
ボルゾイという犬種を知っていますか?
細身の体に、美しい長毛をなびかせて走る大型犬です。まるで犬の貴族…と言っても過言ではないでしょう。
一度お目にかかれば、忘れることのできない華麗な姿には、思わず目を奪われてしまうこと間違いなし!この記事では、そんな高貴な犬種の魅力に迫ります。
この記事を書いた人
鮎川多絵
東京都出身。1986年10月生まれ。趣味は映画鑑賞・1人旅・散歩・動物スケッチ。
家族は保護犬1匹保護猫2匹(+空から見守る黒うさぎのピンキー)。
子供の時からイヌ科動物が大好きでした。戸川幸夫氏の「牙王」で狼犬に憧れ、シートン動物記で「オオカミ王ロボ」に胸を打たれました。特に大きな犬のゆったりとした雄姿には目を奪われます。保護犬と保護猫の飼育経験から、動物関連の社会問題、災害時のペット同伴避難について意識を向けています。
ボルゾイってどんな犬?

名前も姿も知っている。しかし、案外ボルゾイがどんな犬なのか知らないという方も多いのではないでしょうか?ボルゾイがどこ由来の犬種で、どんな特徴があるのかご紹介いたします。
基本情報
| 犬種名 | ボルゾイ(ロシア語 борзый(ボールズィ)で「俊敏」という意味) |
| 原産国 | ロシア |
| サイズ | 大型犬 |
| 分類 | 猟犬 |
| 体高 | オス 75~85㎝ メス 68~78㎝ |
| 体重 | オス 38~48㎏ メス 35~45㎏ |
| 毛質 | ダブルコート(オーバーコートとアンダーコートの二重構造の毛のこと)。柔らかな長毛で、直毛やウェーブなど個体差があります。胸・四肢・尻尾は「フェザリング」と呼ばれる羽毛のような飾り毛があることが特徴。 |
| 毛色 | 毛色が豊富なことも特徴の1つです。白、レッド、ブラック、グレー、ブリンドル、フォーン系が犬種の毛色として認められています。 |
| 抜け毛 | ダブルコートのため、抜け毛も多いです。きちんと日々のブラッシングをしましょう。 |
| 平均寿命 | 10~12歳とされていますが、あくまで目安です。獣医療が進化していることもあり、飼育環境に気を遣うことで寿命も変わってくるでしょう。 |
英語で子鹿という意味です。金色がかった単色ですが、一般的にはベージュ色です。パグやチワワによくみられる色ですが、明るいフォーンやダーク系のフォーンなど色々あります。
ボルゾイの歴史
ボルゾイの祖先は、もともと中東や中央アジアにいたサイトハウンド(視覚を頼りに狩りを行う獣猟犬のこと)にあるといわれていますが、さまざまな説があります。
11世紀のフランス王妃 アンナ・ヤロスラヴナが、護衛として3頭の犬を連れており、その犬の姿は現在のボルゾイに似ていたのだそうです。
当初、この犬種はウサギ狩りをするために飼われていましたが、王侯貴族たちが、狼の狩りをすることに伴い、ロシアンシープドッグなどの作業犬と交配させることで、大型化させていったとされています。
その後、狼狩りの猟犬として、ロシア貴族の間でも大事な存在となっていきます。このこともあり、「ロシアン・ウルフハウンド」の名前で呼ばれるようになり、王侯貴族のみで飼育される、高貴な犬とされてきました。
1889年頃、ボルゾイは毛色、骨格などさまざまなタイプがいて、7つのタイプに分かれていたとされます。最も有名なタイプのボルゾイは、ニコライ・二コラエヴィッチ大公が育てた「Perchino」といい、アメリカやイギリスに輸出されるようになります。1891年には、アメリカンケンネルクラブ(AKC)で正式に犬種として認められました。
この1800年代後半に、ボルゾイの人気が高まったものの、1917年のロシア革命では、封建国家の象徴かつ贅沢品とされ、殺されてしまう悲劇が起きました。
このことから、一時ボルゾイは絶滅の危機に陥ります。
しかしその後、ロシア国外のボルゾイ愛好家によって数が回復していきます。
既に海外に渡っていたボルゾイのタイプ「Perchino」の末裔たちによって救われ、これまで「ロシアン・ウルフハウンド」の名前で知られていましたが、1936年に「ボルゾイ」と犬種名が改名されたのです。
現在は、ショードッグ、ドッグレース、そして家庭犬として愛され、血統が受け継がれています。
ボルゾイの特徴と性格

