
温厚で優しく、家族を愛する大型犬であるバーニーズマウンテンドッグ。
その立派な姿と穏やかな性格に惹かれ、「いつか一緒に暮らしたい」と憧れる人も多い犬種です。
しかし、その一方で「寿命が短い犬」として知られています。
この記事では、バーニーズマウンテンドッグの平均寿命や短命の理由、かかりやすい病気、そして少しでも長く一緒に過ごすためのポイントについて詳しく解説します。
愛犬との時間を後悔しないために、正しい知識を持っておきましょう。
この記事を書いた人
奥山あやの
京都府出身。趣味は読書・手紙を書くこと・美術館へいくこと。
ライター・インタビュー・SNSマーケティングが主な仕事。
わたしの人生のどの場面にも犬が存在しています。それくらい犬は身近な存在です。中学から飼っていた愛犬が亡くなってから8年になるけれど忘れられません。
バーニーズマウンテンドッグの平均寿命
一般的な大型犬の平均寿命が13年程度であるのに対し、バーニーズマウンテンドッグの寿命は10.5年とかなり短いのが特徴です。
個体によってはもちろん平均以上生きるケースもありますが、健康を維持するためには日々のケアと病気の兆候などの早期発見が大切です。
以下のデータは東京都獣医師会霊園協会が2015年に調査した、各犬種の寿命についてまとめた表です。
| 犬種 | 平均寿命 |
|---|---|
| バーニーズマウンテンドッグ | 約10.5年 |
| ラブラドール・レトリーバー | 約13.5年 |
| ゴールデン・レトリーバー | 約12.3年 |
| 全犬種平均 | 約13.4年 |
一般社団法人
東京都獣医師会霊園協会
「犬の寿命調査」より著者作成
寿命が短いといわれる理由
バーニーズマウンテンドッグの寿命が短い理由は、主に以下の3つが挙げられます。
近親交配による遺伝的要因
スイス原産の作業犬であるバーニーズマウンテンドッグは、20世紀初頭に一度絶滅の危機にひんする。
その際、限られた個体数から繁殖が再開されたため、遺伝病の発症率が高くなったといわれています。
大型犬特有の代謝スピード
一般的に、体の大きな動物ほど寿命が長い傾向にあります。
しかし犬に限っては逆で、体が大きい犬ほど寿命が短いことが研究で明らかになっています。
これは成長スピードの速さや細胞分裂の負荷が関係していると考えられています。

植田 紗妃
大型犬の寿命が短い主な理由に関わる生物学的特徴を紹介します。
①テロメアの短縮:大型犬は短期間で急成長するために細胞分裂の回数が多く、染色体の末端を保護する「テロメア」は分裂を重ねるごとに少しずつ短くなります。テロメアが限界まで短くなると、細胞は正常に分裂できなくなり、 老化・機能不全・がんリスクの上昇につながります。これが細胞の老化やがんリスクにつながります。
②IGF-1ホルモンの過剰分泌:大型犬は成長ホルモン(IGF-1)の血中濃度が高く、成長後もそれが続くことで酸化ストレスが増加し、代謝の老化が加速します。多くの生物で、IGF-1高値 = 寿命短縮・加齢性疾患リスク上昇 と強く関連しています。
③病気リスクの増加:上記2つの影響で、大型犬は小型犬に比べてがんや心疾患、骨格系疾患を発症しやすくなっています。
・注目すべき点は、大型犬が「早く老化し始める」わけではなく、一度老化が始まると死亡リスクの上昇スピードが圧倒的に速いことが、寿命の短さの本質的な原因だということです。
【参考文献】
Kraus C, et al. / Eigenmann JE, et al. /一般社団法人ペットフード協会「犬猫 平均寿命の推移(2024年)」
悪性腫瘍(がん)の発症率が高い
バーニーズマウンテンドッグは、悪性腫瘍の発症率が非常に高い犬種です。
特に「組織球性肉腫」と呼ばれるがんはこの犬種に多く見られ、進行が早く治療が難しいとされています。
組織球性肉腫とは、免疫細胞(組織球)由来の悪性度の高い癌で、バーニーズマウンテンドッグがかかりやすいとされています。
生存期間が数カ月とされることも多い非常に危険な病気です。
治療には、抗がん剤や外科手術などがあります。

