを12カップも食べていたそうです。ただし一番のお気に入りは氷だったとか …。
ゼウス君は2014年に亡くなりましたが、現在も世界一大きい犬として記録されています 。
グレート・デーンの体高の平均は、オスが80㎝以上、90㎝以下、メスが72㎝以上、84㎝以下とされていますので、ゼウス君がかなり大きかったことがわかります。
大型犬・超大型犬の飼育ポイント

飼育で気を付けること
住環境
小型犬や中型犬と違う点は、当然ながらその体の大きさです。
大きいということは、それだけ暮らす環境も大きさにあった広いスペースが必要になります。
広くてのびのびできることはもちろん、犬にも落ち着くことができて安心できる「場所」が欲しいのです。
お気に入りの犬の体に合ったベッドを置いてあげる、またはケージを置いて遮光をしたり、来客と視線が合わないようにしてあげる工夫があるといいですね。
さらに、床がフローリング材の場合、大型犬は足腰の負担が心配です。
カーペットを敷く、現在はブロック型になった必要な箇所に敷けるマットもありますので、そのようなものを利用して足腰への負担の軽減をしてあげましょう。
滑り止めがきちんと付いているものを選んでください。
トイレ
更に、トイレも家の中に置いてあげましょう。
天候の悪い日、老犬になってからのトイレ介助を考えると、若いうちから犬が家の中でもできるようになっていることが望ましいものです。
特に大型犬となると25㎏以上と重さもあり、老犬になってからの介助は困難も極めます。
運動
1日に朝夕の2回が基本となりますが、十分な散歩や運動が必要になります。
大型犬ともなると、1回に約1時間の運動量が欲しいところですが、例えば犬種によってはもともと運動好き、遊び好きなどの性質を持つ子もいますので、そのような犬種の場合には1回に2時間ほどの運動が必要になる場合があります。
食事と食費
食事
食事の量は愛犬の健康を考えた内容で、年齢に合ったものを選びましょう。
特に健康をサポートするものとして、良質なタンパク質が主原料のものを選んでください。
犬は動物性タンパク質の吸収を得意とする体のため、肉や魚から摂取するのがおすすめです。
しかし、大事なタンパク質ではあるものの、高タンパクなフードは要注意です。
リンの過剰摂取により腎臓に負担をかけてしまいます。
リンの含有量が調整されているかどうかを確認し、不安な時にはかかりつけの獣医に相談してみましょう。
大型犬は、小型・中型犬と比較すると1日あたりの消費カロリーが少ない傾向にあります。
脂質の摂りすぎで肥満になりがちですので、低脂肪かつカロリー控えめが良いでしょう。
肥満になると関節や骨の疾患にかかるリスクが高まりますので注意してください。
また、不要な添加物が多く入っているフードもあります。
見た目や味を良くするために着色料や甘味料などの添加物が含まれていることがありますが、消化の際に内臓に負担をかけるリスクがあります。
パッケージを見て不要な添加物が入っていないか確認をしましょう。
食費
犬を飼っているとどうしても色々と費用はかかってしまうものです。
その中でも「フード」「おやつ」は日々必要なものです。
犬の食費について調査した結果がありますので、一例としてご紹介いたしましょう。
調査の結果、犬の食費の月平均は全種平均で7,807円でした。
食費としては、ドッグフードなどの主食代とおやつ代を合計しています。
犬の大きさ別に比較すると、小型犬が6,107円、中型犬が7,119円、大型犬が10,195円で、大型犬の食費が突出していることがわかりました。
調査対象 | 犬を飼っている1,409人(小型犬500人、中型犬500人、大型犬409人) |
調査地域 | 全国 |
調査期間 | 2023年6月19日~7月18日 |
調査主体 | 株式会社モデル百貨 |
調査委託先 | アイブリッジ株式会社 |
株式会社モデル百貨「犬の食費について飼い主1,409人に調査した結果を公開!」より転載
大型犬は、小型・中型犬より体も大きく、食べる量もそれだけ多くなります。
月に1万以上はかかると考えて、費用面もきちんと考えた飼育をしましょう。
運動量としつけ
運動量
大型犬は、力強くしっかりとした体格を持っています。
飼い主さんが一緒に散歩や運動をする際には、力の強さや運動能力を考慮する必要があります。
大型犬の犬種の中には、もともと狩猟犬や牧羊犬といった役割を持った子たちもいます。
だからこそ、たくさんの運動を必要とする体になっているのです。
また、適切な運動を行うとストレスの軽減や健康維持にも役立ちます。
犬種や年齢、個々の違いは多少ありますが、大型犬は1日2回、1~2時間程度の散歩が必要です。
散歩では走ることよりも、時間をかけてゆっくりと長い距離を歩くことを意識してみてください。
走らせすぎは、体の大きな犬にとって足腰への負荷がかかり、さまざまな疾患の原因となります。
散歩の後の犬の様子もしっかり確認しましょう。
帰宅後に愛犬が気持ちよさそうに昼寝をしているなら適切な運動ができているでしょう。
しかし、帰宅後にすぐに遊び始めたり、遊んで欲しいアピールをしている場合には、散歩が足りていないことがあります。
更に、シニア犬や持病を持っている子は、散歩が負担になっている場合には呼吸の間隔がかなり短かったり、舌の色が紫がかっているなど疲弊のサインが見られる場合があります。
その場合には散歩の時間を減らして様子を見ましょう。短時間の散歩でそのようなサインが見られたり、明らかに異常であると感じた場合には、早急に動物病院に行きましょう。
しつけ
大型犬は特にしつけが大事になってきます。万が一、遊びのつもりでもかみ癖などがあれば体が大きい分、相手が大けがを負ってしまうことも考えられます。
愛犬と信頼関係を築き、きちんとしつけを行えば、良きパートナーとなるでしょう。