ボルゾイは大変大きな犬です。体高はオスは75~85㎝、メスは68~78㎝が理想とされていますが、それに比べて体重が軽く、体は全体に細身であることが特徴です。
また、ボルゾイは口吻(こうふん)がとても長い顔が特徴的といえるでしょう。狩猟犬として活躍していた際には、捕えた獲物を逃さないよう、顎の力が非常に強いのです。
知性が高く、運動能力に優れており、獲物を追うために走ると時速50㎞の速さが出るといわれています。
流れるような骨格ラインは、走ると非常に美しいのも魅力的です。
また、絹糸のような繊細な被毛は、ダブルコートとなっており、毛質は直毛ですが、巻き毛やウェーブがかった毛をもつ個体も存在するようです。
これまでご紹介してきたボルゾイは、とても高貴かつ野生的で少々近づきにくさを感じた方もいるかもしれません。しかし、その印象を覆すようにボルゾイの性格は温和で非常に愛情深い性格といわれています。
家庭犬としてのんびりと過ごす一方で、頭が良く鋭い視覚を持つため、狩猟犬のスイッチが入ると興奮してしまうこともあります。
どの犬種にもいえることですが、家庭犬として、人間社会で暮らす犬として育てるためには、きちんとしたしつけが必要になります。
非常に大きな犬ですので、しつけが十分にできていない場合には、リードを思わぬ力で引っ張られたり、散歩中にトラブルのもとを作ってしまったりすることも否めません。
子犬期からさまざまな環境、人、動物に触れさせ十分に社会化するよう学ばせましょう。
飼い主の責任あるしつけとトレーニングをすることで、とても頼もしく、愛らしい家庭犬となるはずです。