なりやすい病気と注意すべきサイン
| 病名 | 主な症状 | 備考 |
|---|---|---|
| 組織球性肉腫 | 発熱、食欲低下、しこり | この犬種に多く、進行が早い |
| 股関節形成不全 | 歩行異常、足を引きずる | 大型犬に多く見られる |
| 胃捻転 | 吐き気、腹部膨張、ぐったりする | 緊急手術が必要 |
| リンパ腫 | リンパ節の腫れ、倦怠感 | 早期発見で延命が可能 |
日常のスキンシップやブラッシング中に体の変化に気付くことが、病気の早期発見につながります。

植田 紗妃
組織球性肉腫は、体を守る免疫細胞の一種「組織球」ががん化してできる腫瘍です。組織球は本来、体に入った異物や病原体を食べて処理したり、他の免疫細胞に「敵が来た」と伝えたりする、いわば体のパトロール担当細胞です。この細胞が異常に増えると、脾臓・肺・皮膚・関節・脳など全身のあらゆる場所にでき、進行や転移が非常に速いのが特徴です。体の一部分だけにできるタイプと、最初から全身に広がるタイプがあります。
治療は、腫瘍が一部分に限られていれば手術で摘出し、その後に抗がん剤(飲み薬)で再発・転移を防ぎます。すでに全身に広がっている場合は抗がん剤が治療の中心となり、痛みの強い関節の腫瘍では足を切断することもあります。
生存期間の目安は、一部分だけのタイプで数ヶ月〜1年程度、全身に広がったタイプでは3〜4ヶ月程度と、他のがんに比べて短めなのが実情です。
【参考文献】
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1939-1676.2007.tb02937.x
https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1354/vp.43-5-632
長生きのためにできること
- 定期的な健康診断を受ける(年1〜2回)
- 体重管理とバランスの取れた食事を心がける
- 激しい運動よりも適度な運動を継続する
- ストレスをためない環境づくりを意識する
- 愛情をたっぷり注ぐことも大切な健康要素

植田 紗妃
普段一緒に過ごしている飼い主様しかわからない些細な様子の変化は、とっても大事です。
元気に過ごす毎日の愛犬の表情や行動をしっっかり把握しておきましょう!
実際、私の犬が誤食で腸閉塞を起こした時(まだ獣医師になっていない時)、「いつもより元気がない気がする」で病院に行きました。その時の些細な変化で早期発見ができた(誤食は完全に飼い主の責任です…💧ダメダメ飼い主でした…)と思っています!
介護期に向き合う心構え
7歳を過ぎたあたりからは、少しずつシニア期に入ります。
足腰が弱くなったり、食欲が落ちたりといった変化が見られるでしょう。
介護のポイントは以下の通りです。
- 滑りにくい床材に変える
- 段差を減らす
- 寝床を柔らかく保温性のあるものにする
- 排泄のサポート(おむつ・ペットシート)を整える

まとめ
バーニーズマウンテンドッグの寿命は平均7〜8年と短く、その背景には遺伝的な要因や腫瘍疾患の多さがあります。
しかし、定期的な健康診断やバランスの取れた食事、そしてストレスの少ない環境づくりによって、長生きにつながる可能性もあります。
なにより、日々の小さな変化に気づく観察力と、たっぷりの愛情が「後悔しない時間」を育む大切な鍵となります。
限られた時間だからこそ、いっしょに過ごせる幸せを大切にしたいですね。
あわせて読みたい
https://bigdog-luck.com/saint-bernard-d0181/
https://bigdog-luck.com/great-pyrenees-d0089/
https://bigdog-luck.com/samoyed-d0174/
