
愛犬の去勢手術を考えた時、「本当に去勢手術をした方がいいのかな?」「費用はどのくらいなんだろう?」など、心配事ばかり頭をよぎるのではないでしょうか?
この記事では、犬の去勢手術にかかる費用、どんな手術をするのか、そして手術は必要なのか?
愛犬に手術を受けさせる前に知っておきたいことをまとめました。
ぜひ参考にしてみてください。
この記事を書いた人
鮎川多絵
東京都出身。1986年10月生まれ。趣味は映画鑑賞・1人旅・散歩・動物スケッチ。
家族は保護犬1匹保護猫2匹(+空から見守る黒うさぎのピンキー)。
子供の時からイヌ科動物が大好きでした。戸川幸夫氏の「牙王」で狼犬に憧れ、シートン動物記で「オオカミ王ロボ」に胸を打たれました。特に大きな犬のゆったりとした雄姿には目を奪われます。保護犬と保護猫の飼育経験から、動物関連の社会問題、災害時のペット同伴避難について意識を向けています。
犬の去勢手術とは?

去勢とは?
犬の去勢とは、雄の睾丸(こうがん)を外科的手術によって取り除き、生殖能力を失わせることをいいます。
全身麻酔をかけて、陰嚢(いんのう)の近くを小さく切開し、睾丸を取り出して縫合します。
「去勢手術」とは反対に、雌犬の生殖能力を失わせる手術を「避妊手術」といいます。
避妊手術の場合も、手術方法やその流れ、費用も獣医によって異なります。
手術の流れ
①手術前:身体検査
術前検査は各病院によって対応は異なりますが、検査内容の例は以下の通りです。
| 対象 | 検査内容 |
|---|---|
| 5歳以下 | 胸部及び腹部のレントゲン |
| 血液検査 | |
| 心電図 | |
| 血液凝固検査 | |
| 5歳以上 (上記に追加) | 心臓超音波検査 |
動物病院では、費用が発生する項目の規制がありません。そのため、明細書には、去勢手術の総額のみ表示されている場合や、細かい処置が表示されている場合などさまざまです。
②手術前日:絶食
③手術当日:術前検査を行い万全な状態で手術ができるようにします。血管を結ぶ、腹膜や皮下組織を縫い、体内に残ってしまう糸は吸収性の糸を使用する例が多いようです。(吸収性の糸:時間が経つと溶けてなくなる糸)
④退院:雄犬の場合は、当日に退院できることが多いようです。病院によって対応が異なりますので、かかりつけの病院に確認してください。(雌犬の避妊手術の場合は、翌日の退院が多いようです。)
⑤手術後:抜糸等を行います。抜糸は、手術からおよそ1週間ほどで行います。それまでの間は傷口を保護するために、エリザベスカラーや服を着せたままにします。

手術の前日は、家でゆっくりと過ごさせてあげましょう。手術は全身麻酔で体に負担をかけるだけでなく、犬にとっては不安や緊張によるストレスもかかります。体を休ませてあげて手術に備えるようにしましょう。
散歩については、いつも通りの時間であれば問題ありませんが、車や電車での外出や、旅行は控えるようにしましょう。
去勢手術の費用相場