別名マズルともいわれる。犬の顔の目元の下、口周りにかけて出っ張っている部分を指します。
ボルゾイと暮らす

ここまでボルゾイの魅力をお伝えしてきましたが、それからもお分かりのように、誰にでも飼える犬種であるとは言い切れません。
大型犬であるだけでなく、俊敏でもともとは猟犬でもあったことから、それなりの環境や生活スタイルが必要になってくるでしょう。
ここでは、そんなボルゾイの飼育ポイントや注意点について、また犬種ならではのかかりやすい病気などについてお伝えいたします。
飼育ポイントと注意点
ボルゾイはロシアが原産国です。そのため、寒さには比較的強いですが、夏には弱い傾向があります。
特に昨今の日本の夏は、気温と湿度が高く人間だけでなく犬たちにも過酷な状況といえます。
暑さに弱いボルゾイに、適切な温度管理を行うようにしましょう。
また、言うまでもなく運動は十分な量が必要となります。
室内飼育が推奨されますが、その分朝夕の散歩はしっかりと行いましょう。
時速約50㎞の速さで走り、1mの障害物も悠々と飛び越える運動能力の持ち主です。
例えば、散歩中やドッグランなどで他の犬や人と触れ合う機会があるでしょう。
突発的な興奮により、飼い主が制御できなくなる、思わぬことから柵などを飛び越えて事故に遭うなど、考えられるリスクはさまざまです。
そういったことも念頭に、早いうちから飼い主の指示をきちんと聞くようしつけはきちんと行いましょう。
トレーニングも今日明日でできるものではありません。飼い主の努力が必要になります。
ボルゾイの美しい被毛を守るためにも、週3回以上はブラッシングをしてあげましょう。
毛玉や皮膚炎を防ぐだけでなく、ブラッシングの時間は犬と触れ合い絆を深めるにも良い時間です。
時にはトリミングサロンでプロにお任せして綺麗にしてもらうこともよいでしょう。
ブラッシングをしながら、犬の体や顔、特に垂れ耳のボルゾイは、耳の炎症が多いため、よくチェックしてあげるようにしましょう。
●暑さに弱いため、適切な温度・湿度管理をしてあげましょう
●しっかりと運動をさせましょう
●飼い主の指示をきちんと聞くよう、早いうちからしつけをしましょう
●定期的にブラッシングをして、健康のチェックをしながら絆を深めましょう
病気や平均寿命など
犬種によって遺伝的にかかりやすい病気が存在します。早いうちのケアが何よりも大事になります。ボルゾイのかかりやすい病気について知っておきましょう。
胃捻転
胃捻転を起こす犬種はいくつかいますが、ボルゾイもそのうちの1種です。胃内に停滞しているガスや液体の増加、食後の過度な運動によって胃拡張が原因で、胃が異常に膨らんで捻じれたり、血管や周囲の臓器を圧迫する胃捻転を起こします。
多量のフードを食べた後に水を飲み、食べた物の膨張によって胃拡張の要因になることもあります。急激にぐったりとしたり、嘔吐をしたくてもうまく出ない、大量のよだれを出す、呼吸困難、脈圧の低下など、ショック症状を起こします。早急の治療が必要になりますので、すぐに獣医師にみてもらうようにしてください。
甲状腺機能低下症
人間と同様に、犬にも甲状腺があります。体の代謝を活発にするホルモンを分泌する大切な内分泌器官です。人間ではよく蝶々が羽を広げた形の部分と言われますが、犬も同様で首にあります。甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌が減少し、元気がなくなり、脱毛、肥満、寒がるなど多くの症状がみられる病気なのです。
不足するホルモンを薬によって補充する治療が行われます。日頃から愛犬の様子を観察し、元気がない、いつもと違うなど違和感や異常に気付けるようにしましょう。また、定期的な健康診断も大切です。かかりつけの獣医師を見つけておき、早期に通院できるようにしておきましょう。
外耳炎
ボルゾイは垂れ耳のため、立ち耳(ドーベルマン、柴犬など)の犬種以上に耳の病気にかかりやすい犬種とされます。耳の穴から鼓膜の手前までの通り道を「外耳道」といい、ここに炎症ができることを「外耳炎」といいます。
耳の痒み・痛みから、犬が首を振ったり、傾けたりする仕草、後肢で耳を掻く仕草を頻繁に行うようであれば、耳の炎症を疑いましょう。耳の中の赤み、悪臭、腫れ、耳垢の増加などの症状もみられます。
日頃から耳を清潔に保つことが外耳炎の予防につながります。しかし、間違った方法での耳掃除やシャンプー液の耳への流入などが、逆効果になることもあるので注意が必要です。耳掃除についても、かかりつけの獣医師に相談し、動物看護師による指導やアドバイスを得てください。
目の病気
ボルゾイは遺伝性による目の疾患が比較的多い犬種です。若齢(1歳以降)から発症する「非加齢性白内障」は、老化による白内障より進行が早く、ある程度まで進行してしまうと外科手術以外に完治させる方法がなくなります。
さらに、こちらも若齢で発症することが多いといわれる「進行性網膜萎縮症(PRA)」も遺伝性でかかりやすい疾患の一つです。目の底にある薄い膜上の組織「網膜」が、光や色を感知して情報を脳に届けることで目が見えますが、この病気は、その網膜が徐々に変性して目が見えなくなる病気です。
目が見えにくい、見えない、物にぶつかったりふらついたりする、大きな音に驚くなどの症状があり、進行に伴い昼夜関係なく視覚を失ってしまいます。白内障や目の中の炎症を伴うこともあります。残念ながら、現段階で治療法がない病気です。この病気にかかってしまった場合には、その後の生活をいかに快適に過ごさせてあげられるか、考えましょう。目が見えないならば、家族が愛犬の目となり、サポートをしてあげるようにしましょう。
ボルゾイの平均寿命は、7歳~13歳と言われています。一般的に大型犬は10歳~13歳とされているので、比べてみるとやや短命です。どの犬種にも「平均寿命」があるとされ紹介していますが、飼育環境や体力などさまざまな要因もあり、寿命は変わってきます。あくまで目安ではありますが、どんな犬種であっても限られた時間の中で、愛犬がいかに幸せに楽しく過ごせるかが大事でしょう。
【ミニ企画】我が家のボルゾイはこんな子!~愛犬紹介~
ボルゾイの魅力、どんな犬種なのか紹介してきましたが、実際にお目にかかれることは少ないかもしれません。また、これからボルゾイを飼ってみたいけれど、実際に飼っている人に話を聞いてみたい!どんな子を飼ってるの?など、気になる方は多いかもしれません。そこで、今回は「ミニ企画」と称し、実際にボルゾイを飼われている方に愛犬をご紹介いただきます!
<ボルゾイの飼い主さん>
Instagramより 「ボルゾイのジェフ」こと @jeff.borzoiさん
<インタビュアー>
筆者 鮎川
<@jeff.borzoiさんの愛犬>

