
「ボルゾイ」という犬種を、皆さんは聞いたことがありますか?
もともとロシアの貴族に飼われていた狩猟犬で、エレガントな見た目が特徴の超大型犬です。
日本では見かけることが少ないボルゾイ。
今回は二組の飼い主さんに、ボルゾイの魅力や暮らしについてインタビューしました!
※ボルゾイの基本情報については、こちらの記事もご覧ください。
この記事を書いた人
【お話を伺った方々】
小林さん(神奈川県在住)

大貫さん(神奈川県在住)

※今回は、神奈川県南足柄市にあるペットショップ・ホテル「うちの仔」さんで、お話を伺いました。

小林さん

大貫さん

聞き手:首藤みさき
3歳で置物、5歳で敷物!?見た目だけじゃない魅力

初めてボルゾイを見ましたが、大きいですね!

平均的な体重は、オスが50kg代、メスは30kg代です。
オスの体重はほぼ人間の大人と同じ…!

初めに、ボルゾイを飼ったきっかけを教えてください。

数年前まで、20年程ボルゾイのブリーダーをしていました。
多い時には8頭ほど飼っていたことも。一度見たら忘れられない見た目が、ボルゾイの最大の魅力だと思います。

学生の時に地元で見かけて以来、美しい姿が忘れられず、いつか犬を飼えたらボルゾイがいいと思っていました。
結婚して犬を飼おうとなり、近くにボルゾイのブリーダーさんがいて、飼い始めました。


ボルゾイの見た目以外の魅力は、どんなところですか?

結構お茶目だったり、甘えん坊だったり、見た目とのギャップも魅力です。
小さい頃はやんちゃですが、3歳を過ぎると落ち着きはじめ、「3歳で置物、5歳で敷物」というくらい大人しくなるんですよ。

敷物……!
確かに、大人しく床に伏せている様子はフワフワの絨毯のような!?

小さい時は、毎朝起きて見ると、「あれ、ちょっと大きくなった?」と感じるくらい、日々大きくなります。


颯爽とした横顔と、愛らしい正面の顔。様々な表情を見せてくれます!

お二組とも多頭飼い※をされていますが、それ程の魅力があるんですね!
一般に多頭飼いでは、犬同士の相性や先住犬への配慮、それぞれの犬が過ごしやすい住環境やスペースの確保が必要となります。費用やその他のコストも考慮して検討するのがよいでしょう。

二歳ぐらいになると性格が急に落ち着いてくるので、そうするともう一頭欲しい、多頭飼いできるかも、となる人が多いです。

初めて飼ったボルゾイが亡くなった後、次もボルゾイがいいなと思い、現在飼っている二頭を迎え入れました。
遊ぶときは、二頭で一緒に楽しそうに走ったりしています。
優しい性格なので、先住の小型犬とも仲良しです。

大きいワンコと小さいワンコが並ぶ姿に、キュンとしてしまいます・・!

ボルゾイは猫っぽい?生活環境と過ごし方

普段はどんな環境で生活していますか?
ボルゾイは室内、人がいるリビングなどで飼うのが良いとも聞きます。

普段はリビングにいます。
暑さには弱いので、夏はエアコンの効いた部屋にいて、人がいない時も犬のためにエアコンをつけています。
小さい時はモノを壊したりもしますが、落ち着くと、小型犬よりもおっとりした動きをします。

室内にいて、ボルゾイたちだけで部屋にいることも多いです。
性格的に、犬の中では猫っぽいところがあって、甘えん坊ですが、一人の時間も好きで、自分たちの世界を持っています。
外出や帰宅時に声をかけても、「へぇ~」という感じです(笑)。
ゴールデンレトリーバーなど、大歓迎で迎えてくれる犬種とは違います。

それは確かに、猫っぽいですね!ボルゾイの性格がとても伝わってきます。


都会のマンションでも、部屋の広さがあれば飼えるのでしょうか…?

マンションでも、散歩が十分にできるのであれば飼うことはできると思います。
ただ、大型犬が飼えるマンションがあまりないかもしれません。
飼うなら必須!しつけと運動

大型犬ということで、運動量はかなり必要ですか?

朝晩、最低でも30~40分は散歩に行きます。
ある程度は走ることも必要で、自転車で一緒に走っていたこともあります。
ただ、二歳ぐらいまでは体が大きくなっていても足腰がまだ強くなっていないので、運動量には注意が必要です。
夏の暑さはボルゾイにはしんどいので、散歩を考えると、公園や自然がある環境が良いかもしれません。

心身の健やかな成長のためにも、適度な運動や走れる環境が大事です。
我が家では庭で好きに走らせたり、お散歩も日課です。お散歩は信頼関係を深めたり、社会を学ぶ貴重な時間だと思っています。

ボルゾイを飼うのであれば、成長段階に応じて十分な運動をさせてあげることが必須なのですね。


どの子もお利口さんですが、しつけは大切ですか?
また、どのようにされていますか?