費用総額の内訳は?気になる去勢手術の費用内訳はどのくらいなのでしょうか?
各病院、犬の体格によってそれぞれにかかる費用は異なりますが、目安としては以下のようになっています。
| ●手術前:診察代金 | ¥800~2,000 |
| ●手術前:検査/診察代金 | ¥10,000~15,000 |
| ●手術代金(麻酔代を含む) | |
| 小型犬~中型犬 | ¥12,000~40,000 |
| 大型犬 | ¥30,000~50,000 |
| 超大型犬 | 要相談の場合が多い |
| ●入院代金(日帰りの場合はなし) | ¥0~7,000 |
| ●内服薬代金 | ¥0~4,000 |
| ●手術後:抜糸/診察代金 | ¥2,000 |
| 総額 | ¥24,800~80,000 |
※各病院で対応は異なります。初診・再診料も別途発生することもあります。また、上記の例は5歳以下の健康な犬に限ります。5歳以上、持病がある犬の場合には、その他に検査や処置が必要なことがあるため別途費用が発生することもありますので、獣医師にご相談ください。
去勢手術の費用の相場は、12,000~50,000円程で、手術費用だけでなく検査、入院、薬や抜糸など全てを含むと、20,000~80,000円程かかると考えておいた方がよいでしょう。
一般的には、犬の体格によって手術にかかる費用も変わります。小型・中型・大型犬と大きくなっていくに従って費用も高くなります。手術や治療に使われる薬や麻酔が、体重に比例して増えることが理由のようです。
また、高齢犬や持病がある犬の場合には、全身麻酔のリスクが増します。そのため、少しでもそのリスクを減らすために、追加の検査や薬剤を使用することがあります。
更に、犬の健康状態によっては、別途費用がかかることがあります。例えば、取り出す睾丸が陰嚢の中でなく、下腹部や皮下にある状態(停留睾丸)の場合には、通常の去勢時に行う方法と異なるため、費用も高くなります。
ほとんどの場合、動物病院のホームページに費用が出ていますが、もしもわからない場合には直接問い合わせて費用の目安を聞いてみましょう。
助成金・補助金が出る!?
犬の去勢手術(避妊手術)にかかる費用に対し、多くの自治体で助成金・補助金が出ているのを知っていますか?
この制度は、犬の去勢手術(避妊手術)を推奨しているものです。(犬だけでなく猫も推奨されています)
この去勢手術を推奨する動きの背景には、「犬猫の殺処分」問題があるのです。全国各地で多頭飼育崩壊や犬猫の遺棄事件が発生しています。このような悲しい事件を防ぐ手段の一つとして、去勢(避妊)手術を施すことを推奨しているのです。
手術を検討している場合には、居住地の自治体のホームページ等で掲載されていないか確認をしてみてください。条件や方法など各自治体によって異なりますので、ご注意ください。
ここでは一例として一部自治体をご紹介します。
〇栃木県 宇都宮市
栃木県宇都宮市では、飼い犬(飼い猫)の不妊手術の補助金の交付をしています。
条件
・宇都宮市の住民基本台帳に登録されている方/一世帯につき、当該年度(4月から翌年3月)に、飼われている犬または猫のいずれか1頭
・犬の場合は、登録と申請した年度の狂犬病予防注射を受けていること
・市税を完納していること。
(市税完納とは、納期の到来しているすべての市税の本税と延滞金に未納がないこと及び市民税に係る申告漏れがないことをいいます。)
方法
1.申請書に、手術実施獣医師の証明を受けてください。
(注意)申請書は、市内のほとんどの動物病院にありますが、一部備えていない動物病院もありますので、事前に動物病院に確認してください。動物病院に申請書が備えられていない場合は、保健所生活衛生課、各出張所、各地区市民センター、市役所1階保健と福祉の相談窓口で申請書を配布しています。
2.申請書に必要事項を記入してください。
(注意1)犬の場合、登録番号、狂犬病予防注射済票番号を記入してください。
(注意2)補助金の振込先は、申請者と同一名義の口座を記入してください。
3.手術日から1ヵ月以内に、申請書を保健所生活衛生課、各出張所、各地区市民センター、市役所1階保健と福祉の相談窓口へ持参してください。持参できない場合は、郵送での提出も受け付けていますので、保健所生活衛生課へ送付してください。
補助金額
犬
不妊手術(メス) 5,000円
猫
不妊手術(メス) 4,000円
(宇都宮市ホームページ 2024年8月19日時点 飼い犬・飼い猫の不妊手術の補助をしています より)
〇愛知県 名古屋市
名古屋市では、犬・猫の不必要な繁殖と周囲に対する危害・迷惑を防止するため、犬・猫の避妊・去勢手術費用の一部を補助しています。
方法(補助対象者)
- 市内において犬猫を所有している市内在住の方
- 犬においては、狂犬病予防法に基づく登録が済んでいること
1.本市の指定する獣医師(動物病院)と避妊去勢手術の実施時期を調整してください。
2.最寄の保健センター又は動物愛護センターに申請をして、避妊去勢手術補助券の交付を受けます。
(市内の保健センターであれば、居住区に関係なく、どこの保健センターでも手続きは可能です。)
3.獣医師に補助券を使用する旨を伝え、有効期間内に手術を受けます。
4.獣医師に補助券を提出すると、手術費用が助成により減額されます。
補助金額
犬の助成金額
避妊手術(めす) 名古屋市から3,200円、公益社団法人名古屋市獣医師会から6,400円
去勢手術(おす) 名古屋市から1,600円、公益社団法人名古屋市獣医師会から3,200円
猫の助成金額
避妊手術(めす) 名古屋市から2,100円、公益社団法人名古屋市獣医師会から4,200円
去勢手術(おす) 名古屋市から1,050円、公益社団法人名古屋市獣医師会から2,100円
(『名古屋市ホームページ』 2025年11月1日時点犬・猫の避妊・去勢手術の補助 より)
去勢手術はいつするの?メリットとデメリットも知っておこう