| 名前 | 小島 ジェフ 君 |
| 誕生日 | 2024年7月27日 |
| 性別 | オス |
| 体重 | 31kg |
| 体高 | 80cm |
| 毛の色 | ホワイト&アプリコット |
| 性格 | 穏やか天真爛漫 |
| ボルゾイの魅力は? |
| 容姿が美しいところ!(@jeff.borzoiさん) |
| ボルゾイとの生活で変化したことはありますか? |
| 毎日の散歩、休みの日は犬優先になります。(@jeff.borzoiさん) |
| これからボルゾイを飼ってみたいという方にメッセージを! |
| ボルゾイは穏やかな子が多く静かに飼い主に寄り添います。憧れだけではなく、躾や犬との関わる時間をなるべく多くとると良いのかなと思います。関係ができてくると素晴らしいパートナーになります。(@jeff.borzoiさん) |
@jeff.borzoiさんは「ボルゾイは穏やかで無駄吠えしない、ベッタリ甘えるより静かに飼い主に寄り添う犬です。大人になると家ではおとなしいですが、ドックランなどではコートを靡かせ全力疾走する姿はとてもかっこよく魅力的な犬種です!」と、ボルゾイの魅力を力強くお答えくださいました。みんなにボルゾイの魅力をもっと知って欲しいとのことです。
実際にボルゾイを見る機会があれば、その姿をぜひ目に焼き付けて、この犬種の魅力を深堀りしていきたいですね!

とても綺麗な白い毛がよく映えています。花が似合う犬種コンテストをしたら間違いなく1位かもしれませんね!

長い手足になびく尻尾。足のポーズも写真慣れをしているのでしょうか、まるでモデルのようですね!
昨今は、大型犬をメインにした各種施設もあり、ボルゾイを目にすることもあるかもしれません。しかし、それでも身近で飼育している人はなかなかいないのも事実でしょう。写真投稿型のSNSには、愛犬のボルゾイの写真を載せている方も多くいます。皆さんとても素敵に撮影していますので、ぜひご覧になってみてください。その中から、お気に入りの子を見つけて密かに推し活もアリかも!?
まとめ

少し前のことですが、筆者が愛犬を連れてドッグランに行ったときのことです。
来ている人たちがハッと息を飲んで、自然と目を奪われたのは1頭のボルゾイでした。まるで、子馬が楽しそうに跳ねて歩くようなリズミカルな足取り、風になびく長毛、そして野生的な目。誰しもが見とれてしまうオーラに包まれながら、そのボルゾイは私の愛犬に近づいてきました。長い顔と大きさにドキドキしましたが、愛犬の匂いを嗅ぎ「一緒に遊ぼう!」とばかりに、ジャンプをしたり、軽く走ったりする楽しそうな様子から、なんて穏やかで遊び心のある子なんだろうと思わされたことを思い出します。
高貴で優雅な印象のボルゾイ。その印象の通り、素晴らしい見た目ですが、その他の犬種と変わらない愛くるしさがあります。飼うことを検討している方も、その子に適した環境と生活を過ごしてもらえるのかしっかり考え、お迎えすることがあれば、存分にかわいがってあげてくださいね。
この記事の監修者

鮎川 多絵 (愛玩動物飼養管理士2級・ライター)
東京都出身。1986年10月生まれ。趣味は映画鑑賞・1人旅・散歩・動物スケッチ。
家族は保護犬1匹保護猫2匹(+空から見守る黒うさぎのピンキー)。
犬と私
子供の時からイヌ科動物が大好きでした。戸川幸夫氏の「牙王」で狼犬に憧れ、シートン動物記で「オオカミ王ロボ」に胸を打たれました。特に大きな犬のゆったりとした雄姿には目を奪われます。保護犬と保護猫の飼育経験から、動物関連の社会問題、災害時のペット同伴避難について意識を向けています。