大事なしつけは4つあります。
- 呼び戻しを覚える
- かまないようにする
- 引っ張り癖をなくす
- 吠えないようにする
万が一、リードが手から離れてしまっても、飼い主さんの「おいで」の声に反応することで逃走を防ぐことができます。
また、当然ながら人や他の犬をかむことがあってはなりません。
大きなトラブルに発展していまいますので、きちんとかまない訓練を行いましょう。
また体が大きい分、散歩時にはリードを引っ張られてしまいがちです。
飼い主さんの転倒を防ぐ意味でも、引っ張らずに飼い主さんと歩調を合わせられるようにしつけをしましょう。
吠える声も、大型犬が吠えるとその大きな声と姿に驚かれ、小型・中型犬を飼う人には煙たがられることもないとは言えません。
犬がけんかをすれば小さい方が傷つきやすいという危険もあるためです。
やはり、吠えないこと、攻撃性がないようにすることで、安心した散歩ができるようになります。
健康管理の重要性
犬の場合、小型犬より大型犬の方が成長スピードも速く、寿命が短いとされています。
老化が早いということは、それだけ日々の健康管理が重要とも言えます。
健康管理を行う上では、大型犬に限らない話ですが、その子の犬種が持つ性質、その子の体の状態、癖やアレルギーなどを知っておくことで、あらゆる疾患の予防にもつながります。
飼い主さんの努力は少なからず必要となりますが、それがその子への愛情でもあるのです。
- 定期的な動物病院の受診(健康診断など)
- 適切な住環境(温度管理も含む)
- 適切な食事量と内容、回数
- 適切な運動量を保つ
- 獣医の診察だけでなく、日々の体のケア(シャンプーや爪切り、耳掃除など)
これまでご紹介した内容も含め、上記の内容を意識してみましょう。
そして何より、飼い主さんの愛情は不可欠です。
どんな犬も世界でたった一人の飼い主さんに愛されたいと願っているのですから。
まとめ
ここまでたっぷりと大型犬の魅力をお伝えしてきました。
大型犬を上回る超大型犬を知る機会にもなったかもしれません。
小さな犬から大きな犬まで、それぞれに可愛らしさやたくましさがあり、古くから私たち人間と今日という日まで共に生きてきた最高のパートナーです。
探してみると皆さんの近くに大きな犬が暮らしているかもしれませんよ。外を歩いた時に見かけたらぜひよく観察してみてくださいね!
この記事の監修者

吉田萌 (NPO法人ドッグトレーナー2級)
国際動物専門学校 しつけ・トレーニング学科卒。
噛み・吠え癖の酷い元保護犬のビーグルを里親に迎えた事をきっかけに『褒めてしつける』を念頭に活動。 自身の経験を活かし、しつけイベントにて飼い主に寄り添ったトレーニング方法を指導。 ナチュラルペットフード・栄養学の知識にも精通。保有資格はNPO法人ドッグトレーナー2級の他に、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級など。
資格
NPO法人ドッグトレーナー2級、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級