去勢の適齢期
犬の去勢手術を行う時期はいつなのでしょうか。一般的には、犬の体が成長し、性成熟期が始まる生後5か月から8か月頃に手術を行うものとされています(この時期は歯の生え変わりが落ち着く頃でもあります)。
しかし、手術を行う際の全身麻酔は体に負担をかけるものです。幼齢期であれば、体も十分に成長しておらず、更にこの頃に手術をすると肥満傾向を強めるという研究結果もあります。また、体重2キロ未満の小さい犬の場合には、成長を十分に待ってから行う方が安心です。
去勢手術を考えた際には、必ずかかりつけの獣医師とご相談ください。獣医師の考えやタイミングはそれぞれですが、犬の体への負担がより少ないことを第一に、適切な時期に手術を行えることが大事なのです。
去勢のメリットとデメリット
去勢(及び避妊)手術については、賛否両論あります。しかし、まずは愛犬の飼い主さんがきちんとこの手術のメリットとデメリットを理解し、するべきかしないべきかを考えましょう。
手術をするにしてもしないにしても、「何となく」否定するのではなく、何が大切な愛犬にとって良いのか、共に暮らす自分たちに適切な判断であるかじっくりと考えてみてください。
去勢をするメリットとデメリットは以下の通りです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ●望まない繁殖が避けられる(雌犬の思わぬ妊娠出産による多頭飼育からの飼育崩壊などの問題を避けることができる) ●発情期にみられるストレスを軽減できる ●攻撃性などの問題行動を抑えられる ●マーキングやマウンティング行動を減少させることができる ●病気の予防になる(雄犬に見られる、前立腺肥大、会陰(えいん)ヘルニア、肛門周囲腺腫など) | ●肥満傾向にある ●全身麻酔のリスクがある ●ホルモンバランスの変化により性格が変わる可能性がある ●術後の麻酔の影響や痛みによる一時的なストレス ●ペット保険は適用外となる(一般的な病気の治療でないため) ●稀ではあるがホルモンバランスの異常から尿失禁が起こるともいわれる。通常は術後3~4年で発症する |
愛犬の年齢や性格、健康状態、そして飼い主さんのライフスタイルなど、全てを考慮し比較検討し、1人で悩まず獣医師と十分に相談をしてみてください。
まとめ

愛犬に手術を受けさせることは、飼い主さんにとっても、そして愛犬自身にとっても不安なことです。
1人で悩み、迷って即決する前に、かかりつけの獣医師に相談をしてみてください。
去勢手術は望まない妊娠を防ぐだけでなく、病気の予防や問題行動の改善のメリットがあり、手術を受けさせる飼い主さんも多くいます。
しかし、全身麻酔も行うためリスクはゼロではなく、術後の体重管理も注意する必要があります。
愛犬のこれからのことを考え、ご自身で納得できる選択ができるようにしましょう。