やっぱり超大型犬なので、飼い主が常に主導権を持って、言うことを聞かせられることが大切です。
ボルゾイは大らかさもありながら、繊細で怖がりな部分もあります。
小さい時から飼い主以外の人と会って人に慣れていると、無駄吠えなどもしなくなります。
成長してからとなると、警戒心も強くなります。
しつけが不十分なまま大きくなったボルゾイが手に負えず、里親に出される例が結構あるとも聞きます。
大きくて力が強いので、散歩は一頭ずつ行っています。
過去に何度か、二頭を一緒に散歩に連れていき、引っ張られて転んだこともあります。
初めてボルゾイを飼う場合は、オスより体格が小さいメスがおすすめです。

大きいので特に、しつけはきちんとしないと危険です。
狩猟本能が強いので、遠くの鳥や猫が見えたり、ちょっとしたことで急にガッとリードを持っていかれます。
飼い主がそういったことに先に気づけるよう注意を払い、「行ってはダメ」など、常に意思疎通ができることが大切です。
しつけは、ブリーダーさんやドッグトレーナーの方の話も聞きながら、自分で行っています。

(インタビュー中も常にリードを握り、ボルゾイたちに目を配る飼い主さんの姿が印象的でした。)
限られた時間を、最後まで幸せに

大変なことはありますか?

ボルゾイは高齢になると、足から弱くなっていきます。
大きいので、歩けなくなった時や寝返りの補助、病院に連れていく際など、抱きかかえるのが大人一人では難しい時もあります。
犬たちが高齢になった時のことも考えた上で、迎え入れることを検討するのが良いと思います。

以前飼っていたオスのボルゾイで、7ヶ月寝たきりの子がいました。
血栓があり、ゆっくりそっと動かしてあげる必要があり、大人一人ではできませんでした。
寝たきりになる子が多いというわけではなく、(寝たきりになる以前に)病気の症状が急に進む場合もあります。
この子たちは自分で不調などは訴えられないですし、悪くなった時の進み方が早いです。

ボルゾイの平均寿命は10~14歳といわれています。
限られた時間を最後まで愛情をもって、ボルゾイが幸せに過ごせるようにお世話をしよう、という飼い主さんの想いを終始、感じました。

最後に、ボルゾイを飼うことを検討している方へのメッセージなどあれば、お願いします。

しっかりとしたブリーダーさんから迎え入れるのがよいと思います。
迎え入れた後も、病気やしつけについて話を聞いたり相談ができる関係性を、続けられるような方がよいと思います。

ボルゾイたちは、一緒に過ごしている時間が長くなればなるほど、人に寄り添ってくれる感覚があります。
落ち込んでいると、来てくれたりします。
大型犬を飼うことは、飼っている人でなければ分からない苦労もあります。
ただ、その分魅力もあります。
大きいからこそ、パートナーという感じがしますね。
ご協力ありがとうございました!
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今回、実際のボルゾイを初めて目にして、まず大きさと美しさに感動しました!
そして一頭一頭、人間の子供のように異なる表情を見せてくれるのも印象的でした。
お話を伺った飼い主さんのボルゾイへの愛情と、特徴を十分に理解された上で最善のお世話をされる姿勢もとても勉強になりました。
この記事の監修者

鮎川 多絵 (愛玩動物飼養管理士2級・ライター)
東京都出身。1986年10月生まれ。趣味は映画鑑賞・1人旅・散歩・動物スケッチ。
家族は保護犬1匹保護猫2匹(+空から見守る黒うさぎのピンキー)。
犬と私
子供の時からイヌ科動物が大好きでした。戸川幸夫氏の「牙王」で狼犬に憧れ、シートン動物記で「オオカミ王ロボ」に胸を打たれました。特に大きな犬のゆったりとした雄姿には目を奪われます。保護犬と保護猫の飼育経験から、動物関連の社会問題、災害時のペット同伴避難について意識を向けています。
この記事の監修者

吉田萌 (NPO法人ドッグトレーナー2級)
国際動物専門学校 しつけ・トレーニング学科卒。
噛み・吠え癖の酷い元保護犬のビーグルを里親に迎えた事をきっかけに『褒めてしつける』を念頭に活動。 自身の経験を活かし、しつけイベントにて飼い主に寄り添ったトレーニング方法を指導。 ナチュラルペットフード・栄養学の知識にも精通。保有資格はNPO法人ドッグトレーナー2級の他に、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級など。
資格
NPO法人ドッグトレーナー2級、しつけアドバイザー2級、愛玩動物飼養管理士、ドッググルーマー2級













